【適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求め並びに改善の処置を要求し及び意見を表示したものの全文】
石油製品安定供給確保支援事業等の実施及び災害時情報収集システムの運用について
(令和3年10月14日付け資源エネルギー庁長官宛て)
標記について、下記のとおり、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め並びに同法第36条の規定により改善の処置を要求し及び意見を表示する。
記
貴庁は、平成28年4月に発生した熊本地震時に、停電の発生により多くの給油所が営業停止となり、営業している給油所に避難者・被災者が集中するなどの問題が生じたことを踏まえて、災害時におけるガソリン、軽油等の石油製品の安定供給の確保を目的として、地域の燃料供給拠点となる自家発電設備を備えた給油所である住民拠点サービスステーション(以下「住民拠点SS」という。)を全国に整備するため、揮発油販売業者等の自家発電設備等の設置費用を補助する石油製品安定供給確保支援事業及び災害時に備えた地域におけるエネルギー供給拠点の整備事業(以下「石油製品安定供給確保支援事業等」という。)を実施している。
そして、貴庁は、29年度から令和2年度までの間に、石油製品販売業構造改善対策事業費補助金(石油製品安定供給確保支援事業)交付要綱(20160830財資第1号)、石油製品販売業環境保全対策事業費補助金(災害時に備えた地域におけるエネルギー供給拠点の整備事業のうち住民拠点サービスステーション整備事業等に係るもの)交付要綱(平成22・04・05財資第62号)等(以下、これらを合わせて「交付要綱」という。)に基づき、自家発電設備等を設置して住民拠点SSを運営する揮発油販売業者等(以下「事業主体」という。)に対して、毎年度公募により選定した一般社団法人全国石油協会(以下「石油協会」という。)を通じて、石油製品販売業構造改善対策事業費補助金等(補助率10分の10。以下、「国庫補助金」といい、当該国庫補助金により事業主体が実施する事業を「補助事業」という。)計302億2717万余円を交付している。なお、当該補助事業による事業主体の自家発電設備等の設置は2年度で終了し、延べ13,745事業主体が運営する13,745か所の住民拠点SSが補助事業により整備されている。
また、貴庁では、事業主体が災害時に地域における石油製品の安定供給を的確に行えるよう、「住民拠点SSにおける災害対応ガイドライン」(平成29年12月資源エネルギー庁石油流通課作成。以下「ガイドライン」という。)を定めて、事業主体及び地方公共団体の助成を受けて自家発電設備を設置して住民拠点SSを運営する揮発油販売業者に周知している。
事業主体は、災害時に住民拠点SSが地域の燃料供給拠点としての役割を担えるよう、ガイドライン等に基づき、平時から自家発電設備の定期点検等を行うとともに、運営する住民拠点SSの立地する都道府県内で震度5強以上の地震、津波、噴火、台風、洪水等の災害が発生した際には、給油所設備の損傷、従業員の負傷等により事業継続が困難となった場合を除き、地域住民や被災者等に可能な限り給油を継続することとなっている。
交付要綱等によれば、事業主体は補助事業により取得した自家発電設備等については、補助金交付の目的に従ってその効率的な運用を図らなければならないなどとされている。また、取得価格が50万円以上の機械、器具、備品等は処分を制限する財産(以下「処分制限財産」という。)とされており、処分制限期間内にその使用を中止しようとするときなどには、事業主体は石油協会による財産処分に係る承認を得なければならず、承認に当たっては、残存簿価相当額に国庫補助率を乗じた金額を石油協会を通じて国庫に納付するなどの条件(以下「国庫納付条件」という。)が付されることとされている。ただし、事業主体が他の揮発油販売業者に補助事業を承継するために処分制限財産を無償譲渡する場合で、貴庁が個別に認めた場合については、国庫納付条件を付すことに代えて、当該他の揮発油販売業者が処分制限期間中に新たな財産処分を行う場合に交付要綱等に基づき承認を得る旨の条件(以下「再処分条件」という。)を付して財産処分に係る承認を与えることができることとなっている。
また、揮発油販売業者は、給油所の運営に係る廃止、事業譲渡、合併等がある場合は、揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和51年法律第88号。以下「品確法」という。)に基づき、貴庁、経済産業省の地方支分部局である経済産業局等に対して届出を行わなければならないこととなっている。
貴庁は、住民拠点SSの営業の可否、被害状況、石油製品の有無等を把握した上で、営業している住民拠点SSの情報を迅速に公表することにより被災者の不安を解消するなどして、営業している給油所に避難者・被災者が集中するなどの事態を防止するため、平成29年度以降、石油製品安定供給確保支援事業等の実施に併せて、災害時における住民拠点SSの営業状況等を迅速かつ効率的に把握して公表できるようにするためのシステムである災害時情報収集システム(以下「災害情報システム」という。)の整備及び運用をセコムトラストシステムズ株式会社に請け負わせて実施しており、令和2年度までに計4548万余円を支払っている。
また、交付要綱等によれば、事業主体は、国庫補助金の交付を受けるに当たって、当該事業主体が運営する住民拠点SSとしての基礎情報(運営会社、給油所名、電話番号、住所等)を災害情報システムに登録し、当該基礎情報を平時から貴庁において公表することに同意するとともに、災害時には災害情報システムにより速やかに営業状況等の報告を貴庁に対して行うこととされている。
そして、貴庁は、住民拠点SSについて、平成30年4月から、住民拠点SSの基礎情報を利用した災害情報システムの運用を開始しており、平時から、住民拠点SSの基礎情報の一覧を貴庁のウェブサイト上で公表している(以下、災害情報システム上における住民拠点SSの基礎情報を「マスタデータ」といい、住民拠点SSの基礎情報の一覧を「住民拠点SS一覧」という。)。また、ガイドライン等によれば、住民拠点SSが立地する都道府県内で震度5強以上の地震が発生した場合又は大津波警報が発令された場合(以下、地震及び大津波を「地震等」という。)は、災害情報システムから事業主体等に対して自動的に営業状況等の報告を要請するメールが配信され、事業主体等は、災害情報システムにより住民拠点SSの営業状況等の報告を貴庁に行うこととされている。一方、地震等以外の台風等の災害の場合には、住民拠点SSからの営業状況等の情報収集が必要であると貴庁が個別に判断した場合に限り、災害情報システムから営業状況等の報告を要請するメールを配信して事業主体等に営業状況等の報告を行わせることとされている。そして、貴庁は、事業主体等からの報告を踏まえて住民拠点SSの営業状況等を公表することにしている。
(検査の観点、着眼点、対象及び方法)
近年、地震等のほか、台風等の大規模自然災害が各地で頻発しており、これらの大規模自然災害の影響により大規模な停電も各地で発生していることから、住民拠点SSの地域の燃料供給拠点としての役割はより一層重要になっている。このため、前記のとおり、事業主体において、平時から自家発電設備等の適切な管理を行うとともに、災害時には地域の燃料供給拠点として石油製品の供給を継続していくこと、また、貴庁において、住民拠点SSの営業状況等を速やかに公表することなどが、避難者・被災者の生活を支える上で重要である。
そこで、本院は、合規性、有効性等の観点から、事業主体が自家発電設備等を適切に管理するとともに、事業主体が運営する住民拠点SSが災害時に地域の燃料供給拠点として機能しているか、住民拠点SS一覧が適切に管理されて災害時には住民拠点SSの営業状況等が公表されているかなどに着眼して検査した。
検査に当たっては、1(1)の補助事業については、29年度から令和元年度までの間に補助事業により整備された延べ6,906事業主体の住民拠点SS6,906か所(事業費計162億5070万余円、国庫補助金交付額計147億5343万余円)を対象として、貴庁及び石油協会から、災害時の対応についての指導等の状況について聴取するなどして検査した。また、大規模な停電を伴う大規模自然災害(注1)(以下「対象災害」という。)が発生した11道府県(注2)のうち2道県(注3)に所在する57事業主体の住民拠点SS67か所において、対象災害における停電状況や停電発生後の営業状況等について聴取するなどして会計実地検査を行った。さらに、対象災害が発生した時点で自家発電設備が設置されていた11道府県に所在する延べ1,179事業主体の住民拠点SS1,179か所(事業費計28億1120万余円、国庫補助金交付額計25億5960万余円)から、対象災害における停電状況や停電発生後の営業状況等について調書等の提出を受けるとともに、電話等による聞き取り調査を行うなどして検査した。
また、1(2)の災害情報システムについては、平成29年度から令和2年度までの整備及び運用に係る経費4548万余円を対象として、貴庁から災害情報システムの活用状況について聴取するなどして検査した。
(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
前記のとおり、住民拠点SSを運営する事業主体は、災害時においても、ガイドライン等に基づき、給油所設備の損傷、従業員の負傷等により事業継続が困難となった場合を除き、自家発電設備の活用により可能な限り住民拠点SSで給油を継続することとなっている。
そこで、対象災害が発生した時点で自家発電設備が設置されていた11道府県の住民拠点SS1,179か所のうち半日以上の長時間の停電があった住民拠点SS345か所(地震による停電があったもの(平成30年北海道胆振東部地震のみ)243か所、台風による停電があったもの(平成30年台風第21号等5件)102か所)を対象に停電発生後速やかに自家発電設備が活用されているか確認したところ、対象災害のうち平成30年北海道胆振東部地震の際には北海道全域で停電が発生したが、243か所全てが停電発生後1日以内に自家発電設備を活用して営業を再開又は継続(以下「再開等」という。)していた。
一方、台風による停電があった住民拠点SS102か所のうち75か所は停電発生後1日以内に自家発電設備を活用して営業を再開等していたが、残る27か所は停電発生後1日以内に営業を再開等していなかった。さらに、その27か所の内訳をみると、13か所は給油所設備が損傷するなどして事業継続が困難となっていたものであったが、14か所(事業費計3472万余円、国庫補助金交付額計3188万余円)は、台風が接近する前から臨時休業を判断するなどして、その後、事業継続が困難となるような給油所設備の損傷、従業員の負傷等がなく、台風が通過して暴風警報が解除されるなどして給油できる環境が整っていて自家発電設備を速やかに活用して営業を再開等することが可能であったのに、営業を再開等していなかった。
しかし、対象災害のうち台風による停電における停電戸数の時間的な推移を確認したところ、図のとおり、停電発生ピーク時点から1日以内に多くの商用電源が復旧して停電戸数は少なくなっており、地域によって停電発生に時間的なばらつきが生じていることを考慮しても、台風による停電の場合には、停電発生から遅くとも1日以内に給油を行えるよう営業を再開等することが住民拠点SSの機能として必要である。
したがって、上記14か所は住民拠点SSを整備した効果がほとんど発現していなかったと認められる。
上記について、事例を示すと次のとおりである。
<事例1>
かとり農業協同組合は、平成30年1月に、千葉県香取市に所在する給油所を住民拠点SSとして整備するため、自家発電設備を事業費269万余円で設置して、国庫補助金245万円の交付を受けていた。
しかし、令和元年台風第15号により、当該給油所が所在する地域では令和元年9月9日午前5時頃から5日間停電が発生していたが、給油所設備の損傷、従業員の負傷等がなく、給油できる環境が整っていたにもかかわらず、同給油所は、暴風警報が解除された同日午前10時頃以降も、同組合が運営する他の住民拠点SSである給油所が営業していたという理由で、商用電源が復旧した同月14日午後5時頃まで営業の再開等を行っておらず、住民拠点SSとして機能していなかった。
前記のとおり、交付要綱等によれば、事業主体は、処分制限期間内に処分制限財産に該当する自家発電設備等の使用を中止しようとするときなどには、石油協会による財産処分に係る承認を得なければならないこととされている。この点について、石油協会は、事業主体に対して、国庫補助金の交付申請に際し、石油協会が作成した申請者用手引書により処分制限期間中の財産処分手続について示していた。
しかし、石油協会は、処分制限期間中に閉店等により住民拠点SSの運営を中止したり、住民拠点SSの運営を他の揮発油販売業者に承継するために自家発電設備を無償譲渡したりするなどの場合であっても、事前に石油協会による財産処分に係る承認を得る必要がある場合に該当することについてまで事業主体が分かりやすいように明示しておらず、事業主体に対する周知が十分に行われているとはいえない状況となっていた。
このため、住民拠点SS46か所(財産処分時点における自家発電設備の残存簿価相当額計7751万余円(国庫補助金相当額同額))を運営する25事業主体(注4)は、補助事業により設置した自家発電設備が処分制限期間(8年間)内であったにもかかわらず、住民拠点SSの運営を中止したり他の揮発油販売業者に承継したりするなどして、当該自家発電設備について石油協会の承認を得ないまま無断でその使用を中止するなどの財産処分を行っていた。このうち、住民拠点SS9か所(財産処分時点における自家発電設備の残存簿価相当額計1455万余円(国庫補助金相当額同額))を運営する9事業主体(注5)は、住民拠点SSの運営を中止して、当該自家発電設備について無断でその使用を中止していたことなどから、国庫納付条件が付された財産処分に係る承認を得るための手続をとる必要があった。また、残る住民拠点SS37か所(財産処分時点における自家発電設備の残存簿価相当額計6296万余円(国庫補助金相当額同額))を運営する16事業主体(注6)については、住民拠点SSの運営を他の揮発油販売業者に承継していたことから、再処分条件が付された財産処分に係る承認を得るための手続をとるなどの必要があった。
上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例2>
春和産業株式会社は、平成30年2月に、和歌山県西牟婁郡白浜町に所在する給油所を住民拠点SSとして整備するため、自家発電設備を事業費271万余円で設置して、国庫補助金248万余円の交付を受けていた。
しかし、同会社は、自家発電設備(残存簿価相当額209万余円(国庫補助金相当額同額))について令和7年12月までが処分制限期間(耐用年数8年に相当する期間)であるにもかかわらず、石油協会が作成した申請者用手引書に住民拠点SSの運営を中止する場合も事前に財産処分に係る承認を得る必要がある場合に該当するということが明示されていなかったため、本件も財産処分に係る承認を得る必要があるということを十分に理解していなかった。そのため、同会社は、残存簿価相当額209万余円の国庫納付条件が付された財産処分に係る石油協会の承認を得ないまま、経営上の都合によるとして平成31年3月末に同給油所を廃止して、住民拠点SSの運営を中止し、自家発電設備の使用を中止していた。
また、閉店等により住民拠点SSの運営を中止したり、住民拠点SSの運営を他の揮発油販売業者に承継したりするなど事業主体において廃止、事業譲渡、合併等があった場合には、貴庁、経済産業局等は、前記の品確法に基づく届出を受けているにもかかわらず、その情報を適時に石油協会と共有しておらず、石油協会は、事業主体による財産処分の事態を早期に発見して財産処分手続を適正にとらせることができない状況となっていた。
前記のとおり、交付要綱等によれば、事業主体は、当該事業主体が運営する住民拠点SSとしての基礎情報を災害情報システムに登録することとされている。
他方、住民拠点SSとしての基礎情報に変更があった場合については明確な定めがないが、貴庁は、事業主体等において廃止、事業譲渡、合併等がある場合は、品確法に基づく届出を受けることとなっていること、貴庁において災害情報システムの運用を行っていることを踏まえれば、当該情報に変更があった場合、品確法に基づく届出のあった情報を活用してマスタデータの更新を行う必要があったと認められる。
しかし、貴庁では、届出のあった情報を住民拠点SS一覧と照合しておらず、住民拠点SSの基礎情報が事業主体の廃止、事業譲渡、合併等により変更されているにもかかわらず、21事業主体の34か所については半年以上1年未満、20事業主体の31か所については1年以上、マスタデータが更新されていない状況となっていた。このため、正確な情報が反映されないまま住民拠点SS一覧が公表されていた。
また、前記のとおり、台風等の災害の場合の災害情報システムの活用は、住民拠点SSからの営業状況等の情報収集が必要であると貴庁が個別に判断した場合に限られているが、近年は、大規模な停電を伴う台風等が多く発生している。
そこで、対象災害のうち台風の際における災害情報システムを活用した情報収集及び公表の状況を確認したところ、貴庁は、平成30年台風第21号の際には、情報収集が必要であると判断し、災害情報システムを活用して事業主体等から住民拠点SSの営業状況等の情報収集を行っていたものの、その後、複数の対象災害が発生した際には、どのような場合に災害情報システムを活用するかという判断基準を設けていなかったこともあり、災害情報システムを活用した情報収集を行っていなかった。また、いずれの場合も、地域住民に対して災害情報システムを活用した住民拠点SSの営業状況等の公表を行っていなかった。しかし、いずれの対象災害においても大規模な停電が長時間にわたって発生していたことから、被災者の不安を解消するなどして、営業している給油所に避難者・被災者が集中するなどの事態を防止するとする災害情報システムの整備目的を踏まえれば、貴庁において、災害情報システムの活用を検討するなどして住民拠点SSの営業状況等の情報収集や公表を行う必要があると認められる。
(是正及び是正改善並びに改善を必要とする事態)
災害時に自家発電設備が速やかに活用されておらず、一部の住民拠点SSが地域の燃料供給拠点として機能していない事態は適切ではなく、改善を図る要があると認められる。また、一部の住民拠点SSにおいて、財産処分手続が適正にとられていない事態は適切ではなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。さらに、住民拠点SSの基礎情報が事業主体の廃止、事業譲渡、合併等により変更されているにもかかわらず、住民拠点SS一覧に反映されておらず、台風等による大規模な停電が発生した場合に、災害情報システムを活用して住民拠点SSの営業状況等の情報収集や公表が行われていない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。
(発生原因)
このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。
ア 事業主体において、台風等による大規模な停電発生の場合に、給油所設備の損傷、従業員の負傷等の有無を速やかに確認して自家発電設備を活用して営業を再開等することについての理解が十分でないこと
イ 貴庁及び石油協会において、財産処分手続が必要となる場合の具体的な事例についての事業主体に対する周知が十分でないこと、また、貴庁において、揮発油販売業者から品確法に基づく届出がされた場合に、当該情報を石油協会と適時に共有して財産処分手続が必要となる事態の有無を確認することとしていないこと
ウ 貴庁において、事業主体等における廃止、事業譲渡、合併等の情報について、適時にマスタデータを更新して速やかに住民拠点SS一覧に反映する体制を整えていないこと、また、台風等が発生した場合に災害情報システムを活用して情報収集や公表を行うための判断基準を設けていないこと
今後も、大規模な停電を伴う大規模自然災害が各地で発生する可能性があり、補助事業により整備した住民拠点SSにおける自家発電設備の活用及び住民拠点SSの営業状況等の効果的な公表を行うことは重要である。
ついては、貴庁において、自家発電設備が事業主体により適切に管理され、災害時に住民拠点SSが速やかに地域の燃料供給拠点として機能するよう、また、災害時に住民拠点SSの営業状況等を効果的に公表できるよう、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め並びに改善の処置を要求し及び意見を表示する。
ア 貴庁において、事業主体に対して、災害による停電時に住民拠点SSが地域の燃料供給拠点として機能するよう、住民拠点SSの役割を踏まえて、給油所設備の損傷、従業員の負傷等がなく給油できる環境が整った場合には、速やかに自家発電設備を活用して営業を再開等することの重要性について、改めて石油協会を通じて通知するなどして周知徹底を図ること(会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求するもの)
イ 貴庁において、石油協会に対して、25事業主体の自家発電設備について、速やかに所要の財産処分手続をとらせるとともに、このうち9事業主体については財産処分時点における自家発電設備の残存簿価相当額の石油協会を通じての国庫への納付を行わせるよう求めること(同法第34条の規定により是正の処置を要求するもの)
また、貴庁において、揮発油販売業者から品確法に基づく届出がされた場合に、当該給油所が住民拠点SSであるかどうか照合するなど適時に石油協会と情報共有を行い、必要に応じて財産処分手続を行わせるとともに、事業主体に対して、住民拠点SSの運営を中止したり、補助事業を承継したりするなどの場合であっても、自家発電設備の処分制限期間を経過するまでは財産処分手続の必要がある場合に該当することについて、改めて石油協会を通じて通知するなどして周知徹底を図ること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めるもの)
ウ 貴庁において、住民拠点SSに関する情報について、適時にマスタデータを更新して速やかに住民拠点SS一覧に反映することとするとともに、台風等の災害の場合に災害情報システムを活用して情報収集や公表を行うための判断基準を設けるなどして、住民拠点SSの営業状況等を効果的に公表できる体制を整備すること(同法第36条の規定により意見を表示するもの)