(2件 不当と認める国庫補助金 44,629,900円)
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
|
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
|
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(149) | 滋賀県 |
滋賀県 |
防災・安全交付金(河川) |
27~29 | 169,329 (166,997) |
83,498 | 52,909 (52,896) |
26,448 |
(150) | 同 | 長浜市 |
防災・安全交付金(道路) |
27~29 | 104,368 (104,333) |
57,381 | 33,066 (33,058) |
18,181 |
(149)(150)の計 | 273,697 (271,330) |
140,880 | 85,975 (85,954) |
44,629 |
これらの交付金事業は、滋賀県及び長浜市が、長浜市西浅井町地内において、一級河川大川における河川改修に伴い市道水の駅線の橋りょうを幅員の広い新橋(橋長47.5m、幅員7.7m)に架け替えるために、下部構造として橋台2基(以下、左岸側の橋台を「A1橋台」という。)及び橋脚1基の築造、上部構造としてプレストレストコンクリート桁(以下「PC桁」という。)18本の製作、架設等を実施したものである。
同県及び同市は、上記工事の実施に当たり覚書を締結しており、覚書によれば、工事については河川管理者である同県が実施することとし、工事の費用については、同県が河川事業に係る分を、道路管理者である同市が道路事業に係る分をそれぞれ負担することとされている。
そして、同県及び同市は、本件橋りょうの設計を「道路橋示方書・同解説」(平成24年版。社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に基づき行うこととしている。
示方書によれば、支承部を設置する橋台及び橋脚の橋座部は、地震発生時に支承部から伝達される水平力に対して損傷しないように十分な耐力を有することとされている。そして、水平力は、設計水平震度(注1)を用いるなどして算定し、橋座部の耐力は、コンクリートが負担する耐力(以下「コンクリート耐力」という。)と、補強鉄筋が負担する耐力(以下「鉄筋耐力」という。)の和とすることとされている。
同県は、A1橋台の支承部として、水平力を受けるためのアンカーバー(長さ1.36m、径60mm)8本及び上部構造の重量等の鉛直力を受けるためのゴム製支承9個を橋座部に設置していた(参考図参照)。そして、同県は、アンカーバー8本に作用する橋軸方向の水平力を4,139kNと算定した上で、橋座部の耐力の照査については、コンクリート耐力が1,069kNとなっていて上記の水平力をPC桁の本数で除した230kNを大幅に上回っていたことから、鉄筋耐力の算出を省略して、橋座部の耐力を上記の1,069kNとし、橋座部の耐力が水平力を上回るとしていた。また、アンカーバー8本に生ずるせん断応力度(注2)の照査については、橋軸方向の水平力4,139kNにより生ずるせん断応力度183.0N/mm2が許容せん断応力度(注2)187.0N/mm2を下回るとし、いずれも所要の安全度が確保されるとして、これにより施工していた。
しかし、橋座部の耐力の照査に当たり、アンカーバー8本に作用する水平力をPC桁の本数で除する必要はなかった。また、アンカーバー8本に作用する水平力としていた4,139kNは、誤った設計水平震度を用いるなどして算定された数値であり、同県は、その後この水平力4,139kNについて設計水平震度等の精査を行って適正な水平力を4,698kNと算定し直していたが、これに基づく橋座部の耐力及びアンカーバー8本に生ずるせん断応力度の照査は行っていなかった。
そこで、改めて、上記の適正な水平力に基づいて橋座部の耐力等の照査を行ったところ、橋座部の耐力は、鉄筋耐力を算出して前記のコンクリート耐力1,069kNに加えたとしても2,139kNとなり、アンカーバー8本に作用する水平力4,698kNを大幅に下回っていた。また、アンカーバー8本に生ずるせん断応力度は、207.7N/mm2となり、許容せん断応力度187.0N/mm2を上回っていて、いずれも設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、A1橋台における橋座部等は設計が適切でなかったため、A1橋台及びこれに架設されたPC桁等(工事費相当額計85,975,635円)は、地震発生時において所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計44,629,900円(滋賀県に係る交付金相当額計26,448,000円、長浜市に係る交付金相当額計18,181,900円)が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
橋りょう概念図