(1件 不当と認める国庫補助金 15,693,827円)
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 |
年度 |
事業費 |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(3) | 奈良県 |
生駒郡安堵町 |
地方創生拠点整備交付金 |
29 | 62,891 | 31,008 | 31,863 | 15,693 |
この交付金事業は、生駒郡安堵町が、地域再生法(平成17年法律第24号)、地方創生拠点整備交付金制度要綱(平成28年府地事第503号)等に基づき、地域の交流と消費活動を創出・促進するなどのために、トーク安堵カルチャーセンター(以下「センター」という。)において、食に関連した機能を新たに追加するトーク安堵カルチャーセンターグルメエンタメ活動拠点整備事業を実施したものである。このうち、センター内の多目的ホールの空調設備に係る改修工事は、屋上に設置していた防振架台及びその上に設置する冷温水発生装置を更新するなどしたものである。
本件工事の設計図書によれば、冷温水発生装置等の設備機器の設置については、「建築設備耐震設計・施工指針2014年版」(独立行政法人建築研究所監修。以下「耐震設計指針」という。)によることとされている。そして、耐震設計指針によれば、設備機器を設置する基礎が建物に固定していない梁(はり)型の基礎(以下「梁型基礎」という。)の場合は、設備機器の重心高さが、設備機器を固定している両端のアンカーボルト間の長さ(以下「ボルトスパン」という。)の0.25倍以下となっているかなど、地震によって生ずる力に耐えるための条件を満たしているか検討することなどとされている(参考図1参照ZU1)。
また、設計図書の一部である納入仕様書によれば、防振架台は、径16㎜のアンカーボルトを用いて計6か所を梁型基礎に固定すること(以下、この条件を「施工条件」という。)などとされている。
しかし、本件工事の設計業者は、梁型基礎の耐震性について耐震設計指針に基づく耐震設計計算を行っていなかった。また、同町においても、耐震設計指針に基づく耐震設計計算が行われているかを確認していなかった。
そこで、梁型基礎の設計について、耐震設計指針に基づき耐震設計計算を行ったところ、冷温水発生装置等の重心高さがボルトスパンの約0.56倍となっており、地震によって生ずる力に耐えるための条件である0.25倍以下となっておらず、耐震性が確保されていなかった。
また、本件工事の請負人は、防振架台の施工条件を確認せずに施工するなどしたため、防振架台は6か所のうち2か所は梁型基礎に固定されておらず、残りの4か所は施工条件で求められている径16㎜のアンカーボルトが使用されておらず、径12㎜のアンカーボルトが使用されていた。さらに、同町においても、施工条件を満たした施工となっていないことを看過していた(参考図2参照ZU2)。
したがって、本件工事で設置した冷温水発生装置等(工事費相当額計31,863,632円)は、設計及び施工が適切でなかったため耐震性が確保されておらず、地震時に転倒して破損するなどのおそれがある状態となっていて、これに係る交付金相当額計15,693,827円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、設計業者による耐震設計計算が行われていなかったり、請負人による施工が施工条件と異なっていたりしていたのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図1)
設備機器と梁型基礎の概念図
(参考図2)
冷温水発生装置等の概念図