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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
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  • 令和元年12月|

福島再生加速化交付金事業等の実施状況について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

国は、福島特措法に基づき、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策を総合的に策定し、継続的かつ迅速に実施する責務を有することとされている。また、国は、福島特措法に基づき、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針として、福島復興再生基本方針を定めている。同基本方針において、国は、施策全般の着実な実施に必要な予算を確保し、福島の復興及び再生に向けて責任を持って臨むこととしている。そして、国は、福島再生加速化交付金事業等を福島全域及び避難解除等区域等における復興及び再生の柱として位置付け、毎年度多額の予算を措置している。

そこで、会計検査院は、福島再生加速化交付金事業等について、合規性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。

ア 加速化交付金等の予算及び決算の推移はどのようになっているか、また、基金型事業の実施後の基金は効率的に管理されているか。

イ 各事業は事業計画等に照らして着実に進捗し、その効果が発現しているか。

ウ 避難者及び帰還者の状況と各事業の実施状況との関係はどのようになっているか。

(2) 検査の対象及び方法

検査に当たっては、25年度から29年度までの間に福島県等において実施された加速化事業を対象として、29年度末現在で加速化交付金の交付実績がある10府省庁等(注7)並びに事業実施主体である福島県及び避難指示・解除区域11市町村のうち3市村を含む22市町村(注8)において、交付申請書、実績報告書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、福島県及び当該22市町村並びに避難指示・解除区域11市町村以外の同県内の市町村等については、調書の提出を受けてその内容を確認するなどの方法により検査した。避難指示・解除区域11市町村のうち上記3市村を除く8市町村の事業の実施状況については、当該市町村の復興事業の推進を考慮して10府省庁等及び福島県から提出を受けた関係資料、調書等を確認するなどの方法により検査し、避難指示・解除区域11市町村の予算の執行状況については、27年度までを対象として検査した。

また、国が24年度から29年度までの間に避難指示・解除区域市町村、一部事務組合等に委託して実施した環境整備等委託事業を対象として、復興庁本庁、福島復興局並びに受託市町村等である5市町村及び2一部事務組合(注9)において、委託契約書、事業計画書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、復興庁本庁から調書の提出を受けてその内容を確認するなどの方法により検査した。

避難指示・解除区域市町村における避難者及び帰還者の状況については、住民登録数や居住者数等に関して、公表されている資料を確認したり、避難指示・解除区域市町村から調書の提出を受けてその内容を確認したりするなどの方法により検査した。

(注7)
10府省庁等  内閣府、復興庁、総務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境各省、原子力規制委員会
(注8)
22市町村  福島、郡山、いわき、白河、須賀川、相馬、二本松、田村、伊達、本宮各市、伊達郡桑折、国見、岩瀬郡鏡石、西白河郡矢吹、田村郡三春、双葉郡広野、相馬郡新地各町、安達郡大玉、岩瀬郡天栄、西白河郡西郷、双葉郡川内、葛尾各村
(注9)
5市町村及び2一部事務組合  田村市、双葉郡広野、楢葉両町、双葉郡川内、葛尾両村、双葉地方広域市町村圏組合、双葉地方水道企業団