(1件 不当と認める国庫補助金 5,235,971円)
部局等 |
補助事業者等 |
間接補助事業者等 |
補助事業等 |
年度
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事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 |
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(95) | 水産庁 |
大船渡市 |
及川冷蔵株式会社
(事業主体) |
東日本大震災復興交付金 (水産業共同利用施設復興整備) |
26、27 |
169,182 (156,650) |
107,696 | 8,225 (7,616) |
5,235 |
この交付金事業は、及川冷蔵株式会社(岩手県大船渡市所在。以下「会社」という。)が、平成26、27両年度に、同市において、水産物加工処理施設の衛生管理体制の向上等を目的として、柱、土台、筋交いなどの部材で骨組みを構成する木造軸組工法により、木造平屋建ての現場事務所棟1棟(以下「事務所棟」という。)を新築するなどしたものである。
木造建築物は、建築基準法(昭和25年法律第201号)等に基づき、地震や風により生ずる全ての方向の水平力に対して安全であるように、柱と柱との間に筋交いなどを設置した耐力壁を釣合い良く配置しなければならないなどとされている。そして、耐力壁を構成する柱については、水平力により生ずる引抜力に抵抗するために、同法等に基づく告示「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1460号)等に基づき、耐力壁の種類、柱の位置等に応じて、必要な引抜耐力を有する金物等を選定して、梁(はり)、土台、基礎コンクリート等(以下「土台等」という。)と接合することとなっている(参考図参照)。
そして、会社が事務所棟の設計及び施工を請け負わせた建設会社は、柱と柱との間に筋交いを設置した耐力壁を張り間方向(注1)に6か所及び桁行方向(注1)に4か所それぞれ配置すれば安全であるとして設計し、これにより施工することとしていた。
しかし、設計図面には、柱頭又は柱脚と土台等とを接合する金物等を使用する箇所やその種類が示されていなかった。そこで、事務所棟における実際の柱頭又は柱脚と土台等との接合状況について確認したところ、耐力壁を構成する16本の柱のうち4本の出隅の柱(注2)を含む計5本の柱の計10か所の接合箇所において、必要な引抜耐力を有する金物等が使用されていなかった。
このため、事務所棟は、土台等との接合方法が適切でない上記5本の柱で構成された壁が耐力壁として機能しない状態となっており、桁行方向については耐力壁が全く設置されていない状態となっていた。
したがって、事務所棟は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額5,235,971円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、会社において建設会社による事務所棟の設計が適切でなかったのにこれに対する検査が十分でなかったこと、大船渡市において事業実績書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
耐力壁の概念図