(1件 不当と認める国庫補助金 91,519,886円)
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
|
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(161) | 群馬県 |
前橋市 |
社会資本整備総合交付金 (下水道) |
22~24、 27、28 |
3,560,130 (2,968,257) |
1,631,631 | 166,493 (166,493) |
91,519 |
この交付金事業は、前橋市が、前橋水質浄化センター(以下「センター」という。)において、社会資本整備総合交付金(以下「交付金」という。)の交付対象である公共下水道事業により発生する汚泥(以下「下水汚泥」という。)と交付金の交付対象ではないし尿処理施設管理事業等により発生する汚泥(以下「その他汚泥」という。)を共に処理する汚泥炭化施設、混合設備等の汚泥処理施設を整備したものである。
このうち、汚泥炭化施設は、下水汚泥及びその他汚泥を炭化して固形燃料を製造する施設であり、安定した性状の固形燃料を製造するためには、汚泥炭化施設に搬入される汚泥の含水率が均等化されていることが必要となる。そして、下水汚泥については、その含水率が既存の脱水設備で低減されている。一方で、その他汚泥については、その含水率を低減するための脱水設備が設置されていなかったことから、同市は、本件交付金事業とは別に費用を負担してセンターにその他汚泥のための脱水設備を新たに整備し、その他汚泥の含水率を脱水後の下水汚泥の含水率と同等になるように低減させた上で汚泥炭化施設に搬入することとしていた(参考図1参照)。
また、本件交付金事業の実施に当たり必要となる費用の負担については、同市において、公共下水道事業を実施する水道局とし尿処理施設管理事業等を実施する関係部局との間で「汚泥処理施設の設計及び施工並びに維持管理等の費用負担に関する協定書」(以下「費用負担協定」という。)を締結して定めている。費用負担協定によれば、上記費用の負担は、下水汚泥とその他汚泥の汚泥処理施設への搬入量により算出される計画処理量の割合に基づき行うこととされており、その割合は、上記のとおり脱水後の下水汚泥とその他汚泥の含水率を同等になるようにした上で、それぞれ84.4%(計画処理量41.8t/日)及び15.6%(同7.7t/日)と算定されている。そして、同市は、この割合に基づき汚泥処理施設の整備に係る費用を案分するなどして、本件交付金事業の交付対象事業費を計2,968,257,000円(交付金交付額計1,631,631,650円)と算定していた。
その後、同市は、両汚泥の含水率を均等化する方法について、その他汚泥のための脱水設備を新たに整備して脱水後の下水汚泥とその他汚泥の含水率が同等になるようにする前記の方法ではなく、既存の脱水設備でその他汚泥の一部について含水率を低減させた上で、下水汚泥とその他汚泥を混合して含水率を均等化する混合設備を整備する方法に変更していた(参考図2参照)。
しかし、これにより、混合設備において下水汚泥と混合するその他汚泥には脱水されていないものが含まれることになり、その他汚泥の汚泥処理施設への搬入量が当初予定よりも増加することになったにもかかわらず、同市は、両汚泥の計画処理量の割合について見直しを行っていなかった。
そこで、前記変更後の処理方法に即して両汚泥の計画処理量の割合を算出したところ、それぞれ79.6%(計画処理量41.8t/日)及び20.4%(同10.7t/日)となった。
したがって、上記の割合に基づくなどして適切な交付対象事業費を算定すると計2,801,763,151円となり、これに係る交付金交付額は計1,540,111,764円となることから、本件交付金交付額1,631,631,650円との差額91,519,886円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、処理方法の変更に合わせて汚泥処理施設における計画処理量に基づく費用の負担割合を見直す必要があることについての認識が欠けていたことなどによると認められる。
(参考図1)
当初予定していた汚泥処理の概念図
(参考図2)
処理方法の変更後の汚泥処理の概念図