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  • (2) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

交付額の算定が適切でなかったため、交付金が過大に交付されていたもの[高知県](162)


(1件 不当と認める国庫補助金 19,778,000円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(162)
高知県
高知県
防災・安全交付金(道路)
平成30、
令和元
319,000
(319,000)
217,558 319,000
(319,000)
19,778

この交付金事業は、高知県が、四万十市山路地内において、一般国道321号の四万十市山路から実崎までの区間の道路の線形不良箇所及び幅員狭小区間における交通障害の解消を図るなどのために、道路の改築事業として、歩道及び道路橋の整備を、事業費319,000,000円(交付対象事業費同額、交付金交付額217,558,000円)で実施したものである。

同県は、本件交付金事業を、「社会資本整備総合交付金交付要綱」(平成22年国官会第2317号国土交通事務次官通知。以下「交付要綱」という。)に基づき、通学路における交通安全対策に係る重点配分対象事業として実施している。

交付要綱によれば、道路の改築、修繕又は維持に関する事業については、当該事業が、重点配分対象事業に該当する場合には当該年度の事業費に国の負担割合10分の5.5を乗じ、重点配分対象事業に該当しない場合には当該年度の事業費に国の負担割合10分の5を乗じて、交付金の額を算定するなどとされている。また、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和36年法律第112号)に基づき、同県が実施する公共事業に係る経費については、上記国の負担割合が引き上げられることとなっている(以下、国の負担割合が引き上げられる割合を「引上率」という。)。

そして、交付要綱に基づき定められた「社会資本整備総合交付金及び防災・安全社会資本整備交付金の道路事業における重点配分対象事業について」(平成30年国都街第101号国土交通省都市局長、国道総第477号道路局長連名通知)によれば、防災・安全交付金の「通学路における交通安全対策に係るもの」のうち重点配分対象事業となるのは、「通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進について」(平成25年国道国防第134号国土交通省道路局国道・防災課長、国道環安第57号環境安全課長連名通知。以下「25年通知」という。)に基づき、基本的方針(通学路交通安全プログラム。以下「プログラム」という。)に基づく対策(以下「通学路対策」という。)に位置付けられたものであることなどの要件に該当する事業とされている。25年通知によれば、通学路における交通安全を確保するために、各地域において、教育委員会、学校、PTA、警察、道路管理者等により定期的な合同点検の実施や対策の改善等の取組を継続して推進することが重要であるとされている。そして、この取組を着実かつ効果的に実施するため、市町村等は、地域ごとにプログラムを策定することとされており、このプログラムには、上記の合同点検によって通学路対策が必要とされた箇所(以下「通学路対策必要箇所」という。)について通学路対策一覧表等を作成することなどが含まれている。

同県は、本件交付金事業の実施箇所が所在する四万十市の通学路対策一覧表等を確認することなく、本件交付金事業が重点配分対象事業の要件に該当するものとして、平成30年度の国の負担割合を、重点配分対象事業に該当する場合の10分の5.5に引上率1.24を乗ずることにより10分の6.82と算出していた。

しかし、本件交付金事業の実施箇所は、25年通知において継続して推進することが重要であるとされている合同点検が実施された箇所ではなく、通学路対策必要箇所ではないことから、本件交付金事業は、同市の通学路対策に位置付けられたものではなく、重点配分対象事業に該当しないものであった。

したがって、本件交付金事業における30年度の国の負担割合は、重点配分対象事業に該当する場合の10分の5.5に引上率1.24を乗じた10分の6.82ではなく、重点配分対象事業に該当しない場合の10分の5に引上率1.24を乗じた10分の6.2となることから、交付対象事業費に国の負担割合10分の6.2を乗じて適正な交付金交付額を算定すると197,780,000円となり、前記の交付金交付額217,558,000円との差額19,778,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、交付金の申請に当たり、重点配分対象事業の要件に該当するかの確認が十分でなかったことなどによると認められる。