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  • (2) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

屋上の防水シート等の設計数量を誤ったため、契約額が割高となっていたもの[神奈川県](163)


(1件 不当と認める国庫補助金 4,041,066円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(163) 神奈川県
神奈川県
防災・安全交付金(公営住宅等ストック総合改善)
29 87,640
(87,640)
39,438 8,980
(8,980)
4,041

この交付金事業は、神奈川県が、相模原市緑区大島地内において、県営大島団地にある7棟の建物(鉄筋コンクリート造5階建て)の屋上防水改修工事を実施したものである。この7棟の屋上は、北側及び南側に張り出したひさしのある陸屋根(注1)構造となっており、屋上にはハッチ、パラペット(注2)等が設置されている(参考図1参照)。

(注1)
陸屋根  勾配が水平か極めて緩い屋根
(注2)
パラペット  高さの低い壁の総称で、建築では屋上等に見られる手すり壁

本件工事は、屋上における住戸相当部分等からハッチを除いた部分(以下「平場」という。)等に断熱材を張り付けた後、屋上全体に改質アスファルト防水シート(以下「防水シート」という。)を張り付けるなどするものである(参考図2参照)。

同県は、本件工事の予定価格の算定に当たり、7棟の防水シートの設計数量について、屋上全体を平場、パラペット等及びパラペット等を除くひさしの3部位に分割し、これらの部位ごとの面積を足し合わせることにより計3,289.2m2と算出していた。

しかし、同県は、7棟の防水シートの設計数量を算出するに当たり、パラペット等を除くひさしの面積について、パラペットの天端幅(両端の計0.220m)を除いたひさしの南北両側の長さ計1.655mに東西の長さ(24.000m~63.000m)を乗ずるなどして計444.68m2と算出すべきところ、誤って、パラペットの天端幅を含めたひさしの南北両側の長さ計1.875mを2倍した3.750mに東西の長さ(24.220m~63.220m)を乗ずるなどして計1,082.75m2としており、638.07m2を過大に算出していた(参考図1参照)。

このため、7棟の防水シートの設計数量は上記のほか平場等の面積誤りを考慮して、正しくは計2,656.4m2となり、前記の3,289.2m2はこれに比べて、632.8m2過大となっていた。

したがって、適正な防水シート等の設計数量に基づき、本件工事費を修正計算すると、過小に算出していた断熱材等の設計数量を考慮するなどしても、78,660,772円となることから、本件契約額87,640,920円はこれに比べて8,980,148円割高となっており、これに係る交付金相当額4,041,066円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、本件工事の予定価格の算定に当たり、指定管理者から提出された数量調書等における防水シート等の設計数量の確認が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図1)

屋上の概念図

屋上の概念図 排気筒 ハッチ 住戸 誤ってパラペット等を除くひさしの面積に含めていたパラペット 画像

(参考図2)

屋上の断面図

屋上の断面図 屋上の断面図の拡大図 防水シート パラペット 既存コンクリート ひさし 平場 断熱材 住戸 画像