(2件 不当と認める国庫補助金 5,756,148円)
中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助金は、東日本大震災に係る被災地域の復旧及び復興を促進することを目的として、中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助金(中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業)交付要綱(平成23・06・07財中第1号)等に基づき、経済産業省が都道府県に交付して、同補助金の交付を受けた都道府県が中小企業等グループ又はその構成員に対して、施設及び設備の復旧・整備に要する経費の一部を補助するものである。
上記の交付要綱等によれば、補助の対象となる経費は、中小企業等グループ又はその構成員の施設及び設備であって、東日本大震災により損壊若しくは滅失又は継続して使用することが困難になったもののうち、中小企業等グループが復興事業計画に基づき事業を行うのに不可欠な施設及び設備の復旧・整備に要する経費であって、都道府県知事が補助の対象としたものとされている。また、施設及び設備の復旧に際しては、被災した施設及び設備と同等の水準等のものに建替えなどをした場合の費用を補助の対象とすることとされており、施設の面積の増加は、復旧の範囲を超えることになり、当該増加分については補助の対象とはならないことになっている。そして、宮城県は、施設の建替えにより面積が増加した場合、補助対象事業費の算定に当たっては、建替えに係る事業費に、建替え後の延床面積に対する建替え前の延床面積の割合を乗じて面積案分を行うことにしている。また、同県は、施設の建替えに係る工事費のうち、直接工事費等に所定の率を乗じて算定するなどした共通費の取扱いについて、直接工事費等の中に補助対象外経費が含まれている場合には、共通費に、直接工事費等に占める補助対象外経費の割合を乗ずるなどして算定した額を補助の対象に含めないことにしている。
本院が、同県の2事業主体において会計実地検査を行ったところ、2事業主体が実施した補助事業において、建替えにより施設の面積が増加していて復旧の範囲を超えているのに面積案分を行っていなかったり、補助対象外経費に係る共通費を控除していなかったりなどしていて補助の対象とならない経費を補助対象事業費に含めるなどして補助対象事業費計14,647,728円が過大に算定されていたため、これらに係る国庫補助金相当額計5,756,148円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において補助の対象となる施設の面積に係る確認が十分でなかったり、補助対象事業費の算定方法に対する理解が十分でなかったりしたこと、同県において補助事業の審査及び事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 |
補助事業者 (所在地) |
間接補助事業者 (所在地) |
補助事業 | 年度 |
事業費
補助対象事業費 |
左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(139) | 東北経済産業局 |
宮城県 |
東北陸運株式会社
(宮城県塩竈市) 〈事業主体〉 |
中小企業組合等共同施設等災害復旧 |
24~26 | 772,402 (772,402) |
386,201 | 5,241 | 2,620 |
中小企業等グループの構成員である東北陸運株式会社は、東日本大震災により損壊した配送センターの荷捌場の施設等の建替えや設備の取替えなどによる復旧に要したとする事業費772,402,232円(補助対象事業費同額)に対して国庫補助金386,201,114円の交付を受けていた。そして、上記施設のうち荷捌場の施設の復旧については、建替え前の施設の延床面積が1,402.1m2であったのに対し、建替え後の施設の延床面積は1,309.4m2であり復旧の範囲内であるとして、これに係る事業費全額を補助対象事業費としていた。
しかし、同会社は、建替え前の施設の延床面積に、建替えを行わずに継続して使用していて復旧の対象とならない施設の延床面積160.0m2を含めていた。そこで、当該面積を控除して建替え前後の施設の延床面積を比較したところ、復旧の対象となる建替え前の施設の延床面積は1,242.1m2であり、建替え後の施設の延床面積1,309.4m2はこれと比べて67.3m2増加していて復旧の範囲を超えていたことから、同会社は面積の増加を考慮した面積案分により補助対象事業費の算定を行う必要があった。
したがって、荷捌場の施設の建替えに係る事業費101,848,900円に、建替え後の延床面積に対する建替え前の延床面積の割合94.8%を乗じて面積案分を行うなどして適正な補助対象事業費を算定すると767,160,803円となり、前記の補助対象事業費772,402,232円との差額5,241,429円が過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額2,620,715円が過大に精算されていた。
(140) | 東北経済産業局 |
宮城県 |
石巻商工信用組合 (宮城県石巻市) 〈事業主体〉 |
中小企業組合等共同施設等災害復旧 |
25~28 | 882,126 (882,126) |
294,042 | 9,406 | 3,135 |
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中小企業等グループの構成員である石巻商工信用組合は、東日本大震災により損壊した店舗等の施設の建替えや設備の取替えによる復旧に要したとする直接工事費等及び共通費からなる工事費等から、直接工事費等に係る補助対象外経費を控除した事業費計882,126,817円(補助対象事業費同額)に対して国庫補助金計294,042,270円の交付を受けていた。
しかし、同組合は、施設の建替えに係る工事費のうち共通費について、直接工事費等の中に外構工事費等の補助対象外経費が含まれていたのに、補助対象事業費の算定に当たって、補助対象外経費に係る共通費として、共通費に直接工事費等に占める補助対象外経費の割合を乗じて算定した額を控除するなどしていなかった。
したがって、施設の建替えに係る工事費から、直接工事費等のうち補助対象外経費に係る共通費を控除するなどして適正な補助対象事業費を算定すると計872,720,518円となり、前記の補助対象事業費882,126,817円との差額9,406,299円が過大となっていて、これに係る国庫補助金相当額計3,135,433円が過大に精算されていた。
(139)(140)の計 | 1,654,529 (1,654,529) |
680,243 | 14,647 | 5,756 |
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