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  • (1) 補助の対象とならないもの

森林環境保全整備事業の補助対象事業費に、補助の対象とならない経費を含めるなどしていたもの[林野庁](127)


(1件 不当と認める国庫補助金 10,532,807円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(127)
林野庁
滋賀県
滋賀中央森林組合
(事業主体)
森林環境保全整備
27~30 56,110
(56,110)
16,793 35,176
(35,176)
10,532

この補助事業は、滋賀中央森林組合(滋賀県甲賀市所在。以下「組合」という。)が、森林の有する多面的機能の維持・増進を図るなどのために森林の整備として、森林施業のうちの間伐及びこれと一体となった森林作業道整備を実施したものである。

森林環境保全整備事業実施要領(平成14年13林整整第885号林野庁長官通知)等によれば、森林施業のうち森林環境保全整備事業(以下「整備事業」という。)の対象となる間伐は、森林所有者等が市町村の長等の認定を受けた森林経営計画等に基づいて行うこと、過去5年以内に同一施行地において国庫補助事業による間伐を実施していないこと、間伐の施行地の面積の合計が、補助金の交付申請ごと、かつ、森林経営計画ごとに5ha以上であることなどの要件を満たすものとされている。そして、整備事業の対象となる森林作業道整備は、整備事業の対象となる間伐と一体的に実施することなどとされていることから、当該間伐が上記の要件を満たさない場合は整備事業の対象としないことになっている。また、整備事業に係る補助金の交付額は、間伐、森林作業道整備等の事業内容ごとに定められた標準単価に事業量を乗ずるなどして算出した事業費を補助の対象とし、これに補助率を乗じて算定することとされており、間伐の標準単価は、施行地1ha当たりの伐採木の搬出材積(以下「搬出材積」という。)に応じて定めることとされている。

組合は、平成25年度から30年度までの間(28年度を除く。)に、森林経営計画等に基づき、施行地の面積計42.81haの間伐を実施したとして、また、当該間伐と一体的に延長計5,395mの森林作業道整備を実施したとして、27年度から30年度までの間に、滋賀県に整備事業に係る補助金の交付申請書を提出して、標準単価に事業量を乗ずるなどして算出した事業費計56,110,123円に対して、国庫補助金計16,793,035円の交付を受けていた。

しかし、組合は、上記施行地の面積42.81haのうち22.16haにおける間伐が前記の要件を満たさないことを承知していながら、過去5年以内に国庫補助事業による間伐を実施した施行地、森林経営計画の計画期間外にも間伐を実施していて森林経営計画に基づいて行っていなかった施行地、及び面積の合計が森林経営計画ごとに5ha以上となっていなかった施行地を整備事業の対象としていた。そして、上記22.16haの間伐の施行地における延長3,170mの森林作業道整備については、当該間伐が上記のとおり要件を満たしていないことから、整備事業の対象とならないものとなっていた。また、上記の42.81haから22.16haを除いた20.65haにおける間伐については、搬出材積を水増しすることにより実際の搬出材積による標準単価より高い標準単価を適用して事業費を算出していて、補助金の交付額の算定が適切でなかった。

したがって、本件整備事業について、補助の対象とならない間伐及び森林作業道整備を除いたり、適正な搬出材積に基づいたりして適正な事業費を算出すると計20,934,094円となり、前記の事業費56,110,123円との差額35,176,029円が過大に算出されており、これに係る国庫補助金相当額10,532,807円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、組合において整備事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、同県において組合に対する指導監督及び交付申請書等の検査が十分でなかったことなどによると認められる。