(1件 不当と認める国庫補助金 30,519,053円)
部局等 |
補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 |
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 |
千円 |
千円 |
千円 |
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(125) | 大阪府 |
箕面市 |
防災・安全交付金(下水道) |
平成30、令和元 |
77,760 (72,360) |
36,180
| 65,796 (61,038) |
30,519
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この交付金事業は、箕面市が、箕面市稲地内の萱野汚水中継ポンプ場において、汚水ポンプ等に電気を供給するために電気室に設置されている動力コントロールセンタ、電灯配電盤及び補助リレー盤(以下、これらを合わせて「動力センタ盤等」という。)の老朽化に伴い、動力センタ盤等を新たに製作して電気室に設置するなどの2件の電気設備工事を実施したものである。
同市は、仕様書において、動力センタ盤等を設置する際は動力センタ盤等の底面と同一寸法の鋼製の架台を使用し、架台の上に動力センタ盤等を固定することとして、「建築設備耐震設計・施工指針2014年版」(独立行政法人建築研究所監修。以下「耐震設計指針」という。)等に基づいて、動力センタ盤等の耐震支持について、アンカーボルトを用いて架台をコンクリート床に緊結することとしている。そして、仕様書によれば、請負人が動力センタ盤等を固定する架台(以下「据付架台」という。)のコンクリート床への緊結に係る耐震設計計算を行い、これに基づき耐震強度計算書及び施工図(以下「耐震強度計算書等」という。)を作成した上で施工することとされている。
本件両工事の請負人は、据付架台の底面前側をおねじ形のあと施工アンカーボルト(注1)(径12mmのもの計19本。以下「おねじ形ボルト」という。参考図参照)を使用してコンクリート床に緊結すれば、おねじ形ボルトに地震時に作用する引抜力(注2)が許容引抜力(注2)6.70kN/本を下回ることから安全であるとする耐震強度計算書等を作成して同市に提出し、同市は、これらを承諾して施工させていた。
しかし、本件両工事の請負人は、耐震強度計算書等でおねじ形ボルトを使用することとしていたにもかかわらず、めねじ形のあと施工アンカーボルト(径12mmのもの計19本。以下「めねじ形ボルト」という。参考図参照)を使用して据付架台の底面前側をコンクリート床に緊結していた。このめねじ形ボルトの許容引抜力は、耐震設計指針によれば0.75kN/本となっていて、上記おねじ形ボルトの許容引抜力6.70kN/本を大幅に下回っているものである。
そして、上記のめねじ形ボルトに地震時に作用する引抜力は、動力コントロールセンタでは6.58kN/本、電灯配電盤では6.17kN/本、補助リレー盤では3.58kN/本となっていることから、いずれもめねじ形ボルトの許容引抜力0.75kN/本を大幅に上回っており、耐震設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件両工事で設置した動力センタ盤等(工事費相当額計65,796,273円)は、設置に係る施工が適切でなかったため、地震時における所要の安全度が確保されておらず、据付架台の底面前側をコンクリート床に緊結しているアンカーボルトが地震時に引き抜かれるなどして、動力センタ盤等が転倒して破損するおそれがあり、動力センタ盤等の機能の維持が確保されていない状態となっていて、これらに係る交付金相当額計30,519,053円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、本件両工事の請負人が動力センタ盤等を設置する際に、耐震強度計算書等で使用することとしていたアンカーボルトと異なるアンカーボルトを使用するなど施工が適切でなかったのに、同市において、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
あと施工アンカーボルトの概念図