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  • (3) 補助の目的外に使用していたもの

革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金の交付を受けて実施した事業により購入した設備を補助の目的外に使用していたもの[中小企業庁](143)


(1件 不当と認める国庫補助金 8,701,734円)

 
部局等
補助事業者
(所在地)
間接補助事業者
(所在地)
補助事業
年度
事業費
補助対象事業費
左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金相当額
            千円 千円 千円 千円
(143)
中小企業庁
全国中小企業団体中央会
(東京都中央区)
有限会社シモジョウ
(福岡県福岡市)
〈事業主体〉
革新的も
のづく
り・商
業・サービス開発支援
29 15,822
(14,649)
9,766 13,052 8,701

この補助事業は、中小企業及び小規模事業者の経営力向上を図ることを目的として、革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金の交付を受けた全国中小企業団体中央会(以下「中央会」という。)が、経営力向上に資する革新的サービス開発、試作品開発及び生産プロセスの改善を行う中小企業等に対して、これに要する経費の一部を補助するものである。また、中央会は、中小企業等が中央会から補助金(以下「ものづくり補助金」という。)の交付を受けて実施する事業(以下「ものづくり補助事業」という。)のうち福岡県内において実施される事業に係る公募、ものづくり補助事業の実施者に対する確定検査等の事務を、福岡県中小企業団体中央会(以下「受託事業者」という。)に委託している。

中央会が作成したものづくり補助事業に係る交付規程等によれば、ものづくり補助事業のために使用される機械等の購入等に要する経費が補助の対象とされている。また、取得価格が50万円以上の機械、器具、備品等は処分(ものづくり補助金の交付の目的に反する使用、譲渡等をいう。)を制限する財産(以下「処分制限財産」という。)とされており、ものづくり補助事業の実施者は、処分制限財産を、経済産業大臣が定めた処分制限期間内に処分しようとするときは、あらかじめ受託事業者の承認を受けなければならないこととされている。そして、処分制限財産をものづくり補助金の交付の目的に反してものづくり補助事業とは関係のない業務のために使用した場合は、処分制限財産の残存価額に補助率を乗じて得た金額を中央会に納付(以下「残存簿価分納付」という。)することとなっている。ただし、実施者がものづくり補助事業の成果を活用して実施する事業に転用(財産の所有者の変更を伴わない目的外使用をいう。)する場合は、あらかじめ受託事業者の承認(以下「転用承認」という。)を受ければ、残存簿価分納付が免除されることとなっている。

事業主体は、カリウム浸漬技術を活用した減塩明太子の革新的な試作品開発や生産プロセスの改善を行うために必要なフードミキサー等の設備を、平成29年7月及び同年8月に購入し、これに要した事業費計15,822,000円(補助対象事業費計14,649,400円)に対してものづくり補助金計9,766,266円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。そして、事業主体は、30年1月に、本件ものづくり補助事業の成果を活用して実施する事業として販売のための減塩明太子の本格的な生産を行うために当該設備を転用することについて、受託事業者の転用承認を受けていた。

しかし、事業主体は、受託事業者の転用承認を受けてから半月が経過した後、購入した上記の設備を、受託事業者に無断で、主として本件ものづくり補助事業とは関係のない従来品の明太子の生産のために使用していた。

したがって、本件ものづくり補助事業により購入した設備(30年1月末残存価額計13,052,602円)は、ものづくり補助事業の成果を活用して実施する事業に転用されておらず、補助の目的外に使用されており、これに係る国庫補助金相当額計8,701,734円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体においてものづくり補助事業の適正な執行に対する認識が欠けていたこと、受託事業者における事業主体に対する指導等が十分でなかったのに中央会において受託事業者に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。