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(2) 私立学校施設整備費補助金(防災機能等強化緊急特別推進事業及びICT 活用推進事業)が過大に交付されていたもの[文部科学本省](14)―(18)


5件 不当と認める国庫補助金 38,465,000円

私立学校施設整備費補助金(防災機能等強化緊急特別推進事業及びICT活用推進事業)(以下「補助金」という。)は、私立の大学、短期大学、高等専門学校(以下、これらを合わせて「私立大学等」という。)及び専修学校の教育研究の充実と質的向上を図ることを目的として、学校法人等に対して、防災機能等強化緊急特別推進事業(学校施設耐震改修工事、アスベスト対策工事、学校施設防災機能強化事業等)ICT活用推進事業等に要する経費の一部を国が補助するものである。

補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費))交付要綱(昭和58年文部大臣裁定)等によれば、防災機能等強化緊急特別推進事業については、危険建物の防災機能強化のための非構造部材の耐震対策工事、アスベスト対策のための施設工事、防災機能強化のための屋外防災施設等の整備等に要する経費、また、ICT活用推進事業については、既設のICT施設における冷房化工事等に要する経費(以下、これらを「補助対象経費」という。)の2分の1以内の額とすることとされている。そして、これらの事業の補助対象経費については、次のとおりとされている。

防災機能等強化緊急特別推進事業のうち学校施設耐震改修工事において非構造部材の耐震対策のみを申請する場合、非構造部材である外壁の耐震対策工事については、当該建物の延べ床面積に対する100m2以上の室の床面積の割合相当分(以下「100m2以上割合相当分」という。)の外壁の耐震対策に係る経費を補助の対象とすることなどとされている。

防災機能等強化緊急特別推進事業のうちアスベスト対策工事については、石綿含有建材のうち、吹き付けられた石綿又は石綿を含む保温材、耐火被覆材若しくは断熱材で石綿が質量の0.1%を超えて含まれているものに係るアスベスト対策のための除去、封じ込め又は囲い込み工事等に係る経費を補助の対象とすることとされている。

防災機能等強化緊急特別推進事業のうち学校施設防災機能強化事業については、再設置を伴わないブロック塀等の撤去部分に要する経費や1学校当たりの補助対象経費が300万円未満の場合の当該経費は補助の対象とならないことなどとされている。

また、ICT活用推進事業のうち私立大学等改革総合支援事業(注)(以下「総合支援事業」という。)の対象として実施される施設の整備については、単なる更新等に係る経費は補助の対象とならないこととされている。

本院が、10学校法人において会計実地検査を行うとともに、7学校法人に実績報告書等の関係書類の提出を求めて、これらを確認するなどして検査したところ、4学校法人において、防災機能等強化緊急特別推進事業について、100m2以上割合相当分の外壁等の耐震対策に係る経費のみが補助の対象とされているのに、補助の対象とならないそれ以外の外壁等の耐震対策に係る経費等を補助対象経費に含めていたり、補助の対象とならない石綿含有建材の除去に係る経費や再設置を伴わない既存れんが塀の撤去部分に要する経費を補助対象経費に含めていたりなどしていた。また、1学校法人において、総合支援事業の対象として行うICT活用推進事業について、単なる更新に係る経費は補助の対象とならないこととされているのに、老朽化した既存空調設備を同等性能の設備に更新するという単なる更新に係る経費を補助対象経費に含めていた。

これらの結果、国庫補助金計38,465,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、5学校法人において補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、文部科学省において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

学校法人白百合学園は、令和元年度に防災機能等強化緊急特別推進事業のうち学校施設耐震改修工事として2号館外壁等改修工事を実施しており、危険建物の防災機能強化のための非構造部材の耐震対策に要する経費を対象として、補助対象経費を72,433,599円(国庫補助金36,216,000円)と算定していた。

しかし、同法人は、外壁等全面に耐震対策工事を実施した建物に100m2未満の室等が存在するのに、当該工事費全額を補助の対象としていた。この結果、上記の補助対象経費に、100m2以上割合相当分の外壁等の耐震対策に係る経費のみが補助の対象とされているのに、補助の対象とならないそれ以外の外壁等の耐震対策に係る経費等計43,087,276円が含まれていた。

したがって、上記の43,087,276円を除外して適正な補助対象経費を算定すると、29,346,323円(国庫補助金14,673,000円)となり、国庫補助金21,543,000円が過大に交付されていた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
補助事業
年度
補助対象経費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(14)
文部科学本省
学校法人白百合学園
学校施設耐震改修工事 (2号館外壁等改修工事)
72,433 36,216 43,087 21,543 100m2以上割合相当分の外壁等の耐震対策に係る経費以外の補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めていたもの(白百合女子大学)
(15)
学校法人椙山女学園
学校施設耐震改修工事(大学会館1階東側食堂天井耐震化工事)
27 31,796 15,898 3,140 1,571 非構造部材の耐震対策と関係のない補助の対 象とならない経費を補助対象経費に含めてい たもの(椙山女学園大学)
(16)
学校法人武庫川学院
アスベスト対策工事(公江記念講堂アスベスト対策工事)
30 12,054 6,026 12,054 6,026 補助の対象とならない石綿含有建材の除去に係る経費を補助対象経費としていたもの(武庫川女子大学、武庫川女子大学短期大学部)
(17)
学校法人四国高松学園
ICT活用推進事業(総 合支援事業 対象)(本館1・2・3階アクティブラーニング教育基盤整備)
28 32,940 16,469 15,187 7,593 老朽化した既存空調設備を同等性能の設備に更新するという補助の対象とならない単なる更新に係る経費を補助対象経費に含めていたもの(高松大学、高松短期大学)
(18)
学校法人活水学院
学校施設防災機能強化事業(活水学院煉瓦塀補修工事)
30 3,464 1,732 3,464 1,732 補助の対象とならない再設置を伴わない既存れんが塀の撤去部分に要する経費を除外すると補助対象経費が300万円未満となり補助の対象とならないもの(活水女子大学)
(14)―(18)の計 152,688 76,341 76,934 38,465