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  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第2節 国会からの検査要請事項に関する報告

参考:報告書はこちら

第1 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等について


要請を受諾した年月日
平成29年6月6日
検査の対象
内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、独立行政法人日本スポーツ振興センター等
検査の内容
東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等についての検査要請事項
報告を行った年月日
令和元年12月4日

1 検査の背景及び実施状況

(1) 検査の要請の内容

会計検査院は、平成29年6月5日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月6日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその検査の結果を報告することを決定した。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項

  • (一) 検査の対象

    内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、独立行政法人日本スポーツ振興センター等

  • (二) 検査の内容

    東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する次の各事項

    • ① 大会の開催に向けた取組等の状況
    • ② 各府省等が実施する大会の関連施策等の状況

(2) 30年報告の概要

上記の要請により、本院は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)に向けた取組状況等に関して、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、14府省等の本省、外局及び地方支分部局、9独立行政法人、日本中央競馬会(以下「JRA」という。)、18都道府県、同都道府県の92市区町村、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(26年以前は一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会。以下「大会組織委員会」という。)及び14府省等の国庫補助金等交付先等において、①大会の開催に向けた取組等の状況、②各府省等が実施する大会に関連して講ずべき施策(以下、大会に関連して講ずべき施策を「大会の関連施策」という。)等の状況等について検査を実施するなどして、30年10月4日に、会計検査院長から参議院議長に対して報告した(以下、この報告を「30年報告」という。)。

本院は、30年報告において、今後、大会の開催に向けた準備が加速化し、32(令和2)年には大会の開催を迎えることになることから、引き続き大会の開催に向けた取組等の状況及び各府省等が実施する大会の関連施策等の状況について検査を実施して、その結果については、取りまとめが出来次第報告することとした。

(3) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」(平成27年11月閣議決定。以下「オリパラ基本方針」という。)によれば、大会の成功のためには、国、大会組織委員会、東京都及び競技会場が所在する地方公共団体が一体となって取り組むことが不可欠とされており、「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営の推進に関する政府の取組の状況に関する報告」(以下「政府の取組状況報告」という。)によれば、国は大会の円滑な準備及び運営の実現に向けて、大会組織委員会、東京都及び競技会場が所在する地方公共団体と密接な連携を図り、オールジャパンでの取組を推進するために必要な措置を講ずるために、政府一体となって、オリパラ基本方針に基づき施策を総合的に推進しているところであるとしている。

そして、30年報告以降、新国立競技場等の大会に必要な施設(以下「大会施設」という。)の整備が進むなど、大会の開催に向けた準備は佳境を迎えつつあり、また、平成30年度以降、多数執行される見込みであるパラリンピック競技大会の大会施設及び運営に必要な経費(以下「パラリンピック経費」という。)に対しては、国の負担額として既に東京都に交付されている東京パラリンピック競技大会開催準備交付金(以下「パラリンピック交付金」という。)も充てられることとなる。

そこで、今回の検査では、前記の要請の趣旨を踏まえて、大会の開催準備の進捗状況、パラリンピック経費の執行状況、30年報告の検査結果に対して執られた改善の処置の状況等について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した(以下、30年報告の検査結果に対して執られた改善の処置の状況について確認する検査を「フォローアップ検査」という。)。

ア 大会の開催に向けた取組等の状況

(ア) 国は、大会の開催に向けて、大会の準備及び運営を行う主体である大会組織委員会、開催都市である東京都等とどのように情報共有を図るなどして相互に連携して、取組内容等の調整を図っているか。

(イ) 国が既にその一部を負担している経費や今後負担することとなる経費が含まれている大会の開催に要する経費(以下「大会経費」という。)の試算等の内容はどのようになっているか。特に、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局(以下「オリパラ事務局」という。)は、30年報告を踏まえて、大会との関連性に係る区分及びその基準を整理した上で、大会の準備、運営等に特に資すると認められる業務について、各府省等から情報を集約して業務の内容、経費の規模等の全体像を把握し、公表しているか。

(ウ)  国が東京都に交付したパラリンピック交付金について、大会組織委員会によるパラリンピック経費の執行、共同実施事業管理委員会(注1)によるパラリンピック経費の確認及び東京都による額の確定は適切に行われているか。

(エ)  新国立競技場等の大会施設の整備状況等はどのようになっているか。特に、新国立競技場の整備に係る財源の確保、大会終了後の活用方法の検討等について、30年報告以降の進捗状況はどのようになっているか。

イ 各府省等が実施する大会の関連施策等の状況

(ア) 各府省等が実施する大会の関連施策の実施体制及び実施状況はどのようになっているか。また、実施内容は大会の円滑な準備及び運営並びに大会終了後に残すべきレガシー(注2)の創出に資するものとなっているか。特に、30年報告において課題等が見受けられた大会の関連施策についての実施状況は改善されているか。

(イ) 各府省等が実施する大会の関連施策以外に、東京都(大会施設が所在する11市区を含む。)、都外自治体(東京都外の競技会場が所在する地方公共団体をいう。以下同じ。)である8道県15市町等が実施する大会の関連施策等に対する各府省等の支援状況はどのようになっているか。

(注1)
共同実施事業管理委員会  「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の役割(経費)分担に関する基本的な方向について」(以下「大枠の合意」という。)に基づき、大会経費のうち、大会準備のために、大会組織委員会が東京都、国等の役割(経費)分担に応じた負担金を使用して実施する事業である共同実施事業に関し、コスト管理・執行統制等の観点から、国、東京都及び大会組織委員会の三者間において、大会組織委員会による各種取組等について確認の上、必要に応じて指摘を行うことなどにより共同実施事業の適切な遂行に資する管理を行うことを目的とする協議の場
(注2)
レガシー  オリンピック憲章により開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励されている大会の有益な遺産。長期にわたる特にポジティブな影響であり、スポーツ、社会、環境、都市及び経済の5分野によるものをいう。

(4) 検査の対象及び方法

大会の開催に向けた取組等の状況については、25年度から30年度まで(一部については令和元年度まで)に各府省等、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」という。)及びJRAが実施した大会施設の整備状況等について検査するとともに、東京都、大会組織委員会及び都外自治体が国庫補助金等を活用するなどして実施した大会施設の整備状況等について検査した。また、各府省等が実施する大会の関連施策等の状況については、平成25年度から30年度まで(一部については令和元年度まで)に14府省等が実施した大会の関連施策等に係る事業の実施状況等について検査した。

検査に当たっては、14府省等の本省、外局及び地方支分部局、4独立行政法人、JRA、24都道県、同都道県の70市町村、大会組織委員会及び14府省等の国庫補助金等交付先又は委託先である31法人において、大会施設の整備状況、各府省等の大会の関連施策の実施状況等について、672人日を要して会計実地検査を行うなどして、調書及び関係資料を徴したり、担当者等から説明を聴取したりなどした。また、公表されている資料等を基に調査分析を行った。

なお、公益財団法人日本オリンピック委員会(以下「JOC」という。)、大会組織委員会、地方公共団体等において国庫補助金等の交付を受けずに実施されているなどの本院の検査権限が及ばない取組等については、協力が得られた範囲で説明を受けるなどして調査を行った。

2 検査の結果

(1) 大会の開催に向けた取組等の状況

ア 大会の開催に向けた取組体制等の状況

大会の開催に向けた取組体制をみると、大会組織委員会が主体となって大会の準備及び運営を行い、東京都は開催都市としての大会の関連施策の立案及び実行により、JOCは国内オリンピック委員会としての取組の実施により、それぞれ大会組織委員会の取組を様々な形で支援している。国は、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部(以下「オリパラ推進本部」という。)が行う総合調整の下、各府省等による大会の関連施策の立案及び実行により、また、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(以下「JPC」という。)は国内パラリンピック委員会としての取組の実施により、東京都以外の地方公共団体等は、各種取組の実施により、それぞれ開催都市契約の国内当事者の取組を様々な形で支援している。

大会の開催に向けた関係機関の連携体制をみると、大会組織委員会、東京都、国、JOC及びJPCは、平成26年1月に「東京オリンピック・パラリンピック調整会議」を設置して、大会組織委員会会長、東京都知事、文部科学大臣、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣(27年6月以降は東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣)、JOC会長及びJPC会長の6者により、大会の準備及び運営における特に重要な事項について調整を図ることとしていて、大会組織委員会の組織体制、大会開催基本計画、大会に向けた進捗状況、大会経費V3(バージョン3。以下「V3予算」という。)、ボランティア等が議題として取り上げられている。

また、27年7月、オリパラ推進本部の下に全府省庁の事務次官等が構成員である「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係府省庁連絡会議」が設置されるなどしており、大会の開催に向けて関係機関の連携体制が執られている。

イ 大会経費の試算等の状況

(ア) 30年報告の検査結果に対する対応等

オリパラ事務局は、30年報告の所見を受けて、30年報告において各府省等が実施する大会の関連施策として報告した14府省等の計286事業、25年度から29年度までの支出額計8011億余円について、各府省等に改めてそれぞれの所管する事業に係る政府の取組状況報告との関係、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係予算(以下「オリパラ関係予算」という。)との関係等について記入する事業シートの提出を求めるなどして、これらにより得られた結果を基に、A:大会の準備、運営等に特に資する事業(8府省等、53事業、1725億円)、B:本来の行政目的のために実施する事業であり、大会や大会を通じた新しい日本の創造にも資するが、大会に直接資する金額を算出することが困難な事業(14府省等、208事業、5461億円)、C:本来の行政目的のために実施する事業であり、大会との関連性が比較的低い事業(8府省等、29事業、826億円)の三つに分類(以下、この分類を「ABC分類」という。)して公表している。

(イ) 大会経費及び大会の関連施策の経費に係る試算等の状況

ABC分類の公表以降、大会組織委員会、オリパラ事務局及び東京都は、更に30年度以降の大会経費及び大会の関連施策の経費の執行等に伴い、過年度に公表済みの大会経費や大会の関連施策の経費の内容を見直して、公表している。

大会組織委員会が大会経費について30年12月21日に公表しているV3予算において、大会経費の総額は1兆3500億円と試算されており、その内訳をみると、会場関係の大会施設に係る経費として計8100億円、大会関係の大会の運営に係る経費として計5400億円となっていて、このうち、国の負担となっているのは、新国立競技場の整備に係る経費1200億円と、パラリンピック経費1200億円のうち300億円の計1500億円となっている。大会経費V2(バージョン2)と比較すると、輸送等の経費が増加したものの、あらかじめ計画的に計上していた調整費を減ずることなどによって対応したため、総額で増減はしていない。

オリパラ事務局は、大会の関連施策の経費について、30年度補正予算案及び31年度当初予算案におけるオリパラ関係予算を31年1月29日に公表している。オリパラ関係予算として整理する際の要件は従来と同様に①大会の運営又は大会の開催機運の醸成や成功に直接資すること、②大会招致を前提に、新たに又は追加的に講ずる施策であること(実質的な施策の変更・追加を伴うものであり、単なる看板の掛け替えは認めない。)となっている。オリパラ事務局は、30年報告の所見等を踏まえて、25年度以降の予算額のうち、上記2点の要件に該当して新たにオリパラ関係予算と位置付けられる事業についても改めて整理して公表している。25年度以降のオリパラ関係予算の合計額は、9府省等の計56事業に係る計2197億0200万円となっている。

令和元年6月7日に国会に提出された政府の取組状況報告(以下「令和元年取組状況報告」という。)は、平成29年5月及び30年5月にそれぞれ国会に提出された政府の取組状況報告に引き続いて、過年度から継続して実施してきたこれまでの主な取組の内容に、30年度の主な取組や今後の主な取組の内容を追記するなどして取りまとめられたものである。政府の取組状況報告の内容は、ABC分類における大会の準備、運営等に特に資すると認められる業務であるかの判断基準の一つとされている。

また、東京都が31年1月に発表した31年度の東京都予算案の概要資料においては、大会経費及び大会関連経費の額は、それぞれ6000億円、約8100億円と前年度と同額となっており、新たにその内訳の金額が公表されている。

(ウ) 国が負担する大会経費や実施する大会の関連施策の経費等の公表状況

オリパラ事務局が、30年報告の所見の趣旨を踏まえて、大会の準備、運営等に特に資すると認められる業務を公表しているかについてみたところ、オリパラ事務局は、国庫債務負担行為については、債務負担権限のみを与えるものであって、実際に契約に基づいた支出を行うには各年度の歳出予算に改めて計上して国会の議決を経る必要があり、支出年度の歳出予算額としてはいずれ公表されることになるものであることから、各府省等の国庫債務負担行為による経費のうち歳出予算として計上された額以外の後年度に執行が予定されているものをオリパラ関係予算の取りまとめ及び公表の対象としていない。オリパラ関係予算が公表された28年度以降にオリパラ関係予算に該当するもので国庫債務負担行為として計上されていた予算計398億1430万余円のうち、警察庁及び総務省において令和2年度の支出予定額とされている国庫債務負担行為計134億0982万余円について、オリパラ事務局は、平成30年度補正予算案及び31年度当初予算案においてはオリパラ関係予算として公表していなかった。

また、大会の準備の進捗に伴い、新たに大会組織委員会と協議して実施している業務について、令和元年取組状況報告に記載されていないものが1業務、事業費5097万余円見受けられた。

さらに、JSCが、大会の開催に係る事業に対して実施する助成について、文部科学省において、スポーツ振興投票において発売するスポーツ振興投票券(以下「スポーツ振興くじ」という。)の売上げによる収益を原資とした事業であることから令和元年取組状況報告に記載していないとしている事業が見受けられた(大会組織委員会に対する財政支援(26年度~30年度計23億5863万余円)、地方公共団体又は民間団体に対する財政支援(27年度~30年度計49億1627万余円))。

上記のほか、大会組織委員会が負担して実施することとされている大会運営関係の一部について、大会組織委員会と防衛省との間で大会運営に係る各種協力の調整が行われている。

これらの状況を踏まえて、オリパラ事務局は、国が担う必要がある業務について国民に周知して理解を求めるために、各府省等から情報を集約して、業務の内容、経費の規模等の全体像を把握して公表することについて充実を図っていく必要がある。

(エ) 大会組織委員会の決算等の状況

大会組織委員会が公表している正味財産増減計算書に基づくと、25年度から30年度までの経常収益は計2646億余円であり、このうち収益の中心となるスポンサー料等のマーケティング収益が2417億余円となっていて、V3予算における大会組織委員会の収入に係る試算額6000億円に占める経常収益2646億余円の割合は44.1%となっている。また、経常費用は計1276億余円であり、このうち事業費は1077億余円となっていて、V3予算における大会組織委員会の支出に係る試算額6000億円に占める経常費用計1276億余円の割合は21.2%となっている。

ウ パラリンピック経費の執行状況

(ア) パラリンピック経費の概要

文部科学省は、大枠の合意に基づくパラリンピック経費の4分の1相当額を負担するために、平成29年度一般会計補正予算においてパラリンピック交付金300億円を計上して、30年3月に東京都へ同額を交付していて、東京都は、既存の基金に積み立てて自らの資金と区分経理している。パラリンピック経費における国の負担額の状況は、29年度1億8253万余円、30年度12億6083万余円と増加傾向にあるものの、30年度までで計14億4336万余円となっていて、国が既に東京都に交付しているパラリンピック交付金300億円に対する執行割合は、4.8%となっている。大会組織委員会は、30年度末現在の執行割合が低調となっている理由について、特に多額の経費が必要とされる仮設等の大会施設の整備に係る工事の多くにおいて、令和元年度からの整備が予定されているためであるとしている。

(イ) パラリンピック経費の確認状況

共同実施事業管理委員会は、大会組織委員会が東京都及び国等で負担する資金を使用して実施する事業である共同実施事業に係る経費、コスト管理及び執行統制の強化等について協議して、これらに関する事情等につき確認し、必要に応じて国、東京都及び大会組織委員会に対して指摘、助言等を行うこととされている。そして、共同実施事業管理委員会は、パラリンピック経費について、大会組織委員会がパラリンピック経費として整理した経費の一覧表、経費ごとの契約内容を整理した表等を確認するとともに、大会組織委員会から経費の内容について聴取することで、オリンピックとパラリンピックの双方の競技・選手に関わる経費については、経費の内容等を踏まえ適切に案分されたものであることなどとされた、パラリンピック経費の基本的な考え方に沿って適切かどうかを確認している。

検査したところ、パラリンピック交付金の交付対象とされた「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会専用アンチ・ドーピングラボラトリー運営業務委託」等5契約に係る平成29、30両年度のパラリンピック経費計4166万余円(うちパラリンピック交付金相当額計1041万余円)について、委託費の精算に当たり、委託業務に従事した人日数等の確認を十分に行っていなかったり、仕様書において受託者が実施すべき業務の内容が明確に記載されていなかったりするなど、大会組織委員会の会計処理規程、契約書等に基づく適切な会計経理がなされていない事態が見受けられた。また、パラリンピック交付金の交付対象とされた「伊豆ベロドローム・伊豆マウンテンバイク会場整備工事実施設計業務委託」等2契約(29年度1契約及び30年度1契約)に係る29、30両年度のパラリンピック経費計4135万余円(うちパラリンピック交付金相当額計1033万余円)について、上記パラリンピック経費の基本的な考え方に照らして、オリンピック、パラリンピック両競技で使用される会場等に係るオリンピック経費とパラリンピック経費の適切な案分方法について十分に検討すべきであったと認められる事態が見受けられた。パラリンピック経費に係る契約件数や金額等は、今後、令和2年に開催される大会に向けて大幅に増加していくことが見込まれることから、大会組織委員会において、これらに係る会計経理が適切になされる必要がある。国は、共同実施事業管理委員会の一員として、共同実施事業負担金のうちパラリンピック交付金を財源の一部とするパラリンピック経費について、大会組織委員会の会計処理規程、契約書等に基づく適切な会計経理が行われたものであるか、また、パラリンピック経費の基本的な考え方に沿ったものとなっているかなどの確認がより的確に行われるように働きかけていく必要がある。

エ 大会施設の整備状況

(ア) 大会施設の概要等

主な大会施設は、元年7月末現在で9都道県の26市区町にわたって45か所となっており、このうち43か所の競技会場が9都道県にわたって所在しているほか、選手村と国際放送センター・メインプレスセンターが東京都内に整備されることになっている。競技会場を使用する競技大会別にみると、オリンピック、パラリンピック両競技大会で使用されるものは20か所、オリンピック競技大会のみで使用されるものは22か所、パラリンピック競技大会のみで使用されるものは1か所となっている。また、大会施設を整備等の内容別にみると、43か所の競技会場については、大会を契機に新規に建設するものが8か所あり、残りの35か所については、既存の競技施設をそのまま又は改修して使用したり、競技施設以外の施設等を一時的に使用したりするなどとされている。

なお、大枠の合意によれば、大会準備における進行管理の強化として、東京都、大会組織委員会、国及び関係自治体の4者は、大会の準備及び運営に関する具体的な業務について、会場の状況等に即して内容を精査の上、実施に当たっては進行管理に万全を期していくこととされている。

(イ) JSCによる新国立競技場の整備

JSCが行う新国立競技場の主な整備には、新国立競技場の整備計画(以下「新整備計画」という。)において対象となっているスタジアム本体及び周辺整備と設計・監理等に加えて旧競技場の解体工事があり、その他に埋蔵文化財調査、計画用地内に所在する日本青年館・JSC本部棟移転、通信・セキュリティ関連機器整備、什(じゅう)器等整備、旧整備計画関係がある。

元年10月末現在の主な整備の進捗状況についてみると、スタジアム本体等に関連する整備は、設計業務(基本設計及び実施設計)等を行う第Ⅰ期業務は既に完了して本体等の工事等を行う第 II 期業務を実施中である。また、平成29年から通信・セキュリティ関連機器整備が開始され、令和元年に什器整備も開始されてそれぞれ実施中となっている。また、新国立競技場の整備に伴う経費の執行状況についてみると、平成30年度までの契約金額計2073億余円に対して支払額は計1362億余円となっている。

令和元年10月末現在のスタジアム本体等の工事等を行う第 II 期業務の進捗状況を確認したところ、JSCによると、同年11月末の新国立競技場の完成に向けて、支障なく進捗しているとしており、屋根工事は同年5月に、地上工事、外装仕上工事、内装仕上工事及びフィールド工事は同年10月に完了している。また、歩行者デッキ工事及び各種検査は同年11月に完了する予定としている。

(ウ) JSCによる国立代々木競技場の整備

国立代々木競技場は、第一体育館、第二体育館、付属棟等から成り、元年10月末現在の整備の進捗状況について確認したところ、耐震改修工事は、第一体育館及び付属棟等は平成29年12月に、第二体育館は30年7月にそれぞれ着手している。また、機能向上工事及び老朽化対策工事については、第一体育館及び付属棟等は30年11月に、第二体育館は令和元年9月にいずれも第一体育館及び付属棟等の耐震改修工事の契約に追加する契約変更を行って着手している。そして、上記工事のしゅん工予定は、第一体育館及び付属棟等が同年11月、第二体育館が2年6月とされている。これらの平成30年度までの契約金額は計169億4166万余円、支払額は計31億3926万余円となっており、その財源は運営費交付金8424万円、施設整備費補助金4億1061万余円及び特定金額(注3)26億4440万余円となっている。

(注3)
特定金額  国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致又はその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備等であって緊急に行う必要があるものとして文部科学大臣が財務大臣と協議して定める業務である特定業務に充てる金額
(エ) JRAによる馬事公苑の整備

令和元年10月末現在の整備の進捗状況について確認したところ、JRAによると、大会開催時に利用が想定される施設を対象とした第1期工事について同月に予定していた全面しゅん工は一部建物の鉄骨工事における作業の遅れにより同年12月に変更される予定であるとしていて、特別振興資金(注4)を財源として、平成30会計年度までに計177億6517万余円を支払っている。

(注4)
特別振興資金  JRAが、日本中央競馬会法(昭和29年法律第205号)に基づき、競馬場の周辺地域の住民又は競馬場の入場者の利便に供する施設の整備その他の競馬(馬術競技を含む。)の健全な発展を図るために必要な業務等に関して設ける資金
(オ) 東京都による大会施設の整備

開催都市である東京都が所有する大会施設は14か所となっており、このうち東京都が大会に向けた新規整備又は改修整備を行うのは11か所となっている。令和元年7月末現在、武蔵野の森総合スポーツプラザ等4施設がしゅん工している。整備費の財源をみると、その一部に国庫補助金等が充てられており、有明アリーナについては、平成29年度及び30年度に国土交通省から計9820万余円が、また、東京アクアティクスセンターについては、28年度及び30年度に文部科学省から計3923万円がそれぞれ交付されている。

(カ) 都外自治体又は民間団体による大会施設の整備

都外自治体又は民間団体が所有する大会施設は18か所となっており、このうち競技施設の所有者等が行う改修の目的が大会のためだけであるか否かにかかわらず、大会に資する改修整備を行っているのは、都外自治体によるものが10か所、民間団体によるものが2か所の計12か所となっていて、令和元年7月末現在において、いずれも整備を実施中となっている。施設の整備費の財源をみると、ほとんどの施設が都外自治体又は民間団体の単独費用で行われているが、一部に国庫補助金等が充てられていて、平成30年度からは、福島あづま球場等6か所においてJSCが交付するスポーツ振興くじ助成金(注5)が改修等整備に係る費用の財源の一部に充てられている。

(注5)
スポーツ振興くじ助成金  JSCが、スポーツ振興くじの売上げによる収益を原資として、地方公共団体又はスポーツ団体が行うスポーツ振興に係る事業に対して助成する助成金
(キ) 大会組織委員会による大会施設の整備

大会組織委員会が行うこととなっている仮設整備(注6)及びオーバーレイ整備(注7)は、各施設によりその規模は異なるものの、全ての大会施設45か所で整備が必要となるものであり、令和元年7月末現在において、実施設計中のものが36か所、工事に着手しているものが8か所となっている。そして、大会施設45か所のうち、国から東京都を通じて大会組織委員会に交付されるパラリンピック交付金の交付対象とされる大会施設は22か所となっている。

(注6)
仮設整備  大会期間中に一時的に国際オリンピック委員会が求める施設水準とするために必要な建物、観客席、電源設備等の仮設施設の設置・撤去
(注7)
オーバーレイ整備  大会の運営上必要となるプレハブ、テント、放送用の照明等であるオーバーレイの設置・撤去

オ 新国立競技場の整備に係る財源確保等の状況

(ア) 事業費の上限額の監理体制と契約変更の状況

新整備計画によれば、整備コストはスタジアム本体及び周辺整備に係る工事費、設計・監理等の費用を合わせて1590億円を上限(賃金又は物価等の変動等による場合を除く。)とすることとされている。

受注者である新国立競技場整備事業大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体(以下「JV」という。)は、公募の際に技術提案した事業費(建設費1489億9993万余円及び設計・監理等費39億8584万余円)を遵守することが求められていて、施工時の検討等に伴い設計内容に変更が生ずる場合には、事業費を遵守するために、変更による金額の増減に合わせて他の変更可能な内容を検討し、JSCはJVから変更理由、変更概算額等について説明を受けて、要求水準等に影響がないこと及び適切に事業費が遵守されていることを日々事業者と行う定例会議において確認するとともに、必要に応じて外部有識者で構成するアドバイザリー会議に報告して確認を受けることとなっている。また、変更内容を契約に適切に反映するために、定期的に変更契約を締結している。

第 II 期業務については、平成30年度末現在において計6回の変更契約が締結されている。それぞれの変更契約においては、施工段階の検討等により設計内容が見直されて、使用者の利便性や施設の安全性等の面から必要と判断された設備等の施工内容が増える一方で、要求水準や安全性等に影響を及ぼさないと判断された塗装や仕上材の見直しによる施工費用の縮減により、29年度まではいずれの変更契約も契約金額の変更がないものとなっている。30年度末現在における契約金額は、急激な労務費等の上昇に対応するなどの変更契約により当初契約金額から14億1732万余円増加して1519億1181万余円となっている。

(イ) 整備費用に係る分担決定の状況

27年12月に新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議において決定された整備に係る財源、分担対象経費、分担割合等の内容(以下「財源スキーム」という。)に基づく国、東京都等の分担内容は、スタジアム本体・周辺整備に係る工事及び設計・監理等に要する支出見込額計1590億円と旧競技場の解体工事に係る支出額又は支出見込額計55億円の合計1645億円から、JSCが実施して負担する上下水道工事に要する支出見込額27億円及びJSCが実施して東京都に引き渡して東京都が負担する道路上空連結デッキ整備に要する支出見込額37億円を除く1581億円を分担対象経費として、国は2分の1相当額である791億円を負担し、東京都は4分の1相当額である395億円を負担して、残りの395億円については、JSCが実施するスポーツ振興くじの売上金額の一部を財源として充てることとなっている。

財源スキームに基づく東京都の負担見込額395億円については、JSCは、30年報告の「JSCは、新国立競技場の整備等の業務に係る確実な財源の確保等のために、財源スキームに基づく東京都の負担見込額395億円について東京都と協議を進めて、速やかに特定業務勘定(注8)への入金時期等を明確にするなどしていくこと」との所見も踏まえ、東京都と協議を進めて、31年1月に、JSCと東京都の費用負担額及び負担の方法に関する基本協定書を締結しており、基本協定書によれば、東京都は、令和元年度から3年度までに395億円を負担するとされ、別途、JSCと締結する各年度の年度協定書に基づき各年度に負担する費用の額等を決定することとされている。そして、平成31年4月にJSCが東京都と締結した31年度の年度協定書によれば、同年度に東京都が負担する額は、大会終了後に地表公園を整備する際の費用を除いた394億余円を上限とすることとされ、東京都は、31年4月にJSCからの請求に基づき30年度末現在における工事出来高に相当する280億0750万円をJSCに支払い、工事しゅん工後に残額をJSCに支払う予定となっている。30年度末現在の契約金額、支払額の状況を確認したところ、財源スキームにおける経費の見込額1645億円に対して、契約金額の合計額については上下水道工事等に係る契約の増額により計1664億余円となっており、これに対する支払額は計1087億余円となっている。

(注8)
特定業務勘定  国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致又はその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備等であって緊急に行う必要があるものとして文部科学大臣が財務大臣と協議して定める業務である特定業務に係る経理について整理するために設けられている特別の勘定
(ウ) 文部科学省及びJSCによる財源確保の状況

25年度から30年度までのJSCの特定業務勘定の決算の状況を確認したところ、収入は計2074億余円となっていて、このうち運営費交付金の221億余円及び政府出資金の295億余円の計517億余円が文部科学省から交付されたものとなっており、特定金額は計478億余円となっている。そして、支出は計1971億余円となっていて、このうち新国立競技場の整備に係る支出額は計1364億余円(うち運営費交付金209億余円、政府出資金295億余円)、国立代々木競技場の耐震改修等工事に係る支出額は27億余円、ナショナルトレーニングセンターの拡充整備のための用地取得等に係る支出額は46億余円となっている。

上記のうち特定金額については、28、29両年度は100億円を上回っていたが、スポーツ振興くじの売上金額が29年度の1080億余円から30年度は948億余円と減少したことから、30年度の特定金額は94億余円と100億円を下回っている。JSCが示した令和元年10月末現在における特定業務勘定の収支の見通しによると、30年報告で報告した長期借入金311億円のほか、平成31年3月に借り入れた256億8000万円、また、令和元年12月及び2年7月に借り入れる予定としている計212億2000万円の長期借入金の返済期間は12年度までと長期にわたるものとなっている。財源スキーム上の分担対象経費の半分以上は特定金額による負担に依存する形となっていて、上記収支の見通しは、3年度以降、特定金額として110億円の収入が回復すると仮定したものである。

(エ) 大会終了後の運営管理、活用方法等の検討状況

文部科学省に設置された大会後の運営管理に関する検討ワーキングチームにより策定された「大会後の運営管理に関する基本的な考え方」(以下「基本的考え方」という。)に沿った新国立競技場の民間事業化等に向けた検討について、JSCは、平成29年度以降、各種検討業務を委託により実施している。JSCは、30年報告の「早期に新国立競技場の大会終了後の活用に係る国及びJSCの財政負担を明らかにするために、JSCは、大会終了後の改修について文部科学省、関係機関等と協議を行うなどして速やかにその内容を検討して、的確な民間意向調査、財務シミュレーション等を行うこと、また、文部科学省は、その内容に基づき民間事業化に向けた事業スキームの検討を基本的考え方に沿って遅滞なく進めること」との所見も踏まえて、民間事業化の事業スキーム構築に向けて、民間事業者からのヒアリングを行うなどして民間事業化の導入可能性の評価をしたり、コンセッション事業(注9)を行う場合の事業期間、費用負担、事業範囲等を示した実施方針素案等を作成したりするアドバイザリー業務を30年度末までに実施するとともに、大会後の新国立競技場について、どのような改修整備ができるかを技術的及び法令的に検証する業務(令和元年10月末現在において業務期間は同月末までとされている。)を実施している。

新国立競技場の完成後は、施設の規模に相応の維持管理費(点検・清掃費用等の保全コスト、修繕コスト及び電気・ガス・上下水道に要するコスト)が毎年度必要となる。しかし、元年10月末現在では、大会終了後の改修について、その内容や財源等は決まっていない。また、新国立競技場の完成後のJSCが負担する維持管理費については、新国立競技場の運営収入で負担しきれない場合、新たな国の負担が生ずる可能性がある。これらのことから、JSCは引き続き文部科学省、関係機関等と協議するなどして速やかに大会終了後の新国立競技場の改修に関する内容の検討を行ったり、民間の投資意向等と国及びJSCの財政負担等を総合的に勘案しつつ財務シミュレーション等を行ったりする必要がある。そして、文部科学省は、その内容を基に民間事業化に向けた事業スキームの検討を基本的考え方に沿って遅滞なく進める必要がある。

(注9)
コンセッション事業  利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式により運営を行う事業。公共主体が所有する公共施設等について、民間事業者による安定的で自由度の高い運営を可能とすることにより、利用者ニーズを反映した質の高いサービスの提供が可能となる。

(2) 各府省等が実施する大会の関連施策等の状況

ア 大会の関連施策の全体状況等

(ア) 政府の取組状況報告

平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法(平成27年法律第33号)によれば、大会が終了するまでの間、政府の取組状況報告はおおむね1年に1回国会へ報告するとともに公表することとされている。その記載に当たっては、大会の関連施策の具体的な定義を策定することが困難であることから、各府省等が自ら実施する施策の内容について大会に関連すると判断したものについて記載することになっている。

令和元年取組状況報告に記載された15分野71施策の取組内容に該当する事業と当該事業の平成25年度から30年度までの支出額について、本院が各府省等に調書の提出を求めて集計したところ、14府省等(14府省等が大会の関連施策として整理した事業を運営費交付金、政府出資金及び自己収入を財源として実施する10独立行政法人を含む。)において、「大会の円滑な準備及び運営」に資する8分野の45施策に係る179事業、「大会を通じた新しい日本の創造」に資する7分野の26施策に係る159事業及び両方にまたがる取組内容であり、区分が困難な2事業の計340事業が実施されていて、それらに係る支出額は計1兆0600億余円となっている。

(イ) オリパラ関係予算の執行状況

オリパラ関係予算の25年度から30年度までの執行状況について、本院が各府省等に対して調書の提出を求めて、その内容を集計した結果を示すと、25年度から30年度までにオリパラ関係予算として整理された48事業に係るオリパラ事務局への登録額1875億円に対して、支出額は1756億余円となっている。

(ウ) 政府の取組状況報告に記載された取組以外の国等による支援状況

国及びJSC等の独立行政法人は、政府の取組状況報告に記載された事業以外にも、大会組織委員会が行う大会の準備及び運営や、地方公共団体が自ら取り組むべき事業を設定して実施している大会の関連施策等に対して支援を行っている。各地方公共団体が実施する大会の関連施策は、地方公共団体により、設定した事業の内容や、各府省等の国庫補助金等、独立行政法人の助成金等の活用状況が異なっている。オリパラ事務局は、これらの支援については、政府が行う大会の関連施策とは異なる行政経費であるなどとして政府の取組状況報告においては記載していない。そこで、本院は、会計実地検査等で確認した内容について分析を行ったほか、各地方公共団体に調書の提出を求めるなどして、国又はJSC等の独立行政法人による大会組織委員会、各地方公共団体等に対する支援の状況の内容を集計した。その結果、①国による東京都に対する支援として、29、30両年度に国庫補助金等による財政支援が計93億7083万余円、②国による東京都内の大会施設が所在する市及び特別区に対する支援として、28年度から30年度までに国庫補助金等による財政支援が計14億8411万余円、③国による都外自治体に対する支援として、28年度から30年度までに国庫補助金等による財政支援が計107億0587万余円、④国による自転車競技(ロードレース)コース上に所在する1県及び4都県の15市町村に対する支援として、28年度から30年度までに国庫補助金等による財政支援が計3364万余円、⑤JSC等の独立行政法人による大会組織委員会、東京都、その他の地方公共団体又は民間団体に対する支援として、2(1)イ(ウ)に記載のJSCにおけるスポーツ振興くじの売上げを原資とした大会の開催に係る事業に対する助成による大会組織委員会に対する財政支援(26年度~30年度計23億5863万余円)及び大会組織委員会以外に対する財政支援(27年度~30年度計49億1627万余円)のほか、財政支援を受けているのは3道県2市区であり、その助成金等の額は28年度から30年度までに計15億7077万円となっている。

(エ) その他の大会に関する主な支援

大会に関しては、国等による関連施策の実施や財政支援が行われているもの以外にも、国による大会組織委員会に対する職員の派遣等の支援として、25年度から30年度までに、11府省等から計86人が派遣等されており、86人のうち44人に係る俸給等の大部分を各府省等が負担しており、27年度から30年度までの負担額は計4億2301万余円となっているなど様々な形の支援が行われている。

イ 「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策の状況

今回の検査においては、大会の関連施策の実施状況についてのフォローアップ検査を実施するとともに、令和2年の大会の開催を控えて、特に「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策に重点を置いて、大会の関連施策の実施状況を検査した。

(ア) 「セキュリティの万全と安全安心の確保」に係る大会の関連施策の実施状況

内閣サイバーセキュリティセンターは、サイバーセキュリティ戦略等に基づき、平常時の予防的措置として、大会組織委員会、大会の円滑な準備、運営及び継続性の確保に不可欠なサービスを提供する各府省等、地方公共団体、民間事業者等(以下「重要サービス事業者等」という。)を対象としてリスク評価の取組を実施している。平成30年度までのリスク評価の実施状況についてみると、第1回(28年度)から第3回(30年度)までの各回における実施依頼事業者数に対する回答事業者数の割合である回答率は、72.6%から86.7%までとなっている。そして、リスク対応には時間を要するものがあるものの、第3回のリスク評価結果の取りまとめ時点(30年11月)において、第2回で対応が必要なリスクを特定した25事業者のうち、リスク対応を完了したのは2事業者にとどまっている。内閣サイバーセキュリティセンターは、サイバーセキュリティに係る脅威等に対する予防的措置として実施したリスク評価の結果を踏まえて、各重要サービス事業者等においてリスク対応が実施されるようより一層促していく必要があり、大会の開催に向けて更なる取組が必要と認められた。

厚生労働省は、大会に合わせて様々な国からの訪日客の増加が見込まれ、感染症発生リスクが増加することが懸念されることから、地域の実情に合わせて、地方公共団体ごとに適切に感染症のリスク評価を実施し、その結果に基づき、事前にサーベイランス(注10)体制の整備等の必要な準備を行うよう「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての感染症のリスク評価~自治体向けの手順書~」を策定している。30年5月末現在におけるホストタウンの事前キャンプ地としての外国選手団の受入れが決定している59地方公共団体について、30年度末現在における感染症のリスク評価の実施状況等を確認したところ、感染症のリスク評価を実施していない地方公共団体が24地方公共団体(59地方公共団体の40.6%)見受けられた。また、感染症のリスク評価を実施した35地方公共団体のうち21地方公共団体がステップ2のリスク評価を実施した結果、リスクが増加すると判断していたものの、このうち7地方公共団体(同11.8%)が当該増加するリスクに対する対策の策定であるステップ3の強化サーベイランスのプランニングを含む対策の策定を実施していない。厚生労働省は、感染症の予防等に係る対策を図るなどのために実施している感染症発生動向調査事業の目的をより確実に達成するために、感染症のリスクを適切に評価して、事前にサーベイランス体制の整備等を行うなど必要な準備に一層努めるよう関係する地方公共団体に促す必要があり、大会の開催に向けて更なる取組が必要と認められた。

(注10)
サーベイランス  継続的、統計的なデータの収集・分析・評価と対策部門・国民への情報提供を行う活動
(イ) 「アスリート、観客等の円滑な輸送及び外国人受入れのための対策」に係る大会の関連施策の実施状況

法務省は、19年度に、日本人等の出入(帰)国手続について、あらかじめ指紋及び顔写真を登録して出入(帰)国の際に機械的に読み取らせた情報と照合することで本人確認を行う指紋認証ゲートを40台導入して、26年度に30台増設しており、令和元年7月末現在で、4空港において計70台を設置・運用している。その後、法務省は、顔認証技術の確立に伴い、指紋の認証が必要なく、旅券を取得する際の顔写真を活用することで事前登録手続を不要とする顔認証ゲートを、平成29年度から順次、設置・運用していて、令和元年7月末現在で5空港において計137台が設置されている。顔認証ゲートの設置が開始された平成29年度から令和元年5月までの顔認証ゲートと指紋認証ゲートそれぞれの日本人出帰国者数に対する利用者数の割合について確認したところ、顔認証ゲートについては増設に伴い18.5%から76.0%に増加している一方、指紋認証ゲートについては、8.6%から3.7%に低下している。また、本院において、平成31年及び令和元年中における1台当たりの月間利用人数を算出したところ、顔認証ゲートが16,890人/台となるのに対して、指紋認証ゲートは1,521人/台となっている。法務省は、顔認証技術の確立に伴い利便性が高く利用者数の割合が増加している顔認証ゲートの導入が進んでいることから、より効率的な出入国審査を追求するために、指紋認証ゲートの需要等に見合った設置台数の見直しを行うなど、限られた審査場のスペースを最大限活用する方策を検討する必要があり、大会の開催に向けて更なる取組が必要と認められた。

(ウ) 「暑さ対策・環境問題への配慮」に係る大会の関連施策の実施状況

環境省は、平成27年度から、地方公共団体等が再生可能エネルギー由来の水素ステーション(以下「再エネ水素ステーション」という。)を設置する事業に要する経費に充てるために、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を交付している。

30年報告においては、事業主体等が別途調達する燃料電池自動車が本補助事業で導入された再エネ水素ステーションから水素の充塡を受けて走行した距離等に基づいて算出される二酸化炭素排出量の削減状況をみると、28、29両年度共に二酸化炭素排出削減量の目標値に対する実績の割合が50%未満にとどまっている設備が大半を占めていて、環境省において、今後、再エネ水素ステーションが十分に利用されることにより本補助事業の目的である二酸化炭素排出抑制が達成されるよう、事業主体等に対して指導等を行う必要があることを報告した。そして、30年報告後の再エネ水素ステーションの設置状況について確認したところ、運用箇所数は、30年度末現在において27か所であり、二酸化炭素削減量の実績についてみると、半数以上の再エネ水素ステーションにおいて目標値を達成していない状況となっている。30年報告を踏まえて、環境省は、30年12月に、毎月の事業実施状況の報告を行うよう各事業主体に対して指示している。環境省は、上記の各事業主体から提出された報告等を基に、各事業主体の事業実施状況を的確に把握して、再エネ水素ステーションの更なる利用を促進することにより、水素需要の喚起や普及啓発及び社会受容性の向上に資するよう、事業主体等に対して指導等を行う必要があり、大会の開催に向けて更なる取組が必要と認められた。

(エ) その他の大会の円滑な準備及び運営に資する大会の関連施策の実施状況

厚生労働省は、大会の開催に向けて、競技施設の建設やインフラの整備等による人手不足により現場の作業に習熟した労働者等の不足も懸念される状況にあるとして、28年度から30年度までの間、新規入職者等及び外国人建設就労者に対する安全衛生教育等を行う「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る建設需要に対応した労働災害防止対策事業」(以下「労働災害防止対策事業」という。)を建設業労働災害防止協会(以下「建災防」という。)に委託して実施している。このうち外国人建設就労者に対する安全衛生教育等については、労働災害防止対策事業の委託要綱及び仕様書による外国人建設就労者に対する安全衛生教育及び外国人雇用者に対する安全衛生教育(以下、これらを合わせて「外国人安全衛生教育」という。)の対象者数(以下「対象者数」という。)に対する委託契約の実績の回数及び人数の状況をみると、29年度における外国人建設就労者に対する安全衛生教育については、仕様書の18回に対して6回(33.3%)、720人に対して97人(13.4%)となっている。厚生労働省は、28、29両年度の外国人安全衛生教育の実績等を踏まえて、30年度の委託契約における回数及び対象者数を見直し、外国人建設就労者に対する安全衛生教育について回数12回、対象者数120人としており、実績については仕様書に示された回数及び対象者数を上回る14回、147人となっている。実績の人数については、28年度と比較して3倍程度に増加しており、また、外国人建設就労者受入人数についても28年度から30年度にかけて1,480人から4,796人と2年間で3倍程度に増加している。

そして、厚生労働省は、外国人建設就労者等に対する研修会の実施による外国人安全衛生教育を30年度に終了して、新たに視聴覚教材を同年度に建災防に855万余円で委託して作成している。厚生労働省は、新たに作成した視聴覚教材による外国人建設就労者に対する安全衛生教育が効果的に行われるよう、関係機関と連携を図るなどして、外国人雇用事業者に対して十分に周知を行うとともに、その活用状況等の把握に努めていく必要があり、大会の開催に向けて更なる取組が必要と認められた。

ウ 「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策の状況

今回の検査においては、令和2年の大会の開催を控えて、特に「大会の円滑な準備及び運営」に資する大会の関連施策に重点を置くこととし、「大会を通じた新しい日本の創造」に資する大会の関連施策の状況については、フォローアップ検査を実施した。

(ア) 「被災地の復興・地域活性化」に係る大会の関連施策の実施状況

オリパラ事務局は、住民等と大会等に参加するために来日する選手等、大会参加国・地域の関係者及び日本人オリンピアン・パラリンピアンとの交流を行うものであって、スポーツの振興、教育文化の向上及び共生社会の実現を図る取組を行う地方公共団体をホストタウンとして登録する事業を平成28年1月から行っている。ホストタウンとして登録された地方公共団体(以下「登録団体」という。)が事業を実施する場合、負担した額の2分の1について、特別交付税の地方財政措置を受けることができることとなっている(以下、特別交付税の対象となる事業を「交流事業」という。)。

30年報告においては、年度事業調に記載されている登録団体の事業のうち、28年度については43団体の80事業、29年度については56団体の88事業が全く実施されていない状況となっていることを報告した。30年報告後の状況について確認したところ、30年度の年度事業調を提出している300団体の1,111事業の同年度末現在の事業の実施状況については、91団体の135事業が全く実施されていない状況となっていた(以下、全く実施されていない交流事業を「未実施事業」という。)。

特別交付税に関する省令(昭和51年自治省令第35号)第2条第2項の規定によれば、前年度以前の特別交付税の算定額について、必要な経費の見込額等により算定した額が実際に要した経費を著しく上回るなどにより特別交付税の額が過大に算定されたと認められるときは、総務大臣が定めるところにより、特別交付税の算定の基礎とすべきものとして総務大臣が調査した額を控除することとされている(以下、同規定に基づく控除を「控除措置」という。)。しかし、総務省は、必要な経費の見込額等により算定した額が実際に要した経費を著しく上回った場合に控除措置を行うことができるよう、特別交付税の交付を受けた登録団体に対して実際に要した経費について報告を求めていない。30年度においては、未実施事業135事業(当該135事業に係る特別交付税算定額計5825万余円)のほかに、特別交付税の算定に用いる資料の提出後に登録団体において大会関係者等との交流に要する経費の負担がなくなった事業47事業(当該47事業に係る特別交付税算定額計1191万余円)があり、これらの未実施事業等がある計116団体のうち、当該未実施事業等に係る特別交付税相当額について次年度以降に控除措置に係る資料を提出する予定としていたのは54団体(116団体の46.5%)となっていた。したがって、適切に控除措置を行うことができるよう、総務省は、特別交付税の交付を受けた団体に対して実際に要した経費の報告を求める必要があると認められた。

上記本院の検査の結果を踏まえて、総務省は、令和元年10月に地方公共団体に対して、ホストタウン交流事業に係る経費について、見込額等に基づく報告額と決算額との差額等について報告を求める事務連絡を発出して、同報告の内容を基に、元年度の特別交付税の算定において控除措置を行うこととしている。

(イ) 「外国人旅行者の訪日促進」に係る大会の関連施策の実施状況

国土交通省は、平成28年度から「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金」、「訪日外国人旅行者受入基盤整備事業費補助金」及び「訪日外国人旅行者受入加速化事業費補助金」(以下、これらを合わせて「3補助金」という。)を交付していて、3補助金により実施する補助事業メニューについては、1事業メニューを除き、事業実施後に事業評価を実施することとなっている。

30年報告においては、28年度に実施した3補助金に係る事業評価について、29年度末現在、事業評価の結果が交付翌年度の4月末までに国土交通本省等に提出されておらず、2か月から10か月程度提出が遅れるなどしていて、事業評価の結果を踏まえた事業内容等の改善策の検討や、交付翌年度の事業実施計画の見直しなどを行うことができていない状況となっていたことなどを報告した。そして、30年報告後の状況について確認したところ、30年度に実施した事業評価結果の国土交通本省等への提出について、交付要綱の期限である31年4月末までに完了していたのは、10地方運輸局等のうち3地方運輸局にとどまっていて、7地方運輸局等において、2か月から3か月程度提出が遅れていた。国土交通省は、交付要綱を改正して、令和元年度の補助事業から、事業評価結果の提出期限を1か月延長した交付翌年度の5月末としているが、PDCAサイクルを適切に機能させることができるよう、適時適切に事業評価を実施する必要がある。

(ウ) 「日本文化の魅力の発信」に係る大会の関連施策の実施状況

オリパラ事務局は、我が国の文化の向上に取り組む中で、全ての人が参画できる社会に向けたレガシーの創出に寄与することを目的として、日本文化の魅力を発信する事業・活動であることなどの要件を満たす事業を「beyond2020プログラム」(以下「beyond2020」という。)として認証する取組を平成29年1月から行っている。

30年報告においては、東京都を除く46道府県及び20政令指定都市における29年度までの文化プログラムへの取組状況を調査し、各地方公共団体の事業についてbeyond2020等の認証を受けた実績があるのは58地方公共団体であることなどを報告した。そして、30年報告後の状況について確認したところ、30年度末現在において、認証を受けた実績があるのは62地方公共団体となっているなどしていて、文化プログラムに取り組んでいる団体数が増加している一方、beyond2020及びロゴマークの認知度についてみると、オリパラ事務局が一般国民を対象に実施した認知度調査において、「beyond2020という文化プログラムを知っている」及び「beyond2020のロゴマークを見たことがある」と回答した回答者の割合は、28、29、30各年度のいずれの調査結果においても10%前後にとどまっており、beyond2020及びロゴマークの認知度が向上しているとは言い難い状況となっている。オリパラ事務局及び関係機関は、引き続き、beyond2020の推進等により、大会のレガシーの創出に資する文化プログラムを全国に浸透させる取組を進める必要がある。

農林水産省は、大会を契機として日本ならではの伝統的な生活体験と農山漁村地域の人々との交流を楽しむ農泊をビジネスとして実施できる体制を持った農泊地域を令和2年までに500地域創出することを政策目標としていて、平成29年度に農山漁村振興交付金の対象事業として農泊推進対策及び農泊推進関連対策を創設している。農泊地域の創出に当たっては、両事業において、それぞれの事業目標を事業主体に設定させていて、政策目標の達成見込みを把握するためには、事業目標の達成状況を確認する必要があるとしている。

30年報告においては、設定した事業目標の達成が農泊地域の創出に結び付くものなのか明らかでないため、この確認だけでは政策目標の達成見込みを把握できるようなものにはなっていないと認められることなどから、農林水産省において、各事業主体の取組の進捗状況を把握するとともに、異なる地域で行われている各取組を横断的に検証するなどして、農泊地域の創出の見込みを適切に把握して、目標年度等の到来を待つことなく必要な指導等を行う必要があることを報告した。そして、30年報告後の状況を確認したところ、農林水産省は、農泊推進対策で採択した地域の実態を把握して、地域協議会等の体制整備等について指導を行っているとしていて、また、農泊推進関連対策で採択した地区についても、地域協議会を設立するなどして農泊推進対策を実施するように指導を行っていた。しかし、30年報告において対象とした29年度に農泊推進関連対策を実施した28団体について農泊推進対策を実施できたか確認したところ、30年度末現在において、地域協議会を設立するなどして農泊推進対策が採択されたのは15団体(28団体の53.5%)となっていて、残り13団体(28団体の46.4%)は農泊推進対策が採択されていなかった。なお、上記13団体から農泊推進関連対策の計画を取り下げた1団体を除く12団体のうち5団体については、令和元年8月末現在、元年度の農泊推進対策に採択されている。農林水産省は、政策目標の達成に向けて、更に各地域における農泊地域の創出の見込みの適切な把握に努めて必要な指導等を行う必要がある。

3 検査の結果に対する所見

国は、平成25年9月に大会の開催都市を東京都とすることが決定されて以降、大会の準備及び運営の主体である大会組織委員会、開催都市である東京都等が実施する取組の支援を行ってきているところである。

大枠の合意においては、国は、東京都、大会組織委員会、関係自治体と共に、大会の準備及び運営に関する具体的な業務について、会場の状況等に即して内容を精査の上、実施に当たっては進行管理に万全を期していくとしており、これまで、関係者間の連携を図るために様々な連絡会議等が実施され、大会の準備に関する進行管理等を行ってきているところであるが、大会の開催も間近に迫り、準備も大詰めを迎えようとしている。そのうち、大会施設については、JSC及びJRAが整備等を行っている新国立競技場を始めとした競技会場のように既に整備がほぼ完了しているものもあるが、大会を支障なく実施するためには、さらに、大会組織委員会がその一部の経費にパラリンピック交付金を充てて実施する仮設整備及びオーバーレイ整備を適切に実施する必要がある。また、大会施設の維持管理や運営、レガシーの創出等の大会終了後も見据えた準備等も着実に実施していく必要がある。

ついては、オリパラ事務局、各府省等、JSC及びJRAは、大会の成功に向けて、引き続き次の点に留意するなどして、大会組織委員会、東京都、都外自治体等の関係機関と相互に緊密な連携を図って大会の準備、運営等に係る取組を適時適切に実施していく必要がある。

  • ア オリパラ事務局は、国が担う必要がある業務について国民に周知して理解を求めるために、各府省等から情報を集約して、業務の内容、経費の規模等の全体像を把握して公表することについて充実を図っていくこと
  • イ 国は、共同実施事業管理委員会の一員として、共同実施事業負担金のうちパラリンピック交付金を財源の一部とするパラリンピック経費について、大会組織委員会の会計処理規程、契約書等に基づく適切な会計経理が行われたものであるか、また、パラリンピック経費の基本的な考え方に沿ったものとなっているかなどの確認がより的確に行われるように働きかけていくこと
  • ウ JSC及びJRAは、引き続き、大会の開催に支障のないよう、所有する大会施設の仮設整備及びオーバーレイ整備を実施する大会組織委員会と十分な調整を行っていくこと
  • エ JSCは、引き続き文部科学省、関係機関等と協議するなどして速やかに大会終了後の新国立競技場の改修に関する内容の検討を行ったり、民間の投資意向等と国及びJSCの財政負担等を総合的に勘案しつつ財務シミュレーション等を行ったりすること、文部科学省は、その内容を基に民間事業化に向けた事業スキームの検討を基本的考え方に沿って遅滞なく進めること
  • オ 大会の関連施策を実施する各府省等は、大会組織委員会、東京都等と緊密に連携するなどして、その実施内容が大会の円滑な準備及び運営並びに大会終了後のレガシーの創出に資するよう努めること、特に大会の開催に向けて更なる取組が必要と認められた事業については、個々の施策の目的に沿って課題等の解消に向けて取り組むこと、オリパラ事務局は、引き続き大会の関連施策の実施状況について政府の取組状況報告等の取りまとめにより把握するとともに、各府省等と情報共有を図るなどしてオリパラ基本方針の実施を推進すること

本院としては、大会が大規模かつ国家的に特に重要なスポーツの競技大会であることなどに鑑み、30年報告に続き、今回、30年報告の検査結果に対する改善状況、大会の開催に向けた取組等について分析して報告することとした。そして、令和2年には大会の開催を迎えて、国も大会組織委員会、東京都等と共に、大会の準備や運営に注力していくことになることから、引き続き、大会の開催に向けた取組等の状況及び各府省等が実施する大会の関連施策の状況について総括的な検査を実施して、その結果については、大会の終了後に取りまとめが出来次第報告することとする。