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  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第3節 不当事項に係る是正措置等の検査の結果

第2 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に係る処置の履行状況について


検査対象
17省庁等
検査の概要
本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として検査報告に掲記したものについて、当該処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査するもの
改善の処置の履行状況を検査した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項の件数
40件(検査報告 平成26年度~令和元年度)
上記のうち改善の処置が一部履行されていなかった件数
1件

1 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項に関する検査の概要

(1)検査の概要

本院は、検査の過程において会計検査院法第34条又は第36条の規定による意見表示又は処置要求を必要とする事態として指摘したところ、その指摘を契機として省庁及び団体(以下「省庁等」という。)において改善の処置を講じたものを、検査報告に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項(以下「処置済事項」という。)として掲記している。

一方、本院は、毎年次策定している会計検査の基本方針にのっとり、検査の結果が予算の編成・執行や事業運営等に的確に反映され実効あるものとなるように、その後の是正改善等の状況を継続して検査することとしている。検査報告に掲記した処置済事項についても、省庁等が制度を改めるなどの改善の処置が履行されること(改善の処置に基づき、その後の会計経理等が適切に行われることをいう。以下同じ。)により初めて実効あるものとなることから、当該改善の処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査している。

(2)令和元年度決算検査報告に掲記した改善の処置の履行状況

本院は、令和元年度決算検査報告に、平成26年度から30年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、平成30年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたもの62件から、検査報告掲記時点で既に履行済であったため検査の必要がなかったもの2件及び令和2年次(元年10月から2年9月まで)は履行状況の検査の対象となる会計経理等の実績がなかったことなどから検査を実施しなかったもの(以下「検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの」という。)15件を除いた45件についての検査の結果を掲記した。

その内訳は、改善の処置が履行されていたもの(以下「履行済」という。)が33件、検査した範囲では改善の処置が履行されていたもの(以下「検査分履行済」という。)が12件、改善の処置が一部履行されていなかったもの(以下「一部不履行」という。)及び改善の処置が全く履行されていなかったもの(以下「不履行」という。)はそれぞれ0件となっていた。

そして、上記の検査分履行済12件及び2年次は検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの15件の計27件並びに令和元年度決算検査報告に新たに掲記した処置済事項22件の合計49件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性等の観点から、改善の処置が履行されているかなどに着眼して、上記49件のうち、今年次は検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの9件を除いた40件について、2年8月から3年7月までの間に、関係する17省庁等のうち、9省庁において会計実地検査を行うとともに、残りの8省庁等については、報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

(検査の結果)

上記の40件について改善の処置の履行状況を検査したところ、履行済が28件、検査分履行済が11件、一部不履行が1件、不履行が0件となっていた。これを、令和元年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況と、平成26年度から30年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況とに分けて記述すると、次のとおりである。

(1)令和元年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

令和元年度決算検査報告に掲記した処置済事項22件のうち、検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの4件を除いた18件について検査したところ、履行済が16件、検査分履行済が2件となっていた。

(2)平成26年度から30年度までの検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況

平成26年度から30年度までの検査報告に掲記した処置済事項のうち、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたもの27件のうち、検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの5件を除いた22件について検査したところ、履行済が12件、検査分履行済が9件、一部不履行が1件となっていた。

(1)及び(2)において記述した改善の処置の履行状況を検査報告年度別及び省庁等別に示すと、表1及び表2のとおりである。

hyo1表1 検査報告年度別の改善の処置の履行状況

表1 検査報告年度別の改善の処置の履行状況(単位:件)

検査報告年度 改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした処置済事項
検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの 検査対象の処置済事項
改善の処置の履行状況
(A) (B) (A)-(B) 履行済 検査分履行済 一部不履行 不履行
平成
26年度
1 1 1
27年度 5 1 4 2 2
28年度 3 1 2 2
29年度 4 3 1 1
30年度 14 14 9 4 1
27 5 22 12 9 1
令和
元年度
22 4 18 16 2
合計 49 9 40 28 11 1
hyo2表2 省庁等別の改善の処置の履行状況

表2 省庁等別の改善の処置の履行状況(単位:件)

省庁等名 検査対象の
処置済事項
改善の処置の履行状況
履行済 検査分
履行済
一部
不履行
不履行
内閣府(内閣府本府) 1 1
同(警察庁) 3 3
法務省 1 1
外務省 2 1 1
財務省 1 1
文部科学省 3 2 1
厚生労働省 5 4 1
農林水産省 3 3
国土交通省 8 4 4
環境省 2 1 1
防衛省 4 4
東日本高速道路株式会社 1 1
本州四国連絡高速道路株式会社 1 1
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 1 1
独立行政法人都市再生機構 1 1
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 2 2
北海道旅客鉄道株式会社 1 1
40 28 11 1
  • (注) 省庁等名は、令和3年7月31日現在の名称としている。

3 本院の所見

処置済事項については、省庁等において改善の処置を講じた事項に係る処置が確実に履行されることが肝要である。また、一部不履行1件については、関係省庁において改善の処置について更なる徹底を図るなどする必要がある。

本院は、上記の一部不履行1件、前記の検査分履行済11件、検査の対象となる会計経理等の実績がなかったもの9件及び令和2年度決算検査報告に掲記した処置済事項20件の計41件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととする。