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  • (6) 計画が適切でなかったなどのもの

農業・食品産業強化対策整備交付金事業の実施に当たり、計画が適切でなかったため、使用する必要のない選別機の移設工事に要する費用を交付対象事業費に含めていたなどのもの[九州農政局](138)


(1件 不当と認める国庫補助金 1,176,618円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(138)
九州農政局
長崎県
佐世保市
(事業主体)
農業・食品産業強化対策整備交付金
28 81,894
(81,501)
27,166 3,529
(3,529)
1,176

この交付金事業は、佐世保市が、平成28年度に、鮮魚の選別作業の効率化を目的として、佐世保市地方卸売市場水産市場(以下「市場」という。)内において、鮮魚を自動選別する設備(以下「選別機」という。)の設置工事等を実施したものである。

強い農業づくり交付金実施要綱(平成17年16生産第8260号農林水産事務次官依命通知)等によれば、事業主体は、成果目標等を内容とする事業実施計画を作成し、都道府県知事に提出することとされている。また、過剰とみられるような施設等の整備を排除するなど、徹底した事業費の低減が図られるよう努めることとされている。

同市は、市場内の施設を使用する卸売事業者からの要望を踏まえて、既存の選別機3台のうち老朽化により故障が頻発して使用していない1台に代えて、使用している2台の選別機A及びBのうち高性能な選別機Bと同等の性能を有する選別機Cを設置することとし、計3台の選別機を使用して選別作業を行うこととして事業実施計画を作成し、長崎県に提出していた。また、事業実施計画においては、選別作業の効率化を図ることを目標に、26年度の年間総選別量と同量を選別することを前提として、選別量1t当たりの作業時間を26年度の実績と比較して32(令和2)年度までに12.3%以上短縮することを目標数値として掲げ、これにより卸売事業者が負担する選別作業に要する人件費の削減が見込まれるとしていた。その上で、整備から20年以上経過した性能の劣る選別機Aについては、選別機Cに隣接する場所へ移設して使用することとして、この移設工事に要する費用3,493,503円を含めた事業費を81,894,240円(交付対象事業費81,501,200円)とし、同県に実績報告書を提出して、交付金27,166,000円の交付を受けていた。

しかし、同市は、事業実施計画の作成に当たり、性能が劣る選別機Aを引き続き使用する必要性について選別機ごとの性能の差を考慮するなどした具体的な検討を全く行っておらず、選別機Bの作業実績を踏まえれば、選別機B及びCの2台のみを使用することで上記の年間総選別量を効率的に処理することが可能であり、人件費を削減できることが容易に想定できたのに、選別機3台を使用することとしていた。また、選別機Aを使用することで追加の人員の確保とそれに伴う人件費の負担が必要となり、選別機を使用する卸売事業者の収支が悪化するおそれがあることは容易に想定できたのに、これを踏まえた検討を行っていなかった。現に、本件工事のしゅん功後の29、30両年度における上記3台の選別機の使用実績をみたところ、卸売事業者は、選別機B及びCの2台のみを使用して効率的に選別作業を行っており、移設した選別機Aについては、選別作業を行う上で必要がないことなどから一度も使用しないまま放置していた。また、選別機B及びCの2台のみの使用により、29、30両年度共に選別量1t当たりの作業時間を12.3%以上短縮するという目標を達成していた。

このように、同市が本件交付金事業の事業実施計画の作成に当たり、選別機ごとの性能の差、追加の人員の確保とそれに伴う人件費の負担等を踏まえた検討を行うことなく、使用する必要のない選別機Aを引き続き使用することとして移設し、移設工事に要する費用を交付対象事業費に含めていたことは適切とは認められない。

したがって、移設工事に要する費用を除くなどして適正な交付対象事業費を算定すると77,971,291円となり、前記の交付対象事業費81,501,200円はこれに比べて3,529,909円過大となっていて、これに係る交付金相当額1,176,618円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において事業実施計画の作成に当たり選別機の使用についての検討が十分でなかったこと、同県において本件交付金事業に係る審査が十分でなかったことなどによると認められる。