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(3) 学校施設環境改善交付金が過大に交付されていたもの[5府県](19)―(25)


7件 不当と認める国庫補助金 77,604,000円

学校施設環境改善交付金(以下「交付金」という。)は、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(昭和33年法律第81号)等に基づき、地方公共団体が作成する公立の義務教育諸学校等の施設の整備に関する施設整備計画によって実施される施設整備事業に要する経費に充てるために、国が地方公共団体に対して交付するものである。

交付金の交付額は、学校施設環境改善交付金交付要綱(平成23年文部科学大臣裁定)等によれば、当該地方公共団体の施設整備計画に記載された事業のうち、算定の対象となる事業(以下「交付対象事業」という。)ごとに文部科学大臣が定める方法により算出した配分基礎額に交付対象事業の種別に応じて同大臣が定める割合(以下「算定割合」という。)を乗ずるなどして得た額の合計額と、交付対象事業に要する経費の額に算定割合を乗じて得た額の合計額のうち、いずれか少ない額を基礎として算定することとされている。このうち、配分基礎額については、配分基礎額を算定する際の基礎となる面積(以下「配分基礎面積」という。)を算定して、これに交付対象事業の種別に応じて定められた単価を乗ずるなどの方法により算定することとされている。

本院が、11県及び54市町村の計65地方公共団体において会計実地検査を行ったところ、5府県の7市において、適正な配分基礎面積を超える面積により配分基礎額を算定したり、契約後の金額により再計算せずに配分基礎額を算定したりするなどしていたため、配分基礎額が過大に算定されており、交付金計77,604,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、7市において交付金の交付額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、5府県において7市から提出された実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、態様別に示すと次のとおりである。

  • ア 適正な配分基礎面積を超える面積により配分基礎額を算定していた事態
  •   交付対象事業のうち、小学校、中学校等の建物等の大規模改造で、教育内容及び方法の多様化等に適合させるための建物の内部改造に係る工事等の質的整備を行う事業(以下「大規模改造(質的整備)事業」という。)について、「学校施設環境改善交付金の配分基礎額の算定方法等について」(平成29年文部科学省大臣官房文教施設企画部施設助成課長通知)等(以下「29年通知等」という。)によると、大規模改造(質的整備)事業の一環として実施する工事のうち、①トイレ改修工事に係る配分基礎面積は、改修工事を実施する部分の床面積の計、②空調設置工事に係る配分基礎面積は、空調設置工事の対象となる室等の床面積の計とすることとなっている。
  •   また、交付対象事業のうち、小学校、中学校等の建物で建築後20年以上経過したものの大規模改造で、建物全体の改修工事等を行う事業(以下「大規模改造(老朽)事業」という。)について、29年通知等によると、配分基礎面積は、改修を実施する建物の面積とすることとなっている。
  •   3府県の3市において、大規模改造(質的整備)事業の実施に当たり、トイレ改修工事に係る配分基礎面積に改修工事を実施していない部分の床面積を含めていたり、空調設置工事に係る配分基礎面積に空調設置工事を実施していない室等の床面積を含めていたりなどしていたため、配分基礎額が過大に算定されていた。また、2県の2市において、大規模改造(老朽)事業の実施に当たり、当該事業に係る配分基礎面積について、設計書等の正確な図面に基づかずに改修工事を実施した建物の面積を算定するなどしていたため、配分基礎額が過大に算定されていた。
  •   上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例1

千葉市は、平成28年度から30年度までの間に、院内小学校の大規模改造(質的整備)事業等220事業を実施して、交付金計2,552,651,000円の交付を受けていた。

同市は、同小学校の大規模改造(質的整備)事業等32事業の一環として実施したトイレ改修工事に係る配分基礎面積をトイレ全体の床面積の計4,700m2としていた。

しかし、大規模改造(質的整備)事業のうちトイレ改修工事に係る適正な配分基礎面積は、トイレ全体の床面積のうち改修工事を実施した部分の床面積の計4,303m2となる。

したがって、改修工事を実施していない部分の床面積を除外して適正な配分基礎面積に基づく配分基礎額により交付金の交付額を算定すると計2,512,524,000円となることから、交付金計40,127,000円が過大に交付されていた。

  • イ 契約後の金額により再計算せずに配分基礎額を算定していた事態
  •   交付対象事業のうち、大規模改造(質的整備)事業について、29年通知等によると、アスベスト除去工事のような、小学校、中学校等の施設を法令等に適合させるための施設整備工事(以下「法令適合化工事」という。)の配分基礎額は、都道府県等において公共工事等に使用されている積算基準を参考として事業箇所の実情に即して算定することとなっており、交付申請時に算定した配分基礎額については、実績報告時に契約後の金額により再計算することとなっている。
  •   また、29年通知等によると、交付対象事業のうち、小学校、中学校等の建物で構造上危険な状態にあるもの(危険建物)の改築事業(以下「危険改築事業」という。)及び教育を行うのに著しく不適当な小学校、中学校等の建物で特別の事情のあるもの(不適格建物)の改築事業(以下「不適格改築事業」といい、危険改築事業と合わせて「改築事業」という。)に併せて施設の解体及び撤去事業を実施する場合には、都道府県等において公共工事等に使用されている積算基準を参考として事業箇所の実情に即して算定した施設の解体及び撤去費を配分基礎額に加算することとなっている。そして、交付申請時に配分基礎額に加算した施設の解体及び撤去費については、実績報告時に契約後の金額により再計算することとなっている。
  •   2県の2市において、大規模改造(質的整備)事業の実施に当たり、法令適合化工事に要する経費について、交付申請時に算定した金額を実績報告時に契約後の金額により再計算していなかったため、配分基礎額が過大に算定されていた。また、3県の3市において、改築事業に併せて行う施設の解体及び撤去事業の実施に当たり、配分基礎額に加算した施設の解体及び撤去費について、交付申請時に加算した金額を実績報告時に契約後の金額により再計算していなかったため、配分基礎額が過大に算定されていた。
  •   上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例2

名古屋市は、平成26、27、29、30各年度に、大江中学校の大規模改造(質的整備)事業等89事業を実施して、交付金計1,176,624,000円の交付を受けていた。

同市は、同中学校の大規模改造(質的整備)事業の実施に当たり、交付申請時に、過年度の実績を参考に推計したアスベスト除去工事に要する経費25,422,000円を配分基礎額としており、実績報告時も同様としていた。

しかし、配分基礎額に計上したアスベスト除去工事に要する経費については、実績報告時に、契約後の金額により再計算する必要があった。

そこで、前記のアスベスト除去工事に要する経費を契約後の金額により再計算すると11,961,000円となる。

したがって、アスベスト除去工事に要する経費を11,961,000円に修正するとともに他の13事業において見受けられたアの事態の誤りを修正して適正な配分基礎額により交付金の交付額を算定すると計1,155,097,000円となることから、交付金計21,527,000円が過大に交付されていた。

ア及びイの事態のほか、1県の1市において、不適格改築事業の実施に当たり、新たに建築した校舎は鉄骨造であったのに、誤って鉄骨造より高額な木造の単価を用いていたため、配分基礎額が過大に算定されていた。

以上を部局等別・補助事業者別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
交付対象事業の種別
年度
交付金の交付額
不当と認める交付金の交付額
摘要
         
千円
千円
 
(19)
茨城県
古河市
危険改築事業
27
226,190
3,166
施設の解体及び撤去費を契約後の金額により再計算せずに配分基礎額を算定していたもの(イの事態)
(20)
千葉県
千葉市
大規模改造(質的整備)事業
28~30
2,552,651
40,127
適正な配分基礎面積を超える面積により配分基礎額を算定していたもの(アの事態)
(21)
木更津市
危険改築事業
28~30
97,211
3,169
施設の解体及び撤去費を契約後の金額により再計算せずに配分基礎額を算定していたもの(イの事態)
(22)
愛知県
名古屋市
大規模改造(老朽)事業、大規模改造(質的整備)事業
26、27、29、30 
1,176,624
21,527
適正な配分基礎面積を超える面積により配分基礎額を算定したり、法令適合化工事に要する経費を契約後の金額により再計算せずに配分基礎額を算定したりしていたもの(ア及びイの事態)
(23)
三重県
四日市市
不適格改築事業、大規模改造(老朽)事業
28、29
151,690
1,669
適正な配分基礎面積を超える面積により配分基礎額を算定したり、誤った単価を用いて配分基礎額を算定したりしていたもの(アの事態等)
(24)
伊賀市
危険改築事業、不適格改築事業、大規模改造(質的整備)事業
28、29
89,541
4,215
法令適合化工事に要する経費や施設の解体及び撤去費を契約後の金額により再計算せずに配分基礎額を算定していたもの(イの事態)
(25)
京都府
京都市
大規模改造(質的整備)事業
28、29
138,501
3,731
適正な配分基礎面積を超える面積により配分基礎額を算定していたもの(アの事態)
(19)―(25)の計    
4,432,408
77,604