畜産競争力強化対策整備事業の補助対象事業費に、補助の対象とならない経費を含めていたもの［中国四国農政局］(130)

この補助事業は、香川地域高品質牛乳生産協議会（注）(以下「協議会」という。)の構成員である有限会社赤松牧場(以下「会社」という。)が、地域の畜産の収益性の向上を図ることを目的として、搾乳牛舎等の整備を行ったものである。

畜産競争力強化対策整備事業実施要領(平成27年26生畜第1673号農林水産省生産局長通知)によれば、本事業の補助の対象となるのは、家畜飼養管理施設等及び当該施設と一体的に整備する設備の整備に要する経費とされている。そして、補助の対象となる施設とは、家畜の種類ごとに定められた搾乳牛舎等の施設であり、施設と一体的に整備する設備とは、家畜飼養管理施設と併せて設置する設備であって、給餌、ほ乳等の基本的な生産工程に直接関わり、施設で行われる生産工程の在り方の本質に関わるものであることなどとされている。

会社は、事業費計215,610,880円(補助対象事業費計199,639,703円)で搾乳牛舎及び搾乳牛舎と一体的に整備する設備の整備を実施したとして協議会に報告し、協議会は、会社が報告した事業費に基づいて補助対象事業費を算定した上で、香川県に対して実績報告書を提出し、同県から国庫補助金99,819,851円の交付を受けて、同額を会社に交付していた。

しかし、上記の事業費には、重力式擁壁、フェンス等の整備に要する経費が含まれており、これらは、搾乳牛舎等の施設ではないことから、補助の対象となる施設に該当せず、給餌、ほ乳等の基本的な生産工程に直接関わり、施設で行われる生産工程の在り方の本質に関わるものではないことから、施設と一体的に整備する設備にも該当しないものであった。

したがって、重力式擁壁、フェンス等の整備に要する経費計3,099,088円については、補助の対象とは認められず、これに係る国庫補助金相当額1,549,544円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、協議会及び会社において補助対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、香川県において実績報告書の内容についての確認及び協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

（注）

香川地域高品質牛乳生産協議会　　地域ぐるみで畜産の収益性の向上を図るため、香川県、畜産農家、香川県農業協同組合等が参画する協議会