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  • 令和2年度|
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  • (3) 補助金により造成した基金の使用が適切でなかったもの

畜産・酪農収益力強化総合対策基金事業補助金により造成した基金を用いて実施した事業において、補助の対象とならない経費を補助対象事業費に含めていたもの[農林水産本省](96)(97)


(2件 不当と認める国庫補助金 11,394,218円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(96)
農林水産本省
公益社団法人中央畜産会
新潟県
十日町妻有ポーク振興協議会

有限会社姿農場
(事業主体)
畜産・酪農収益力強化整備等特別対策
28、29
476,607
(441,303)
220,651 5,709
(5,709)
2,854
(97)
新潟県
世界農業遺
産の島“佐渡”畜産推進協議会 

佐渡農業協同組合
(事業主体)
29、30
481,680
(424,660)
212,330 17,080
(17,080)
8,540
(96)(97)の計 958,287
(865,963)
432,981 22,789
(22,789)
11,394

畜産・酪農収益力強化総合対策基金事業補助金は、我が国の畜産・酪農の収益力・生産基盤を強化することにより、国際競争力の強化を進めることなどを目的として、畜産・酪農収益力強化総合対策基金事業補助金交付要綱(平成28年27生畜第1572号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、農林水産省が公益社団法人中央畜産会(以下「中央畜産会」という。)に対して基金を造成させるために交付するものである。

そして、基金を造成した中央畜産会は、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業のうち施設整備事業を実施する畜産クラスター協議会(注)(以下「協議会」という。)に対して、この基金を取り崩して、都道府県を通じて補助金(以下「基金補助金」という。)を交付している。

畜産・酪農収益力強化総合対策基金事業実施要領(平成28年27生畜第1621号農林水産省生産局長通知)によれば、上記施設整備事業の補助の対象となるのは、家畜飼養管理施設、家畜排せつ物処理施設等の施設及び当該施設と一体的に整備する設備の整備等に要する経費とされている。そして、補助の対象となる施設とは、家畜の種類ごとに定められた繁殖雌牛用牛舎等の家畜飼養管理施設、堆肥舎等の家畜排せつ物処理施設等であり、施設と一体的に整備する設備とは、当該施設と併せて設置する設備であって、給餌、ほ乳等の基本的な生産工程に直接関わり、当該施設で行われる生産工程の在り方の本質に関わるものであることなどとされている。

2協議会のそれぞれの構成員である2事業主体は、事業費計958,287,560円(補助対象事業費計865,963,296円)で家畜飼養管理施設、家畜排せつ物処理施設等の施設及び当該施設と一体的に整備する設備の整備を実施したとして2協議会に報告していた。そして、2協議会は、報告を受けた上記の事業費に基づいてそれぞれ補助対象事業費を算定した上で、新潟県に対して実績報告書を提出し、同県を通じて基金補助金計432,981,000円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けて、同額を2事業主体に交付していた。

しかし、上記の事業費には、構内道路のアスファルト舗装、集水区域に上記の施設を含まない排水溝等などの整備に要する経費が含まれており、これらは、家畜飼養管理施設、家畜排せつ物処理施設等の施設ではないことから、補助の対象となる施設に該当せず、給餌、ほ乳等の基本的な生産工程に直接関わり、施設で行われる生産工程の在り方の本質に関わるものではないことなどから、施設と一体的に整備する設備にも該当しないものであった。

したがって、上記構内道路のアスファルト舗装等の整備に要する経費計22,789,732円は補助の対象とはならず、取り崩された基金計11,394,218円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切ではなく、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2協議会及び2事業主体において補助対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、新潟県において実績報告書の内容についての確認及び2協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

世界農業遺産の島“佐渡”畜産推進協議会の構成員である佐渡農業協同組合は、平成29、30両年度に、繁殖雌牛用牛舎等の家畜飼養管理施設、堆肥舎等の家畜排せつ物処理施設等の施設及び当該施設と一体的に整備する設備の整備を事業費計481,680,000円(補助対象事業費計424,660,000円)で実施したとして、これに対する基金補助金212,330,000円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。

しかし、上記の事業費には、集水区域に上記の施設を含まない排水溝等、構内道路のアスファルト舗装及び上記の施設に備え付けられていない車両消毒装置の整備に要する経費が含まれており、これらは、家畜飼養管理施設、家畜排せつ物処理施設等の施設ではないことから、補助の対象となる施設に該当せず、給餌、ほ乳等の基本的な生産工程に直接関わり、施設で行われる生産工程の在り方の本質に関わるものではないことなどから、施設と一体的に整備する設備にも該当しないものであった。

したがって、上記排水溝等などの整備に要する経費計17,080,398円は補助の対象とはならず、取り崩された基金8,540,199円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切でなかった。