ページトップ
  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

農業・食品産業強化対策整備交付金事業の実施に当たり、交付対象事業費に交付の対象とならない経費を含めていたり、交付率の適用を誤っていたりしていたもの[近畿農政局](90)


(1件 不当と認める国庫補助金 500,651,177円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
           
千円
千円
千円
千円
(90)
近畿農政局
京都府
京都市
事業主体
農業・食品産業強化対策調整備交付金
28~30 4,502,336
(4,502,336)
1,579,556 1,407,298
(1,407,298)
500,651

この交付金事業は、京都市が、食品流通の合理化等を目的として、京都市中央卸売市場第一市場内の立体駐車場の建設、水産棟の改修等を実施したものである。

「強い農業づくり交付金実施要領」(平成17年16生産第8262号農林水産省大臣官房国際部長、総合食料局長、生産局長、経営局長通知)、「強い農業づくり交付金交付対象事業事務及び交付対象事業費の取扱いについて」(平成17年16生産第8263号農林水産省生産局長、総合食料局長、経営局長通知)等(以下、これらを合わせて「実施要領等」という。)によれば、事業主体は、事業完了後に実績報告書に出来高設計書等を添付して都道府県知事に報告することとされ、都道府県知事等は、当該報告を受けた後に交付対象事業が適正に完了したことを確認することとされている。そして、農林水産省は、実績報告書に記載することとされている交付金事業の成果は事業実施年度末時点における工事の出来高であるとしている。

また、実施要領等によれば、既存施設の撤去に係る費用は交付の対象外とされており、交付金の交付率については、施設区分ごとに設定されていて、売場施設区分は10分の4、駐車施設区分等は3分の1とされている。

事業主体である同市は、平成28年度事業(29年度に繰越し)及び29年度事業(30年度に繰越し)を事業費計4,502,336,843円(交付対象事業費同額)で実施したとする実績報告書を京都府に提出して、交付金計1,579,556,000円の交付を受けていた。

しかし、同市は、上記の交付対象事業費4,502,336,843円に、請負業者に支払った翌年度の工事に係る前払金計1,079,006,008円を含めており、実際の工事の出来高は、29年度末時点1,473,955,206円、30年度末時点1,949,375,629円、計3,423,330,835円となっていた。したがって、実績報告書の交付対象事業費4,502,336,843円のうち上記の1,079,006,008円は、実績報告書に記載することとされている事業実施年度末時点における工事の出来高ではなく、交付の対象とならないものであった。また、同市は、駐車施設等の建設用地上にあった既存施設の撤去に係る費用は交付の対象とならないのに、その費用計244,783,510円を交付対象事業費に含めていたり、水産棟の改修として整備した施設のうち、屋外駐車場のスロープ等に係る交付対象事業費計83,509,241円は、駐車施設区分等に該当するため、交付率を3分の1とすべきなのに、交付率10分の4を適用していたりしていた。

したがって、前記の事業実施年度末時点における工事の出来高に該当しない額及び既存施設の撤去に係る費用を交付対象事業費から除外し、駐車施設区分等に該当する施設等に係る交付対象事業費に交付率3分の1を適用して、適正な交付金の額を算定すると計1,078,904,823円となり、前記の交付金交付額1,579,556,000円との差額500,651,177円が過大となっていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において実施要領等の理解が十分でなかったこと、同府において本件交付金事業に係る審査及び同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。