1件 不当と認める国庫補助金 1,410,000円
認定こども園施設整備交付金(以下「交付金」という。)は、認定こども園施設整備交付金交付要綱(平成27年文部科学大臣裁定)及び認定こども園施設整備交付金実施要領(平成27年初等中等教育局長裁定。以下「実施要領」という。)に基づき、認定こども園の設置促進のため、都道府県が行う認定こども園の施設整備事業(市町村(特別区を含む。)が都道府県を通じて間接に交付金の交付を受けて実施する事業を含む。以下「交付対象事業」という。)に係る経費に充てるために、国が都道府県に対して交付するものである。そして、交付対象事業は、社会福祉法人等が設置する認定こども園の新設、修理、改造又は整備を行う事業となっている。
実施要領等によれば、交付金の交付対象経費は、本体工事費、解体撤去工事費等とすることとされている。そして、交付金の交付額は、交付対象事業の交付対象経費の実支出額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定し、当該選定された額に補助率2分の1を乗じて得た額の合計額と、所定の方法により算定した基準額の合計額とを比較して、いずれか少ない方の額の範囲内の額とすることとされている。
本院が、7県の11市等において会計実地検査を行ったところ、1市において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
部局等 |
補助事業者等
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間接補助事業者等
(事業主体) |
交付対象事業の種別 |
年度 |
交付金の交付額 |
不当と認める交付金の交付額
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摘要 |
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千円 | 千円 | |||||||
(13) | 文部科学本省 |
島根県 |
江津市 |
認定こども園整備 |
29 | 64,353 | 1,410 | 誤って落札率を用いて交付対象経費の実支出額を算定していたなどのもの |
江津市は、平成29年度に、同市内の社会福祉法人による幼保連携型認定こども園の新設に係る認定こども園の施設整備事業を実施して、交付金64,353,000円の交付を受けていた。
同市は、交付金の実績報告において、上記の社会福祉法人から報告された本体工事及び設計監理に係る設計額、契約額等に基づき、本体工事に係る交付対象経費及び設計監理に係る交付対象経費を算出し、交付対象経費の実支出額を128,763,673円と算定していた。
同市は、本体工事に係る交付対象経費の算出に当たって、契約額については交付対象経費と交付対象外経費の内訳がなかったことから、内訳が示されている設計額を用いて、契約額のうちの交付対象経費を算出する方法を採っていた。そして、その際、設計額における交付対象経費に、予定価格に対する契約額の割合(以下「落札率」という。)である99.2%を乗ずるなどしていた。
しかし、契約額のうちの交付対象経費を算出するに当たっては、設計額における交付対象経費に、落札率ではなく、設計額の総額に対する契約額の割合(以下「請負比率」という。)である96.1%を乗ずるなどすべきであった。また、同市は、設計監理に係る交付対象経費の算出において、交付対象外経費に係る分の設計監理費を交付対象経費に含めていた。
したがって、本体工事に係る設計額における交付対象経費に、請負比率96.1%を乗ずるなどして得た交付対象経費の実支出額125,886,029円により適正な交付金の交付額を算定すると62,943,000円となることから、前記の交付額64,353,000円との差額1,410,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において交付金の交付対象経費の実支出額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、島根県において同市から提出された実績報告書等の審査及び同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。