(1件 不当と認める国庫補助金 2,592,194円)
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(154) | 宮崎県 |
宮崎県 |
防災・安全交付金(道路) |
30 | 21,018 (21,018) |
13,409 | 4,063 (4,063) |
2,592 |
この交付金事業は、宮崎県が、西臼杵郡日之影町大字七折地区において、県道北方高千穂線の防災対策として、落石防護柵を設置するなどの工事を実施したものである。このうち落石防護柵は、上記地区内の2工区の延長計211.0mにわたり高さ2.0mの支柱を約3.0m間隔で設置し、各支柱間にワイヤロープ及び金網を取り付けた構造となっている。
同県は、本件落石防護柵の設計を「落石対策便覧」(公益社団法人日本道路協会編。以下「便覧」という。)に基づき行っている。
便覧によれば、落石防護柵の必要な高さは、想定する落石の跳躍高等によって決定され、落石の跳躍高は一般的に斜面から直角に測った高さ2.0m以下であるといわれていることから、斜面から直角に測った高さが2.0mとなるよう最低柵高を設定することとされている。さらに、落石防護柵の背面に平場がある場合、平場の幅が狭いほど落石が落石防護柵に衝突する高さが高くなるなど、その幅によって落石が落石防護柵に衝突する高さが変わることから、平場の幅を考慮して最低柵高を設定することとされている。
同県は、本件落石防護柵の設計に当たり、落石の跳躍高を2.0mと想定するとともに、両工区の各1か所を選定して現地を調査し、落石防護柵背面の平場の幅がそれぞれ1.0m及び1.5mであることなどを考慮して、斜面から直角に測った高さが2.0mとなるよう最低柵高を全延長にわたって一律に2.0mと決定していた。そして、本件落石防護柵の高さを2.0mと設計して(参考図1参照)、これにより施工していた。
しかし、両工区には、同県が現地調査を行った上記の2か所よりも平場の幅が狭かったり、平場が全くなかったりしている箇所が多数あったのに、同県は、本件落石防護柵の設計に当たり、このような実際の平場の幅の状況について考慮していなかった。
そこで、便覧に基づき、現地の再調査の結果確認された平場の幅を考慮して、改めて本件落石防護柵の最低柵高を算出すると、両工区における計4区間の延長計41.9mにおいて最低柵高が2.0mを上回ることとなる。このうち、各区間の最低柵高が最も高くなる箇所についてみると、2.39m(平場の幅0.7m)から4.0m(同0m)となり、本件落石防護柵の高さは最大で0.39mから2.0m不足することとなっていた(参考図2参照)。
したがって、本件落石防護柵のうち延長計41.9m(工事費相当額4,063,000円)は、設計が適切でなかったため、落石を防ぐための所要の高さが確保されていない状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額2,592,194円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、現地における平場の状況に関する確認が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図1)
設計上の平場の幅を前提とした落石防護柵等の概念図
(参考図2)
平場の幅が設計よりも狭い区間における落石防護柵等の概念図