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(4) ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金が過大に交付されていたもの[福島県](26)(27)


2件 不当と認める国庫補助金 6,884,000円

ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金(以下「交付金」という。)は、ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金交付要綱(平成30年文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)に基づき、地方公共団体が緊急的に整備を実施する、公立の小学校等の敷地内にある倒壊の危険性があるブロック塀等の安全対策(以下「ブロック塀等安全対策事業」という。)及び公立の小学校等の校舎等に行う児童生徒等の熱中症対策として必要な空調設置(以下「空調設置事業」という。)に要する経費に充てるために、国が地方公共団体に対して交付するものである。

交付金の交付額は、交付要綱等によれば、ブロック塀等安全対策事業及び空調設置事業のそれぞれについて、算定の対象となる事業(以下「交付対象事業」という。)ごとに、文部科学大臣が定める方法により算出した配分基礎額に交付対象事業の種別に応じて同大臣が定める割合(以下「算定割合」という。)を乗じて得た額の合計額と、交付対象事業に要する経費の額(以下「交付対象工事費」という。)に算定割合を乗じて得た額の合計額とを比較して少ない方の額を選定して、上記により選定された交付対象事業の種別ごとの額を合わせた額を基礎として算定することとされている。このうち、配分基礎額については、配分基礎額を算定する際の基礎となる面積等(以下「配分基礎面積等」という。)を算定して、これに交付対象事業の種別に応じて定められた単価を乗じて算定することとされている。そして、「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金の配分基礎額の算定方法等について」(平成30年文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部施設助成課長通知)によると、空調設置事業に係る配分基礎面積等は、空調設置事業の対象となる室等の床面積の計とすることとなっている。

上記交付額の算定は、交付要綱等に基づき、交付金の交付申請時に行うこととなっているほか、実績報告時にも配分基礎額や交付対象工事費の変更を反映して再度行うこととなっている。そして、実績報告時においては、配分基礎面積等の変更に伴う配分基礎額及び交付対象工事費の変更を反映した額(以下「本来の交付決定額」という。)並びに配分基礎面積等の変更後における実際の契約金額を反映した額(以下「額の確定時の再算定額」という。)をそれぞれ算定して、交付決定額、本来の交付決定額及び額の確定時の再算定額のうち、いずれか少ない額により交付金の交付額を確定することになっている。

本院が、8県及び35市町の計43地方公共団体において会計実地検査を行ったところ、福島県の2市において、交付決定額、本来の交付決定額及び額の確定時の再算定額を比較せずに交付額を算定したり、配分基礎額の算定に当たり配分基礎面積等の算定を誤っていたりするなどしていたため、交付金計6,884,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2市において交付金の交付額の算定方法についての理解が十分でなかったこと、同県において2市から提出された実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
交付対象事業の種別
年度
交付金の交付額
不当と認める交付金の交付額
摘要
          千円 千円  
(26)
福島県
福島市
ブロック塀等安全対策事業、空調設置事業
平成30、
令和元
120,405 5,833 交付決定額、本来の交付決定額及び額の確定時の再算定額を比較せずに交付額を算定するなどしていたもの

福島市は、平成30、令和元両年度に、ブロック塀等安全対策事業45事業及び空調設置事業10事業の計55事業を実施して、2年4月に、交付金の交付額を120,405,000円(①)とする実績報告書を同県に提出し、同県から同額で額の確定を受けて、交付金の交付を受けていた(以下、この交付を受けた額を「既交付額」という。)。

同市は、同年9月に、実績報告書に誤りがあることが判明したために再度提出した実績報告書において、交付決定額を126,068,000円(②)、本来の交付決定額を114,665,000円(③)、額の確定時の再算定額を120,457,000円(④)と算定していたが、既交付額(①の120,405,000円)が額の確定時の再算定額(④の120,457,000円)を下回っていることから、交付金の交付額を既交付額(①)と同額の120,405,000円と算定し、同県も額の再確定を行っていなかった。

しかし、再度提出した実績報告書における交付金の交付額の算定に当たっては、上記のように、既交付額(①の120,405,000円)と額の確定時の再算定額(④の120,457,000円)とを比較するのではなく、正しくは、交付決定額(②の126,068,000円)、本来の交付決定額(③の114,665,000円)及び額の確定時の再算定額(④の120,457,000円)を比較する必要があった。

また、前記55事業のうち3事業において配分基礎面積等の算定誤りがあったことから、配分基礎額及び交付対象工事費が過大に算定されていた。

したがって、これらの誤りを修正すると、交付決定額126,068,000円、適正な本来の交付決定額114,572,000円及び適正な額の確定時の再算定額120,353,000円を比較して、いずれか少ない額により算定される交付金の交付額は114,572,000円となることから、交付金5,833,000円が過大に交付されていた。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
交付対象事業の種別
年度
交付金の交付額
不当と認める交付金の交付額
摘要
          千円 千円  
(27)
福島県
相馬市
空調設置事業
平成30、
令和元
36,042 1,051 配分基礎面積等の算定を誤っていたもの

相馬市は、平成30、令和元両年度に、桜丘小学校の空調設置事業等5事業を実施して、交付金36,042,000円の交付を受けていた。

同市は、同小学校の空調設置事業の実施に係る配分基礎面積等を空調設備の設置を予定していた教室の床面積の計1,828m2としていた。

しかし、上記の1,828m2には空調設備を設置しなかった教室の床面積が含まれており、空調設置事業に係る適正な配分基礎面積等は、空調設備を設置した教室の床面積の計1,700m2とする必要があった。

したがって、空調設備を設置しなかった教室の床面積を除外して適正な配分基礎面積等に基づく配分基礎額により交付金の交付額を算定すると34,991,000円となることから、交付金1,051,000円が過大に交付されていた。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
交付対象事業の種別
年度
交付金の交付額
不当と認める交付金の交付額
摘要
            千円 千円  
(26)(27)の計                         156,447 6,884