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  • (2) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

通信線、ガス管等の移設に係る補償費の算定が適切でなかったもの[4府県](114)―(120)


(7件 不当と認める国庫補助金 36,301,194円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(114)
茨城県
茨城県
社会資本整備総合交付金
(河川)
30 6,235
(6,235)
3,117 3,087
(3,087)
1,543
減価相当額を誤っていたもの(通信線等)
(115)
ひたちなか市
地方創生汚水処理施設整推進交付金
28 5,159
(5,159)
2,579 2,732
(2,732)
1,366
減価相当額を誤るなどしていたもの(通信線等)
(116)
富山県
富山県
社会資本整備総合交付金
(下水道)、防災・安全交付金(河川)
、(砂防)
、(その他総合的な治水)
27~30 43,170
(43,170)
21,585 22,066
(22,066)
11,033
減価相当額及び処分利益の額を誤っていたもの(通信線等)
(117)
富山市
社会資本整備総合交付金
(下水道)、防災・安全交付金(同)
27~30 83,032
(74,644)
37,322 15,717
(15,383)
7,691
減価相当額を誤っていたもの(ガス管等)
(118)
京都府
京都府
河川改修費補助、防災・安全交付金(その他総合的な治水)
27、30 45,243
(45,243)
22,621 10,146
(10,146)
5,073
減価相当額を誤っていたもの(通信線等)
(119)
京都市
防災・安全交付金(河川)
29、30 97,420
(97,420)
32,473 11,721
(11,721)
3,907
(120)
奈良県
奈良県
29、30 92,967
(92,967)
46,483 11,371
(11,371)
5,685
(114)―(120)の計       373,227
(364,839)
166,183 76,844
(76,509)
36,301  

これらの交付金事業等は、河川、砂防又は下水道の各事業において、事業を行う上で支障となる通信線、ガス管等の所有者である電気通信事業者又はガス事業者に対して、移設に要する費用を補償するものである。

事業主体は、本件補償費の算定について、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和42年閣議決定)、「公共補償基準要綱の運用申し合せ」(昭和42年用地対策連絡会。以下、これらを合わせて「公共補償基準」という。)等に基づき行うこととしている。

公共補償基準等によれば、公共事業の施行に伴い、既存公共施設等の管理者が、機能の廃止等が必要となる既存公共施設等の代替の公共施設等を建設する場合においては、当該公共施設等を建設するために必要な費用から、既存公共施設等の機能廃止の時までの財産価値の減耗分(以下「減価相当額」という。)、既存公共施設等を売却することなどにより得るであろう処分利益等を控除するなどして補償費を算定することとされている。そして、当該公共施設等を建設するために必要な費用は、原則として、既存公共施設等と同等の公共施設等を建設することにより機能回復を行う費用(以下「復成価格」という。)とされ、減価相当額については、既存公共施設等の復成価格に基づき、経過年数、残価率等を考慮して算定することとされている。

しかし、4府県及び3市において、補償費の算定に当たり、減価相当額を復成価格に基づき算定すべきところ誤って既存公共施設の材料費を基にするなどして過小に算定していたり、処分利益の一部を控除していなかったりなどしていたため、補償費が計76,844,023円過大に算定されていて、これらに係る交付金等相当額計36,301,194円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4府県及び3市において、補償費の算定に当たり、公共補償基準等における減価相当額及び処分利益の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

富山県は、平成29年度に、二級河川鴨川統合河川整備事業による放水路の整備に伴い支障となる道路下に埋設された通信線等の所有者である電気通信事業者に対して、通信線等の移設に要する費用の補償として21,744,348円(交付対象事業費同額、交付金交付額10,872,174円)を支払っている。

同県は、本件補償費の算定において、通信線等を建設するための費用から控除する減価相当額を、既存の通信線等の材料費のみを基に6,039,377円と算定していた。また、処分利益の一部を控除していなかった。

しかし、公共補償基準等によれば、減価相当額は、既存の通信線等と同等の通信線等の復成価格に基づいて算定することとされていることから、既存の通信線等の材料費のみを基に算定するのではなく、既存の通信線等と同等の通信線等の材料費、設置費等の建設費から成る復成価格に基づいて算定すべきであり、また、処分利益は、その全額を控除すべきであった。

したがって、既存の通信線等と同等の通信線等の復成価格を基に算定した減価相当額21,779,356円及び処分利益全額を控除して適正な補償費を算定すると4,519,788円となり、本件補償費21,744,348円は、これに比べて17,224,560円(これに係る交付金相当額8,612,280円)過大となっていた。