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  • 令和2年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 防衛省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(2) 海外での訓練に使用するソノブイの受領検査について、仕様書を変更して、ソノブイを投下して作動を確認する方法から製造会社が発行した品質の証明書によりソノブイ全数の品質を確認する方法に見直すことなどにより、ソノブイの調達額の節減を図るよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)防衛本省 (項)防衛力基盤整備費(平成26年度以前は、(項)人材確保育成費)
部局等
海上幕僚監部(要求部局)、防衛装備庁(平成27年9月30日以前は装備施設本部)(契約部局)
契約名
ソノブイ(派米訓練用・P―3C用)売買契約
契約の概要
海上自衛隊の派遣部隊が海外で行う訓練に使用するソノブイを調達するもの
契約の相手方
双日エアロスペース株式会社、株式会社海外物産
契約
6件平成25年10月~30年3月一般競争後の随意契約
上記の契約に係るソノブイの調達数量及び支払額
7,063本11億4555万余円(平成26年度~令和元年度)
上記のうち品質確認の方法を見直してテストサンプルの調達を取りやめた場合に節減できたソノブイの調達数量及び支払額相当額
61本1197万円(平成26年度~令和元年度)

1 海外での訓練に使用するソノブイの受領検査等の概要

(1)ソノブイの売買契約等の概要

海上自衛隊(以下「海自」という。)は、環太平洋合同演習等の海外での訓練に航空部隊を派遣して(以下、派遣された航空部隊を「派遣部隊」という。)、ソノブイを海自のP―3C哨戒機から海面に投下するなどして米海軍等と対潜水艦戦訓練を実施している。ソノブイは、海面に投下された後、海中につり下げられる受波器等により潜水艦の発する音の聴取等を行った後、一定時間経過後に自沈機構が働いて海中に沈下するものである。

海上幕僚監部(以下「海幕」という。)は、海外での訓練に用いるソノブイについて米国の製造会社が製造するものを調達することとして、調達に必要な仕様書を定めており、海自の調達要求に基づき、防衛装備庁(平成27年9月30日以前は装備施設本部。以下「装備庁」という。)が支出負担行為担当官(分任支出負担行為担当官を含む。以下「支担官」という。)として商社を通じて調達を行っている。そして、装備庁は、一般競争入札後の随意契約により、平成25年度から28年度までは双日エアロスペース株式会社との間で5件、29年度は株式会社海外物産との間で1件のソノブイの輸入調達に係るソノブイ(派米訓練用・P―3C用)売買契約計6件(調達数量計7,063本。以下「売買契約6件」という。)を締結し、代金として計11億4555万余円を支払っている。売買契約6件により調達されたソノブイは、米国等の訓練実施場所に納入され、26年度から令和元年度までの間に行われた訓練において、派遣部隊が対潜水艦戦訓練に全数を使用している。

(2)売買契約6件の受領検査における品質確認の方法

会計法(昭和22年法律第35号)及び予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)によれば、物件の買入れなどの契約を締結した場合には、契約担当官及び支担官は、自ら又は補助者に命じて、給付の完了を確認するため仕様書等に基づき必要な検査を行い、検査を完了した場合においては、原則として、所定の検査調書を作成しなければならないこととされ、当該検査調書に基づかなければ当該契約の代金を支払うことができないこととされている。

そして、売買契約6件における給付の完了を確認する検査は、「調達品等に係る監督及び検査に関する訓令」(昭和44年防衛庁訓令第27号)等に基づき、受領検査において品質及び数量の確認を行うこととなっている。仕様書等によれば、品質確認のための検査項目として、打痕、傷等のないことを確認する外観検査、ソノブイを海自の航空機から投下して作動を確認する検査(以下「作動検査」といい、作動検査のために必要となるソノブイを以下「テストサンプル」という。)を海自自らが実施することなどとされており、前記7,063本のソノブイのうち61本をテストサンプルとして調達している。

一方、装備庁は、「品質の確認を含む輸入品(一般)受領検査実施要領」(以下「要領」という。)を定め、輸入品売買契約により調達される物品等について、製造会社の発行した品質の証明書を審査するなどの品質確認の方法を示している。

2 検査の結果

検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、経済性等の観点から、ソノブイの受領検査の方法が適切なものとなっているかなどに着眼して、売買契約6件を対象に、海幕、装備庁、海上自衛隊補給本部及び八戸航空基地において、契約書、仕様書、検査調書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、鹿屋、那覇両航空基地については、関係書類の提出を受けて、その内容を確認するなどして検査した。

検査の結果

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

売買契約6件により調達されたテストサンプル61本を含むソノブイ7,063本は、米国等の訓練実施場所に納入されており、P―3C哨戒機の整備等を行う派遣部隊の隊員が受領検査を担当していた。

売買契約6件における受領検査は、検査調書によると、派遣部隊が米国等の訓練実施場所に到着してから対潜水艦戦訓練の開始前までに行うという制約がある中で、同訓練の2日前から10日前までの間に実施されていて、仮に受領検査において作動検査を実施して不合格と判定されたとしても、対潜水艦戦訓練の開始前までに製造会社による確認や良品との交換を行うことは困難であると見込まれた。すなわち、作動検査は、対潜水艦戦訓練開始前までの限られた期間中に行う品質確認の方法には適さないと認められた。

そこで、作動検査に代えて、要領に定められた製造会社の発行した品質の証明書を審査するなどの品質確認の方法によることができないか確認したところ、製造会社は、納品するソノブイ全数について通信機能等の作動を確認する社内検査を実施していた。このように、要領に定められた品質確認の方法により当該社内検査に合格していることを確認するなどすれば、対潜水艦戦訓練開始前の限られた期間中に行うという制約がある中であっても効率的で必要な水準を満たした品質確認ができると認められた。

したがって、ソノブイの受領検査における品質確認の方法について、海幕及び装備庁において、仕様書を変更して、作動検査に代えて、製造会社から納品するソノブイ全数について通信機能等の作動を確認する検査を実施して合格している旨を記載した品質の証明書を提出させて、これを審査するなどの方法に見直すことにより、テストサンプルを調達する必要はなくなり、売買契約6件により調達したテストサンプル61本に係る支払額相当額1197万余円の節減が可能となると認められた。

このように、ソノブイの受領検査における品質確認が、対潜水艦戦訓練開始前の限られた期間中に実施するのに適さない方法となっていたなどの事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

発生原因

このような事態が生じていたのは、海幕及び装備庁において、ソノブイの受領検査について、製造会社が実施している社内検査の内容を踏まえて要領に定められた品質確認の方法によることとするなど、対潜水艦戦訓練開始前の限られた期間中に行うという制約がある中であっても効率的で必要な水準を満たした方法とすることについての検討が十分ではなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、海幕及び装備庁は、ソノブイの受領検査について、3年8月に仕様書を変更するなどして、品質確認は製造会社から納品するソノブイ全数について通信機能等の作動を確認する社内検査を実施して合格していることを記載した品質の証明書を提出させて審査するなどの方法によることとして、テストサンプルの調達を取りやめてソノブイの調達額の節減を図るなどの処置を講じた。