(3件 不当と認める国庫補助金 33,056,404円)
部局等 |
補助事業者等 |
間接補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 |
実施年度 | 基金使用額
|
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める基金使用額 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 |
千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(169) | 環境本省 |
栃木県 |
那須郡那須町 |
再生可能 エネル ギー等導入推進基金 |
27 | 34,084 |
34,084 | 17,010 | 17,010 |
(170) | 同 | 奈良県 |
吉野郡大淀町 |
同 | 28 | 22,132 |
22,132 | 10,494 | 10,494 |
(171) | 同 | 山口県 |
宇部市 |
同 | 28 | 11,021 |
11,021 | 5,551 | 5,551 |
(169)―(171)の計 | 67,238 |
67,238 | 33,056 | 33,056 |
再生可能エネルギー等導入推進基金(以下「基金」という。)は、環境省が、地震、台風等の災害時に避難所、災害対策本部等の防災拠点となる施設等(以下「防災拠点施設等」という。)への再生可能エネルギー等の導入を支援するなどのために、都道府県及び政令指定都市に対して、平成24年度から26年度までの各年度に二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を交付して造成させたものである。
都道府県及び政令指定都市は、「平成26年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(再生可能エネルギー等導入推進基金事業)交付要綱」(平成26年6月環境事務次官通知。以下「要綱」という。)等に基づき、基金を財源として、防災拠点施設等に太陽光発電設備、蓄電池設備等を設置するなどの事業(以下「基金事業」という。)を自ら実施するほか、基金事業を実施する市町村等(以下、基金事業を実施する者を「事業主体」という。)に対して、基金を取り崩して補助金(以下、都道府県及び政令指定都市からの補助金を「基金補助金」という。)を交付している。
要綱等によれば、基金事業により設置される太陽光発電設備等は、地震等の災害等が発生して電力会社から供給される商用電力が遮断された際に、防災拠点施設等において必要とされる最低限の機能を維持することを目的とすることとされている。そして、事業主体は、太陽光発電設備等を設置するに当たっては、経済性を考慮するなどして、太陽光パネルからの電力を供給する系統を複数に分けるなどしている。
本院が11府県及び1政令指定都市並びに基金補助金の交付を受けた40市町村等において会計実地検査を行ったところ、3事業主体において、太陽光発電設備又は蓄電池設備の設計が適切でなかったため、災害等により商用電力が遮断された際に防災拠点施設等の機能を確保するために必要な電力量(以下「必要電力量」という。)が独立した系統ごとに確保されておらず、取り崩された基金計33,056,404円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切でなく、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3事業主体において独立した系統ごとの必要電力量に見合うよう太陽光発電設備又は蓄電池設備の規模を決定することについての理解が十分でなかったこと、3県において3事業主体に対する助言が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
那須町は、災害時に避難所等として利用する那須町文化センター(以下「文化センター」という。)及び道の駅東山道伊王野(以下「道の駅」という。)に、それぞれ太陽光発電設備、蓄電池設備等を設置する工事を工事費計34,084,800円(基金補助金及び国庫補助金相当額同額)で実施していた。
同町は、文化センター及び道の駅それぞれにおける太陽光発電設備及び蓄電池設備の設計に当たり、それらの規模については必要電力量を基にするなどして次のように決定し、設置していた。
① 太陽光発電設備については、昼間の必要電力量に昼間に蓄電池設備への充電を行うために必要な電力量を加えた電力量の計(以下「昼間必要量」という。)を算定した上で、昼間必要量を確保するために10kW程度の出力を有するものとする。そして、これらの設備を独立した2系統に分けて設置することとし、それぞれの系統の出力は、上記の約半分のものとする。
② 蓄電池設備については、夜間の必要電力量(以下「夜間必要量」という。)を算定した上で、夜間必要量を確保するために10kWh程度の容量を有するものとする。そして、①と同様に、それぞれの系統の容量は、上記の約半分のものとする。
この結果、各系統において、太陽光発電設備により供給できる電力量は前記の出力に出力1kWの太陽光パネルが日中の曇天等を考慮した1日に発電できる電力量を乗じた16.60kWhとなり、また、蓄電池設備により供給できる電力量は5.00kWhとなっていた。
しかし、太陽光発電設備及び蓄電池設備の系統を独立させると、系統間で電力を相互に融通することができなくなることから、必要電力量が系統ごとに確保できているか検討する必要があったのに、同町は、この検討を行っていなかった。
そこで、各系統の太陽光発電設備又は蓄電池設備により供給できる電力量が必要電力量を確保できているか確認したところ、昼間必要量については、文化センターの1系統において24.74kWh、道の駅の1系統において22.12kWhとなっていて、いずれも太陽光発電設備により供給できる電力量16.60kWhを上回っていた。また、同様に確認したところ、夜間必要量については、文化センターの上記の1系統において8.21kWh、道の駅の他の1系統において6.05kWhとなっていて、いずれも蓄電池設備により供給できる電力量5.00kWhを上回っていた。
したがって、文化センター及び道の駅に設置した各2系統、計4系統の太陽光発電設備、蓄電池設備等のうち、3系統における太陽光発電設備、蓄電池設備等(工事費相当額17,010,631円、国庫補助金相当額同額)は、設計が適切でなかったため、必要電力量が確保されていない状態になっていた。