ページトップ
  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 国土交通省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

河川管理施設に設置された機械設備の維持管理に当たり、機器等の整備、更新等の優先順位を決定した上で機械維持管理計画の策定又は見直しを行ったり、機器等の取替え・更新の実施を健全度の評価等に基づいて判断したりすることで予防保全型維持管理を適切に実施するとともに、機能に支障が生じていることが判明した致命的機器等について速やかに緊急保全を行うことにより、機械設備の信頼性を確保しつつ、更新等に係る費用の縮減及び平準化が図られるなどするよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計(組織)国土交通本省
(項)河川整備事業費
(項)社会資本総合整備事業費 等
部局等
直轄事業 5地方整備局
交付金事業 8府県
事業及び交付の根拠
河川法(昭和39年法律第167号)等
事業主体
直轄事業 8河川事務所等
交付金事業 府1、県7、市6
計 22事業主体
河川管理施設に設置された機械設備の維持管理の概要
河川管理施設に設置された機械設備の機能を維持するために、予防保全を基本として点検結果に基づき計画的に機器等の整備、更新等を実施等するもの
年点検、機器等の取替え・更新の工事等を実施した河川管理施設数及び同施設を対象とした年点検、機器等の取替え・更新の工事等に係る契約額
直轄事業  395施設 80億1669万余円
(平成29年度~令和元年度)
交付金事業 104施設 86億7097万余円
(平成29年度~令和元年度)
(交付金交付額36億7607万余円)
機器等の整備、更新等の優先順位が決定されていないなどしていた河川管理施設数及び同施設を対象とした年点検等に係る契約額(1)
直轄事業  223施設  24億9199万円
(平成29年度~令和元年度)
交付金事業33施設3億3683万余円
(平成29年度~令和元年度)
(交付金交付額1億5718万円)
機器等の取替え・更新が必要以上に早期に実施されていた河川管理施設数及びこれに係る機器等の取替え・更新の直接工事費(2)
直轄事業5施設3711万円
(平成29、令和元両年度)
交付金事業8施設2億1246万余円
(平成29年度~令和元年度)
(交付金交付額1億0623万円)
年点検の点検結果を踏まえた緊急保全がマニュアルに基づいて速やかに実施されていなかった河川管理施設数及び同施設を対象とした年点検に係る契約額(3)
直轄事業2施設1億6762万円
(平成29年度~令和元年度)
交付金事業10施設1億1494万余円
(平成29年度~令和元年度)
(交付金交付額4496万円)
(1)及び(3)の純計
直轄事業224施設24億9199万円(背景金額)
交付金事業34施設3億6725万余円
(交付金交付額1億6160万円)(背景金額)

1 河川管理施設に設置された機械設備の維持管理の概要

(1)インフラ長寿命化及び河川管理施設の予防保全型維持管理の概要

国土交通省は、河川法(昭和39年法律第167号)等に基づき、洪水等による災害の発生の防止を図るなどのために河川を総合的に管理し、公共の安全を保持することなどを目的として、水門、樋(ひ)門、排水機場等の河川管理施設の維持管理を行ったり、都道府県等が河川管理施設の延命化のために必要な措置として実施する維持管理に要する経費に対して防災・安全交付金等を交付したりしている。

政府が平成25年11月に策定した「インフラ長寿命化基本計画」によれば、損傷が軽微な早期段階の予防的な修繕等で機能の保持等を図る予防保全型維持管理の導入推進の取組が重要とされており、これに基づいて同省が策定した「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」によれば、維持管理・更新等に係るトータルコストの縮減や予算の平準化を図るためには、点検結果に基づき修繕・更新等の対策費用を把握した上で、優先順位を付けて計画的に修繕・更新等の対策を講ずることが重要であるとされている。そして、同省は、河川管理施設に設置された機械設備の維持管理については、予防保全の手法を具体化するなどした「河川用ゲート設備点検・整備・更新マニュアル(案)」及び「河川ポンプ設備点検・整備・更新マニュアル(案)」(いずれも平成27年3月国土交通省総合政策局公共事業企画調整課等改定。以下、これらを合わせて「マニュアル」という。)に基づいて行うことを基本としている。

(2)機械設備の維持管理の概要

マニュアルによれば、河川管理施設に設置された機械設備の維持管理については、次のとおり行うこととされている。

ア 点検から機械維持管理計画の策定等までの手順等

河川管理者は、機械設備の保全を安全かつ効率的に実施し、その機能を維持することを目的として、河川管理施設ごとに機械設備に係る維持管理計画(以下「機械維持管理計画」という。)を策定することとされており、その策定等は、のような手順で行うこととされている。

図 点検から機械維持管理計画の策定等までの手順

  • 点検
  • 健全度の評価
    傾向管理の評価 注(1)
  • 装置・機器特性の評価
  • 設置条件の評価
  • 健全度による整備、更新等の優先度決定
  • 整備、更新等の優先順位決定
  • 機械維持管理計画の策定又は見直し
注(1)
傾向管理  定期点検又は運転時点検により得られたデータを時系列的に整理し、その変化を読み取ることにより将来の修繕・取替えする機器等の選定及び故障時期の推定に役立てるためのデータ管理をいう。
注(2)
機能的耐用限界  設備の経年劣化又は運用条件の変化に伴い、設備機能の改善が必要と認められる状態にあるもの

このうち点検については、機械設備の機能を維持し信頼性を確保することを目的に実施することとされ、定期点検(年点検及び月点検)、運転時点検及び臨時点検に区分されている。また、定期点検のうち、年点検は、年に1回、適切な時期に実施することとされ、月点検等では把握できない設備全体の機能を確認し機器等(部品を含む。以下同じ。)の状態を詳細に把握するために専門技術者が実施するものとされている。

機器等の点検の結果(以下「点検結果」という。)に基づく判定内容については、表1のとおり区分して示すこととされている。そして、点検結果で「△」とされた機器等については、更に機械設備の物理的劣化や性能低下等の状態を明らかにするために、点検結果等に基づき当該機器等の健全度の評価を実施して、表2のとおり評価結果を区分して整理することとされている。

表1 点検結果の区分及び判定内容

点検結果の区分 判定内容
× 現在、装置・機器・部品の機能に支障が生じており、緊急に対応(修繕・取替え・更新)が必要である。
現在、装置・機器・部品の機能に支障は生じていないが、早急に対策を講じないと数年のうちに支障が生じるおそれがある。
正常であり現在支障は生じていない。若しくは通常の(定常的な)保全において十分な信頼性が確保できている。

表2 健全度の評価の区分及び状態

健全度の評価の区分 状態
△1
(予防保全段階)
点検等の結果、設備・装置・機器・部品の機能に支障が生じる可能性があり、予防保全の観点から早急に措置(整備・取替え・更新)を行うべき状態
△2
(予防保全計画段階)
点検等の結果、設備・装置・機器・部品の機能に支障が生じていないが、2~3年以内に措置(整備・取替え・更新)を行うことが望ましい状態
△3
(要監視段階)
点検の結果、設備・装置・機器・部品の機能に支障が生じていないが状態の経過観察が必要な状態

また、予防保全は、機械設備に故障が発生する前に適切に措置を執る必要がある一方で、措置が早すぎれば経済性が低下することから適切に優先順位を決定して執行されなければならないとされている。このため、河川管理者は、健全度の評価の結果に、機器等の特性の評価及び設備の設置条件による重み付けを行うなどして、整備、更新等の優先度についての技術的な評価を行い、これに基づくなどして整備、更新等の優先順位を決定することとされている。

そして、河川管理者は、河川管理施設ごとに、整備、更新等に係る優先順位等を取りまとめた評価表や費用等を取りまとめた中長期保全計画等で構成される前記の機械維持管理計画を策定し、その策定後においても、点検や整備、更新等を実施した結果等によりその見直しを継続的に行うこととされている。

イ 機器等の取替え・更新に係る標準年数の設定

予防保全による計画的かつ効率的な維持管理を検討するに当たっては、機器等ごとの取替え・更新の目安となるべき標準年数の設定が不可欠であるとされている。標準年数は、過去の実績を基に統計的に算定されるものであり、平均の取替え・更新の標準年数(以下「平均年数」という。)と信頼性による取替え・更新の標準年数(以下「信頼年数」という。)とがある。このうち、平均年数は、予防保全の指標となる使用年数であり、機械維持管理計画において機器等の取替え・更新を計画するに当たって用いる年数とされている。一方、信頼年数は、これを経過した場合、一層注意して機器等の健全度を見極める必要がある使用年数とされている。このような性格の違いから、マニュアルにおいて示された機器等ごとの信頼年数は、平均年数のおおむね半分程度となっている。

そして、マニュアルにおける平均年数は、目安として示されているものであり、その経過をもって直ちに機器等の取替え・更新やその検討が必要になることにはなっておらず、実際の機器等の取替え・更新に当たっては、健全度の評価等に基づいて実施の要否を判断することとなっている。

ウ 機械設備を構成する致命的機器等に係る緊急保全

機械設備を構成する機器等のうち、故障が発生した場合、すなわち機能に支障が生じた場合に当該機械設備の機能を確保できなくなる機器等(以下「致命的機器等」という。)の維持管理に当たっては、予防保全を適用して経過年数に伴い定期的に整備、更新等を行うことで機械設備の機能に致命的な影響を生じさせないことを基本とするが、致命的機器等が故障した場合には緊急に復旧するための処置(以下「緊急保全」という。)を実施することとされている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性、経済性、効率性等の観点から、河川管理施設に設置された機械設備について、マニュアル等に基づいて、機械維持管理計画の策定又は見直しが適切に行われているか、機器等の取替え・更新が適切な時期に実施されているか、緊急保全は適切に実施されているかなどに着眼して検査した。

検査に当たっては、5地方整備局(注1)管内の8河川事務所等(注2)及び14府県等(注3)において、これらの計22事業主体が管理していて、29年度から令和元年度までの間に機械設備の年点検、機器等の取替え・更新の工事等を行った499河川管理施設(直轄事業395施設、これに係る契約107件(機械維持管理計画の策定等を含む契約額80億1669万余円)、交付金事業104施設、同239件(同86億7097万余円(交付金交付額36億7607万余円)))を対象として、年点検記録簿、機械維持管理計画等の関係書類及び現地の状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注1)
5地方整備局  中部、近畿、中国、四国、九州各地方整備局
(注2)
木曽川上流、淀川、出雲、那賀川各河川事務所、沼津、福知山、宮崎、延岡各河川国道事務所
(注3)
14府県等  設大阪府、茨城、神奈川、静岡、愛知、高知、福岡、熊本各県、静岡、名古屋、京都、大阪、北九州、福岡各市

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1)機器等の整備、更新等の優先順位が決定されていないなどしていたり、機器等の取替え・更新の実施の判断が適切でなかったりしていた事態

ア 健全度の評価等が実施されず機器等の整備、更新等の優先順位が決定されていないなどしていた事態

直轄事業又は交付金事業により年点検等が実施された457河川管理施設について、元年度末における機械維持管理計画の策定等の状況を確認したところ、12事業主体(注4)が管理する256河川管理施設(直轄事業223施設、同施設を対象とした機械維持管理計画の策定等及び年点検に係る契約額計24億9199万余円、交付金事業33施設、同計3億3683万余円(交付金交付額計1億5718万余円))において、健全度の評価等が実施されず、機器等の整備、更新等を計画的、効率的に実施するために決定しなければならないとされている優先順位が決定されていないなどの適切とは認められない事態が見受けられた。このため、これらの河川管理施設については、維持管理に係るトータルコストの縮減等が適切に図られない可能性があると認められた。

(注4)
12事業主体  木曽川上流、淀川、那賀川各河川事務所、沼津、福知山、宮崎、延岡各河川国道事務所、茨城、高知、福岡、熊本各県、福岡市

イ 機器等の取替え・更新が必要以上に早期に実施されていた事態

直轄事業又は交付金事業により機械設備の機器等の取替え・更新を実施した91河川管理施設について、機械維持管理計画における取替え・更新に係る計画の内容等を確認したところ、6事業主体(注5)が管理する13河川管理施設(直轄事業5施設、交付金事業8施設)に設置された31機器等において、標準年数に誤って信頼年数を用いるなどしていた。そして、実際の機器等の取替え・更新についても、信頼年数を経過したことなどをもってその実施を判断していた。

しかし、上記の31機器等は、年点検の点検結果が「○」と判定されるなど健全度が高いものとなっており、健全度の評価等に基づくと取替え・更新が必要とされる状態ではなく、また、取替え・更新が必要となる特段の事情もないものとなっていた。したがって、上記の31機器等について、健全度の評価等に基づくことなく信頼年数を経過したことなどをもって取替え・更新の実施を判断したことは適切ではなく、機器等の取替え・更新が必要以上に早期に実施されている状況となっていた(これらの取替え・更新工事に係る直接工事費計2億4958万余円(直轄事業4件、直接工事費計3711万余円、交付金事業9件、同計2億1246万余円(交付金相当額計1億0623万余円)))。このため、これらの機器等の取替え・更新等については、維持管理、更新等に係る費用の縮減及び平準化に寄与していないものとなっていると認められた。

(注5)
6事業主体  木曽川上流河川事務所、宮崎河川国道事務所、神奈川、愛知、熊本各県、福岡市

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

宮崎河川国道事務所は、令和元年度に、瓜田川水門等に設置されたゲート設備に係る機器等の取替えなどを行う工事を契約額47,630,000円で実施している。同事務所は、瓜田川水門において、ワイヤロープ(常用)及びゲートを操作するための機側操作盤を平成10年に設置しており、機械維持管理計画における取替え・更新計画の標準年数に信頼年数(ワイヤロープ(常用)10年、機側操作盤16年)を用いていた。そして、その使用年数が20年となり、それぞれ信頼年数を経過していたことをもって取替えが必要であると判断し、上記の機器等を取り替えていた(直接工事費891万余円)。

しかし、取替え・更新の標準年数は、マニュアルに基づき平均年数(ワイヤロープ(常用)27年、機側操作盤35年)を用いるべきであった。また、当該機器等については、点検結果が「○」又は健全度の評価の結果が「△3」となっていて機器等の機能に支障は生じていないとされていたにもかかわらず、上記のとおり信頼年数を経過したことをもって取替えが必要と判断されていたことから、当該機器等の取替えが必要以上に早期に実施されている状況となっていた。

(2)年点検の点検結果を踏まえた緊急保全がマニュアルに基づいて速やかに実施されていなかった事態

元年度の年点検の点検結果において「×」と判定されるなど機能に支障が生じていた致命的機器等68機器等について、過去5年間の点検結果を確認したところ、6事業主体(注6)が管理する12河川管理施設に設置された37機器等については、平成30年度の年点検においても「×」と判定されるなどして既にマニュアルに基づく緊急保全の実施が必要であるとされていた。しかし、これらの機器等が非常時対応の予備として設置されているものであったり、機械設備の一部分にすぎないものであったりしていることなどを理由として、1年以上にわたり緊急保全が実施されていなかった(直轄事業2施設、同施設を対象とした年点検に係る契約額計1億6762万余円、交付金事業10施設、同計1億1494万余円(交付金交付額計4496万余円))。これらの37機器等の中には、27年度の年点検以降4年以上にわたり緊急保全が実施されていないものが14機器等あった。

上記のように、特段の対応を執らないまま機能に支障が生じている致命的機器等を放置していると、非常時にゲートの開閉操作を行えなくなるなど機械設備の機能を確保できなくなったり、一部の機器等の修繕等にとどまらず装置の更新等が必要となったりするなどのおそれがある。したがって、点検結果で致命的機器等の機能に支障が生じていると判定された段階で緊急保全を実施し、機械設備の機能に支障が生ずることを未然に防止するよう努めることにより、機械設備が必要なときに確実に稼働するよう設備の信頼性を確保する必要があったと認められた。

なお、前記の37機器等については、6事業主体において、既に対策工事を実施するなど機能の回復を図るための措置が講じられている。

(注6)
6事業主体  宮崎河川国道事務所、茨城、静岡、高知、熊本各県、福岡市

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例2>

高知県が管理する香宗川放水路内にある分流堰(ぜき)において、同県は、停電時又は電気式モーター故障時にゲートの起伏を可能とするための致命的機器等である予備動力エンジンが平成25年度末時点で既に稼働できない状態となっていることを把握していたものの、分流堰が約300m離れた防潮水門の非常用電源設備と電線で接続されていて、停電時のゲート操作には支障がないなどとして、緊急保全を実施していなかった。

しかし、予備動力エンジンは、停電時だけでなく電気式モーターの故障時においてもゲートを起伏する動力源を確実に確保する必要があるため設置されているものであることから、稼働しないことを把握した時点で速やかに緊急保全を実施する必要があった。なお、同県は、本院の検査を踏まえて、令和2年3月に予備動力エンジンを更新している。

(1)ア及び(2)については、両方の事態に該当する河川管理施設があることから、その重複を控除すると、合計で258河川管理施設、事業費計28億5925万余円(直轄事業224施設、事業費計24億9199万余円、交付金事業34施設、同計3億6725万余円(交付金交付額計1億6160万余円))となる。

このように、事業主体において、機器等の整備、更新等の優先順位が決定されていないなどしていたり、機器等の取替え・更新の実施の判断が適切でなかったりしていた事態及び年点検の点検結果を踏まえた緊急保全がマニュアルに基づいて速やかに実施されていなかった事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、事業主体において、予防保全の手法を具体化するなどしたマニュアルに対する理解が十分でなかったことなどにもよるが、国土交通省において、事業主体に対して、次のことについての周知が十分でなかったことなどによると認められた。

ア マニュアルに基づき、年点検の点検結果に基づいて健全度の評価等を毎年度実施するなどして機器等の整備、更新等の優先順位を決定した上で、機械維持管理計画を策定し、これを継続的に見直す必要があること

イ 機械維持管理計画における取替え・更新計画の標準年数には平均年数を用いるなどし、機器等の取替え・更新に当たっては、健全度の評価等に基づいて実施を判断する必要があること

ウ 機能に支障が生じていることが判明した致命的機器等について、速やかに緊急保全を実施することにより、機械設備の機能に支障が生ずることを未然に防止することが重要であること

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省は、令和3年5月に、事業主体に対して事務連絡を発して、次のことを周知する処置を講じた。

ア マニュアルに基づき、年点検の点検結果に基づいて健全度の評価等を毎年度実施するなどして機器等の整備、更新等の優先順位を決定した上で、機械維持管理計画を策定したり、継続的に見直したりすること

イ 機械維持管理計画における取替え・更新計画の標準年数には平均年数を用いるなどし、機器等の取替え・更新に当たっては、健全度の評価等に基づいて実施を判断すること

ウ 年点検等により機能に支障が生じていることが判明した致命的機器等について、マニュアルに基づいて速やかに緊急保全を行うこと