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  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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特別交付税の額の算定に当たり、他の算定事項で算定した経費を重複して含めていたり、算定の対象とならない経費を含めていたりなどしたため、特別交付税が過大に交付されていたもの[総務本省](5)―(11)


所管、会計名及び科目
内閣府、総務省及び財務省所管
交付税及び譲与税配付金特別会計 (項)地方交付税交付金
部局等
総務本省
交付の根拠
地方交付税法(昭和25年法律第211号)
交付先
県3、市3、町1
特別交付税交付額
28,318,108,000円(平成28年度~令和元年度)
過大に交付された特別交付税の額
194,706,000円(平成28年度~令和元年度)

1 特別交付税の概要

総務省は、地方交付税法(昭和25年法律第211号)に基づき、普通交付税の算定方法によっては捕捉されなかった特別の財政需要があるなどの地方団体に特別交付税を交付している。

特別交付税の額の算定方法は、特別交付税に関する省令(昭和51年自治省令第35号。以下「省令」という。)において、特別の財政需要として算定の対象となる事項(以下「算定事項」という。)ごとに定められている。算定事項には、地域おこし協力隊員の設置等に要する経費(以下「地域おこし協力隊経費」という。)、空き家対策に要する経費(以下「空き家対策経費」という。)、移住・定住対策に要する経費(以下「移住定住経費」という。)、地方創生の推進に要する経費(以下「地方創生経費」という。)、観光立国の推進に要する経費(以下「観光立国経費」という。)等がある。

地方交付税法等に基づき、都道府県は、当該都道府県に該当する算定事項ごとに、特別交付税の額の算定に用いる資料等(以下「算定資料」という。)を作成して、総務省に提出することとなっている。また、市町村は当該市町村に該当する算定事項ごとに算定資料を作成して都道府県に提出することとなっており、都道府県は管内市町村から提出された算定資料の審査を行って総務省に送付することなどとなっている。そして、総務省は、都道府県から提出又は送付された算定資料により、各地方団体に交付すべき特別交付税について、額を算定して決定し、交付することとなっている。

省令、算定資料の記載要領等(以下「省令等」という。)によれば、特別交付税の額の算定は、都道府県又は市町村が負担する額に基づくことなどとされ、算定の対象となる経費が算定事項ごとに定められている(以下、特別交付税の額の算定の対象となる都道府県又は市町村が負担する額について、県が負担するものは「県負担額」、市町村が負担するものは「市町村負担額」という。)。そして、他の算定事項において特別交付税が措置される経費については、算定資料の記載に当たり、これを重複計上しないよう除外することとされている。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、特別交付税の額が適正に算定されているかなどに着眼して、総務本省、6県及び5県の64市町村において、平成28年度から令和元年度までの間に交付された特別交付税を対象として、算定資料等を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査の結果、3県及び3県の4市町において、算定資料の作成に当たり、他の算定事項で算定した経費を重複して含めていたり、算定の対象とならない経費を含めていたりなどしたため、3県及び4市町に交付された特別交付税計28,318,108,000円のうち計194,706,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、県及び市町において省令等の理解及び算定資料の確認が十分でなかったこと、県において市町の算定資料の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例1

島根県は、平成30年度に、移住定住経費に係る算定資料の作成に当たり、県負担額を484,645,000円として、移住定住経費の算定額を含む特別交付税3,276,669,000円の交付を受けていた。

しかし、同県は、地方創生推進交付金事業として実施した、UIターン推進のための事業に係る経費85,163,000円を地方創生経費の県負担額に含めているのに、これを移住定住経費の県負担額にも重複して含めており、移住定住経費に係る県負担額85,163,000円が過大となっていた。

したがって、適正な県負担額に基づいて特別交付税の額を算定すると3,234,087,000円となることから、特別交付税42,582,000円が過大に交付されていた。

事例2

徳島県は、平成28年度から令和元年度までの間に、空き家対策経費に係る算定資料の作成に当たり、県負担額を計294,389,000円として、空き家対策経費の算定額を含む特別交付税計11,033,303,000円の交付を受けていた。

しかし、同県は、市町村による空き家対策事業に係る県負担額に加えて、算定の対象とならない市町村負担額を誤って計上していたため、空き家対策経費に係る県負担額計221,968,000円が過大になっていた。

したがって、適正な県負担額に基づいて特別交付税の額を算定すると計10,922,319,000円となることから、特別交付税計110,984,000円が過大に交付されていた。

以上を県別・交付先別に示すと、次のとおりである。

 
県名
交付先
算定事項
年度
特別交付税交付額
過大に交付された特別交付税の額
摘要
          千円 千円
(5)
福井県
勝山市
移住定住経費
29 967,758 2,750 他の算定事項で算定した経費を重複して含めていたもの
(6)
和歌山県
和歌山県
30 3,157,515 28,979
(7)
田辺市
30 2,363,403 1,625
(8)
西牟婁郡白浜町
観光立国経費
29 484,291 1,500 算定の対象とならない経費を含めていたもの
(9)
島根県
島根県
地域おこし協力隊経費
28、29 5,554,899 3,506 他の算定事項で算定した経費を重複して含めるなどしていたもの
     
移住定住経費
30 3,276,669 42,582 他の算定事項で算定した経費を重複して含めるなどしていたもの
  小計 8,831,568 46,088  
(10)
徳島県
徳島県
空き家対策経費
平成28~令和元 11,033,303 110,984 算定の対象とならない経費を含めていたもの
(11)
小松島市
移住定住経費
29、30 1,480,270 2,780 他の算定事項で算定した経費を重複して含めるなどしていたもの
(5)―(11)の計 28,318,108 194,706