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  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1) 補助の対象とならないなどのもの

放射線量低減対策特別緊急事業費補助金の補助対象事業費に補助の対象とならない費用を含めていたもの[環境本省](131)


(1件 不当と認める国庫補助金 4,441,500円)

 
部局等
補助事業者等
(事業主体)
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
         
千円
千円
千円
千円
(131)
環境本省
栃木県大田原市
放射線量低減対策特別緊急
25
58,852
(58,852)
58,852
4,441
(4,441)
4,441

この補助事業は、大田原市が、東日本大震災による原子力災害に伴う放射線が人の健康等に及ぼす影響を減少させるために行う除染作業の実施に先立ち、除染作業の対象とする住宅を特定することなどを目的として、空間線量率の測定、除染対象物の状況等の把握、除染作業発注資料案の作成等の業務(以下「詳細測定等業務」という。)を業者に請け負わせて実施したものである。

「放射線量低減対策特別緊急事業費補助金取扱要領」(平成23年12月環境事務次官通知)等によれば、補助金の交付対象となる事業は、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年法律第110号。以下「特措法」という。)に基づき市町村等が定める除染実施計画に位置付けられている除染等の措置等に係る事業等とされている。

同市は、特措法等に基づき、平成24年3月に大田原市除染実施計画を定めて、同計画を定めるなどの際に調査測定した空間線量率の平均値(以下「平均空間線量率」という。)が0.23μSv/h(注)以上となった区域を同計画における除染等の措置等の対象となる区域(以下「除染実施区域」という。)とし、一方、平均空間線量率が0.23μSv/h未満となった区域を除染実施区域外としている。

同市は、住民から空間線量率の測定等の申込みがあった住宅684戸を詳細測定等業務の対象として、作業に要する日数に作業に従事する技師等の人数及び1日当たりの人件費単価を乗ずるなどして業務委託料を58,852,500円と算定して、契約を締結している。そして、同市は、業者に対して業務委託料58,852,500円を支払い、その全額を補助対象事業費とする実績報告書を環境本省へ提出して、国庫補助金58,852,500円の交付を受けていた。

しかし、詳細測定等業務が実施された684戸の立地場所を確認したところ、このうち61戸は除染実施区域外に立地していて、この61戸に係る詳細測定等業務は同計画に位置付けられている除染等の措置等に係る事業等に該当せず、補助金の交付対象とならないものであった。

したがって、上記の61戸に係る詳細測定等業務に要した費用を補助対象事業費から除くなどして適正な補助対象事業費を算定すると、過小に算定されていた除染作業発注資料案の作成に要する費用等を考慮しても54,411,000円となり、本件補助対象事業費58,852,500円はこれに比べて4,441,500円過大となっており、これに係る国庫補助金相当額4,441,500円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、補助金の交付対象となる業務についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。