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  • (3) 補助対象事業費を過大に精算していたもの

合板・製材・集成材生産性向上・品目転換促進対策事業等において、交付対象事業費に仕入税額控除の対象となる消費税額を含めていて、交付対象事業費を過大に精算していたもの[林野庁](133)


(1件 不当と認める国庫補助金 3,007,000円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(133)
林野庁
岡山県
奈義町森林組合
(事業主体)
合板・製材・集成材生産性向上・品目転換促進対策等2事業
29、30 44,164
(44,164)
43,900 3,271
(3,271)
3,007

この交付金事業は、奈義町森林組合(岡山県勝田郡奈義町所在。以下「組合」という。)が、林道を補完し森林施業に供用する目的で、平成29、30両年度に林業専用道として大花倉一ノ瀬線(29年度延長600m、30年度延長499.3m)の開設工事2件(これらに係る設計委託業務を含む。)を実施したものである。

そして、組合は、上記の開設工事2件を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)を含めて事業費29年度15,004,440円、30年度29,160,000円で実施したとして、30年3月及び31年3月に岡山県に実績報告書を提出し、同県から29年度15,000,000円、30年度28,900,000円の交付金の交付を受けており、同県は、これに対して、林野庁から同額の交付金の交付を受けていた。

交付金事業に係る事業主体が消費税の課税事業者である場合、その事業主体が交付金の交付対象の施設等を取得することなどは課税仕入れに該当するため、確定申告に際して交付金事業で取得するなどした施設等に係る消費税額を仕入税額控除(注)した場合は、事業主体はこれに係る消費税額を実質的に負担していないことになる。このため、合板・製材・集成材生産性向上・品目転換促進対策交付金等交付要綱(平成28年27林整計第232号農林水産事務次官依命通知)等によれば、事業主体及び都道府県は、実績報告書を提出するに当たって、交付申請の時点で明らかでなかった当該交付金に係る消費税仕入控除税額が明らかになった場合には、これを交付金額から減額して報告しなければならないこととされている。

(注)
仕入税額控除  課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除すること

しかし、課税事業者である組合は、29年度及び30年度の実績報告書を同県に提出した30年3月及び31年3月時点において、消費税額を含めた交付対象事業費が確定していて、本件交付金事業に係る消費税仕入控除税額が明らかとなっていたのに、交付対象事業費から消費税仕入控除税額を減額して報告していなかった。そして、同県においても農林水産大臣への実績報告書の提出に当たって、組合からの実績報告書と同様に、交付対象事業費から消費税仕入控除税額を減額して報告していなかった。

したがって、本件交付金事業に係る消費税仕入控除税額29年度1,111,440円、30年度2,160,000円を減額して適正な交付対象事業費を算定すると29年度13,893,000円、30年度27,000,000円となり、前記の交付金交付額との差額29年度1,107,000円、30年度1,900,000円、計3,007,000円が過大に精算されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、組合及び同県において交付金事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、同県において実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。