国は、平成23年3月の東日本大震災発生後、同年6月に東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)に基づく東日本大震災からの復興の基本方針を定めるとともに、24年7月に福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)に基づき福島復興再生基本方針を定め、原子力災害からの福島の復興及び再生に向けて様々な取組を実施している。このうち、国は、長期避難者支援から早期帰還までの対応策について、それまで個別に実施していた交付金等の事業を一括化する福島再生加速化交付金を25年度に創設するなどしている。また、国は、同交付金による事業のほか、住民の生活環境の改善に資するために必要な公共施設等の機能回復を行う事業を実施するなどしている。そして、国は、これらの福島再生加速化交付金事業等を福島全域や避難解除等区域等の復興及び再生の柱として位置付け、同事業等に毎年度多額の国費をこれまで投入してきている。
会計検査院は、24年8月27日、参議院から、国会法(昭和22年法律第79号)第105条の規定に基づき、東日本大震災からの復興等に対する事業に関する事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けて、①東日本大震災に伴う被災等の状況、②復興等の各種施策及び支援事業の実施状況について検査を実施し、その結果を同年10月から29年4月までの間に計5回報告していて、29年4月12日の会計検査院長から参議院議長に対する報告においても、東日本大震災に伴う東京電力株式会社(平成28年4月1日以降は東京電力ホールディングス株式会社)の福島第一原子力発電所の事故による原子力災害からの復興及び再生の状況等について、記述している。
本報告書は、以上のような状況を踏まえ、福島再生加速化交付金事業等の実施状況について検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
令和元年12月
会計検査院