1件 不当と認める国庫補助金 14,725,904円
障害者自立支援給付費負担金(以下「負担金」という。)は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(平成17年法律第123号)に基づき、障害者及び障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として、市町村(特別区を含む。)が、都道府県知事等の指定する障害福祉サービス事業者等から居宅介護等の障害福祉サービス等を受けた障害者又は障害児の保護者に対して、介護給付費、訓練等給付費等(以下「自立支援給付費」という。)を支給した場合に、その支給に要する費用の一部を国が負担するものである。
負担金の交付額は、次のとおり算定することとなっている。
① 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援(以下「居宅介護等5サービス」という。)を受けた障害者等の人数に応じて算定した額に、居宅介護等5サービスに係る自立支援給付費の支給決定を受けた障害者等の人数(以下「支給決定者数」という。)に占める重度訪問介護及び重度障害者等包括支援に係る自立支援給付費の支給決定を受けた障害者等の割合(以下「重度率」という。)及び支給決定者数に応じた割合(以下「重度率等に応じた割合」という。)を乗ずるなどして算定した額を基準額とする。
② ①で算定した基準額と自立支援給付費の支給に要した費用から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
③ ②により選定された額を国庫負担対象事業費として、これに100分の50を乗じて得た額を交付額とする。
そして、重度率等に応じた割合は、当該市町村の重度率が100分の5以上で、かつ、負担金の交付対象年度の前年度の財政力指数(注)が1未満の場合は100分の105から100分の200までの間とすることとなっており、前年度の財政力指数が1以上の場合は一律に100分の105とすることとなっている。
本院が、9都県の66事業主体において会計実地検査を行ったところ、1県の1事業主体において、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。
部局等 |
補助事業者 (事業主体) |
年度 |
国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 |
|
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(93) | 茨城県 |
つくば市 |
30 | 2,191,689 | 1,095,844 | 29,451 | 14,725 | 基準額を過大に算定していたもの |
つくば市は、基準額の算定に当たり、同市の重度率は100分の5以上であり、かつ、平成29年度の財政力指数が1以上であることから、重度率等に応じた割合を100分の105とすべきところを、誤って28年度の財政力指数(1未満)に基づいて重度率等に応じた割合を100分の120としていたため、30年度の基準額を過大に算定していた。
この結果、国庫負担対象事業費が29,451,807円過大に算定されており、これに係る負担金14,725,904円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において負担金の交付額の算定についての理解が十分でなかったこと、茨城県において事業実績報告書の審査及び同市に対する適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。