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  • 令和2年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第3節 特定検査対象に関する検査状況

第1 新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について


検査対象
国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
新型コロナウイルス感染症対策に関連する事業の概要
「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」「生活不安に対応するための緊急措置」「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」等に基づくなどして実施された事業
検査対象のうちコロナ関連事業を実施している府省等
裁判所、内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
区分管理されているコロナ関連事業数及び予算総額
770事業 65兆4165億円
コロナ関連事業に係る予備費及び新型コロナウイルス感染症対策予備費の予備費使用決定額
(1) 予備費2501億円(令和元年度一般会計) 838億円(令和2年度一般会計) 420億円(令和元年度特別会計) 550億円(令和2年度特別会計) (2) 新型コロナウイルス感染症対策予備費 9兆1420億円(令和2年度一般会計)

<構成>

1 検査の背景(リンク参照

(1)新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応状況の概要(リンク参照)

ア 新型コロナウイルス感染症を巡る動向等(リンク参照

イ 新型コロナウイルス感染症に関連する5対策(リンク参照

(2)新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の概要(リンク参照

ア 令和元年度予算の概要(リンク参照

イ 2年度予算の概要(リンク参照

ウ 予備費の使用決定等(リンク参照

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法(リンク参照

(1)検査の観点及び着眼点(リンク参照

(2)検査の対象及び方法(リンク参照

3 検査の状況(リンク参照

(1)コロナ関連事業に係る予算の執行状況(リンク参照

ア 5対策等別の予算の執行状況(リンク参照

イ コロナ関連事業の開始後の元年度から2年度末までの間を通算した類型別の予算の執行状況(リンク参照

ウ 府省等別のコロナ関連事業に係る予算の執行状況(リンク参照

エ コロナ関連事業ごとの予算の執行率等の状況(リンク参照

(2)コロナ関連事業に係る予備費の使用決定の状況等(リンク参照

ア コロナ関連事業に係る予備費の使用決定の状況(リンク参照

イ コロナ関連事業に係る予備費の使用決定により予算が配賦された予算科目ごとの執行状況(リンク参照

4 本院の所見(リンク参照

1 検査の背景

(1)新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応状況の概要

ア 新型コロナウイルス感染症を巡る動向等

新型コロナウイルス感染症は、令和元年12月に中華人民共和国湖北省武漢市において確認されて以降、国内外で感染が拡大し、パンデミック(世界的な大流行)の状況となった。

我が国においては、2年1月15日に国内初の感染者が確認されて、同月28日に、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)第6条第8項の指定感染症に定める政令(注1)を公布し、2月1日に施行するとともに、1月30日には、新型コロナウイルス感染症対策本部(以下「政府対策本部」という。)の設置を閣議決定している。

その後、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律(令和2年法律第4号)が3月13日に公布、同月14日に施行され、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特別措置法」という。)において新型コロナウイルス感染症が暫定的に新型インフルエンザ等とみなされる(注2)こととなり、同月26日に政府対策本部を特別措置法第15条第1項の規定に基づくものとするよう上記の閣議決定を一部改正している。そして、図表1のとおり、4月以降に感染者数が増加してきたことなどから、政府対策本部は特別措置法第32条の規定に基づき、4月7日に、緊急事態措置を実施すべき期間を同日から5月6日までの間、緊急事態措置を実施すべき区域を東京都、大阪府、埼玉、千葉、神奈川、兵庫、福岡各県とする緊急事態宣言を発出し、4月16日には同宣言の対象区域を全都道府県に拡大している。その後、期間の延長を経て、5月25日までに全面解除されたが、再び感染者数が増加するなどして、3年1月以降、緊急事態宣言が数次にわたり発出されるなどしている。

  • (注1) 令和3年2月13日に感染症法の一部が改正され、新型コロナウイルス感染症の感染症法における法的位置付けについては、「指定感染症」から「新型インフルエンザ等感染症」に変更されることとなった。これに伴い、この政令は同日に廃止された。
  • (注2) 新型コロナウイルス感染症については、特別措置法附則第1条の2の規定により新型インフルエンザ等とみなして特別措置法の規定を適用していたところであるが、令和3年2月13日の感染症法の改正に伴い、新型インフルエンザ等に該当することとなり特別措置法の適用対象となった。これに併せて、特別措置法附則第1条の2の規定は同日に削除された。

イ 新型コロナウイルス感染症に関連する5対策

(ア) 5対策の決定

政府対策本部は、特別措置法に基づいた緊急事態宣言の発出等により、感染予防の実施や不要不急の外出の自粛、営業自粛等による感染拡大の防止を図る一方、図表1のとおり、2年2月13日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」(以下「緊急対応策第1弾」という。)、3月10日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」(以下「緊急対応策第2弾」という。)、3月18日に「生活不安に対応するための緊急措置」(以下「緊急措置」という。)をそれぞれ決定している。また、4月7日には「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(4月20日に一部変更。以下「緊急経済対策」という。)、12月8日には「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(以下「2年総合経済対策」という。)を閣議決定している(以下、これらの対応策、対策等を合わせて「5対策」という。)

また、各府省等は、5対策の取りまとめに当たり、政府対策本部又は内閣府から発出された事務連絡に基づき、盛り込むべき具体的な施策の名称、施策の概要、事業規模等の情報の登録(以下「施策登録」という。)を行っており、施策登録に基づいて、施策登録時の施策を更に細分化するなどして事業を実施している。

(イ) 緊急対応策第1弾の概要

緊急対応策第1弾においては、水際対策とウイルスの国内まん延を食い止めることに全力を挙げて取り組むこととしている。また、これと併せて、国内の検査、治療、相談体制等の充実・拡充に向け、やるべき対策を躊躇(ちゅうちょ)なく決断し、実行していくとして、国民の命と健康を守ることを最優先に、当面緊急に措置すべき施策が取りまとめられている。

緊急対応策第1弾の予算は総額153億円となっており、その内容は、「国内感染対策の強化」(65億円)、「水際対策の強化」(34億円)、「帰国者等への支援」(30億円)、「国際連携の強化等」(18億円)及び「影響を受ける産業等への緊急対応」(6億円)となっている。具体的な施策は、「帰国者等への支援」として、新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されたクルーズ船乗員・乗客への支援物資の配布等、「水際対策の強化」として、検疫官の応援等による入国者への検査体制の強化等となっている。

(ウ) 緊急対応策第2弾の概要

緊急対応策第2弾においては、国内における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するために、患者増加のスピードを可能な限り抑制し、流行の早期終息を目指すとともに、全国の学校に対する臨時休業の要請に伴って生ずる諸課題に対して、本対応策に基づき責任をもって対応するなどとしている。

緊急対応策第2弾の予算は総額4308億円となっており、その内容は、「学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応」(2463億円)、「事業活動の縮小や雇用への対応」(1192億円)、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備」(486億円)及び「事態の変化に即応した緊急措置等」(168億円)となっている。具体的な施策は、「学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応」として、午前中から放課後児童クラブ等を開設する場合等の追加経費の国費支援等、「事業活動の縮小や雇用への対応」として、雇用調整助成金の特例措置の拡大等となっている。

(エ) 緊急措置の概要

緊急措置においては、緊急対応策第1弾及び緊急対応策第2弾のほかに、景気悪化への懸念が高まる状況を踏まえた緊急的な対応策として、「個人向け緊急小口資金等の特例の拡大」(104億円)、公共料金の支払、国税・社会保険料の納付の猶予等の措置を講ずることとしている。

(オ) 緊急経済対策の概要

緊急経済対策においては、新型コロナウイルス感染症の拡大が内外経済に甚大な影響をもたらしており、世界経済が戦後最大ともいうべき危機に直面しているという現状認識の下に、新たに補正予算を編成し、前例にとらわれることなく、財政・金融・税制といったあらゆる政策手段を総動員することにより、各種の対策を可及的速やかに実行に移すとしている。

緊急経済対策の一般会計予算は総額25兆5654億余円となっており、その内容は、「雇用の維持と事業の継続」(19兆4904億余円)、「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」(1兆8481億余円)、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」(1兆8096億余円)、「今後への備え」(1兆5000億円)及び「強靱な経済構造の構築」(9171億余円)となっている。具体的な施策は、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」として、全世帯を対象とした布製マスクの配付等、「雇用の維持と事業の継続」として、特別定額給付金の給付等となっている。

また、「今後への備え」では、今後の新型コロナウイルス感染症の状況や経済動向を踏まえて、必要な対策を講じるために新型コロナウイルス感染症対策予備費(以下「コロナ対策予備費」という。)を創設している。コロナ対策予備費は、令和2年度一般会計補正予算予算総則補正第10条の規定によれば、使途が新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止策に要する経費その他の同感染症に係る緊急を要する経費以外には使用しないものとされた予備費である。なお、このように、使途を限定した予備費(以下「特定使途予備費」という。)については、平成28年熊本地震による災害に係る復旧に要する経費その他の同災害に係る緊急を要する経費以外には使用しないものとされた平成28年度の熊本地震復旧等予備費(予算額2737億円)、東日本大震災に係る復旧及び復興に関連する経費以外には使用しないものとされた23年度の東日本大震災復旧・復興予備費(同5656億余円)などがあり、予算総則において、特定の使途に係る経費以外には使用しないものとするなど、使途の限定について規定されるなどしている。

(カ) 2年総合経済対策の概要

2年総合経済対策においては、新型コロナウイルス感染症の感染動向や民需主導の持続的な回復の実現に向けて、長年の課題である成長力の強化が不可欠であるなどとする現状認識の下に、国民の命と暮らしを守るために雇用を維持し、経済を回復させ、新たな成長の突破口を切り開くとしている。

2年総合経済対策の一般会計予算は総額19兆1761億余円となっており、その内容は、「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」(11兆6765億余円)、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」(4兆3581億余円)及び「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」(3兆1414億余円)となっている。このうち、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」については、新型コロナウイルスワクチン接種体制の整備等事業等を実施するものであり、また、「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」の中には、感染収束後を見据えた事業で、緊急対応策第1弾、緊急対応策第2弾、緊急措置又は緊急経済対策から継続して実施している事業、例えば、緊急経済対策からの継続事業であるサービス産業消費喚起事業(GoToキャンペーン)がある。

(2)新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の概要

ア 令和元年度予算の概要

元年度は、既定予算に加えて予備費を使用決定することで緊急対応策第1弾、緊急対応策第2弾及び緊急措置を実施するための予算が手当されている。

イ 2年度予算の概要

2年度は、当初予算の一部を手当するとともに、3次にわたる補正予算を編成したり予備費を使用決定したりすることで緊急経済対策、2年総合経済対策等を実施するための予算が手当されている。

(ア) 2年度第1次補正の概要

令和2年度一般会計補正予算(第1号)、令和2年度特別会計補正予算(特第1号)等(以下、これらを合わせて「2年度第1次補正」という。)は、2年4月30日に成立している。その内容は、一般会計についてみると、緊急経済対策を実施するために必要な経費の追加等を行うなどのためのもので、①感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発1兆8096億余円、②雇用の維持と事業の継続19兆4904億余円、③次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復1兆8481億余円、④強靱な経済構造の構築9171億余円、⑤コロナ対策予備費1兆5000億円等となっている。

また、特別会計においては、7会計(注3)について、所要の補正を行うこととなっており、その内容の多くは、新型コロナウイルス感染症対策に関連する補正となっている。

(注3)
7会計交付税及び譲与税配付金、国債整理基金、財政投融資、エネルギー対策、労働保険、年金、食料安定供給各特別会計
(イ) 2年度第2次補正の概要

令和2年度一般会計補正予算(第2号)、令和2年度特別会計補正予算(特第2号)等(以下、これらを合わせて「2年度第2次補正」という。)は、2年6月12日に成立している。その内容は、一般会計についてみると、緊急経済対策を実施するための経費等である2年度第1次補正を強化するもので、①雇用調整助成金の拡充等4519億余円、②資金繰り対応の強化11兆6390億余円、③家賃支援給付金の創設2兆0241億余円、④医療提供体制等の強化2兆9892億余円、⑤その他の支援4兆7127億余円、⑥コロナ対策予備費10兆円等となっている。

また、特別会計においては、3会計(注4)について、所要の補正を行うこととなっており、その内容の多くは、新型コロナウイルス感染症対策に関連する補正となっている。

そして、2年度第2次補正の編成に当たり、各府省等が緊急経済対策の閣議決定以降に新たに新型コロナウイルス感染症対策関係経費を計上して実施することとした事業(5対策に位置付けられていない事業であり、このような事業を以下「新規対策事業」という。)があり、前記家賃支援給付金の創設等がこれに該当する。

(注4)
3会計国債整理基金、財政投融資、労働保険各特別会計
(ウ) 2年度第3次補正の概要

令和2年度一般会計補正予算(第3号)、令和2年度特別会計補正予算(特第3号)等(以下、これらを合わせて「2年度第3次補正」という。)は、3年1月28日に成立している。その内容は、一般会計についてみると、2年総合経済対策を実施するために必要な経費の追加等を行うなどのためのもので、①新型コロナウイルス感染症の拡大防止策4兆3581億余円、②ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現11兆6765億余円、③防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保3兆1414億余円等となっている。

また、特別会計においては、11会計(注5)について、所要の補正を行うこととなっている。

(注5)
11会計交付税及び譲与税配付金、国債整理基金、外国為替資金、財政投融資、エネルギー対策、労働保険、年金、食料安定供給、国有林野事業債務管理、自動車安全、東日本大震災復興各特別会計

ウ 予備費の使用決定等

(ア) 予備費に係る制度等の概要

日本国憲法第87条第1項は、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任で使用できると規定し、これを受けて財政法(昭和22年法律第34号)第24条は、内閣は予備費を歳入歳出予算に計上することができると規定している。

各省各庁の長は、予備費の使用を必要と認めるときは、財政法第35条第2項の規定に基づき、理由、金額及び積算の基礎を明らかにした調書を作製して財務大臣に送付し、財務大臣は、同条第3項の規定に基づき、これを調査等して予備費使用書を作製し閣議決定を求めることなどとなっている。そして、予備費の使用決定がなされた後は、財政法第31条第1項及び第35条第4項の規定に基づき、予備費に計上されていた予算が使用の目的に応じて特定の予算科目に配賦され、同法第31条第3項の規定に基づき、予算の配賦があったことが本院に通知されている(以下、閣議等で予備費の使用決定をして予算を配賦することとした金額を「予備費使用決定額」といい、予算科目において予備費の使用決定により配賦された予算額を「予備費使用額」という。)。また、予備費に計上されていた予算が特定の予算科目に配賦された後は、当該予算科目において当初予算等の既定の予算と一体として執行されている。

日本国憲法第87条第2項は、内閣は予備費の使用について、事後に国会の承諾を求めなければならないと規定し、これを受けて財政法第36条第1項及び第2項は、予備費を使用した各省各庁の長は予備費使用の調書を作製して財務大臣に送付し、財務大臣はこれに基づき総調書を作製しなければならないと規定している。そして、同条第3項は、内閣はこの総調書及び各省各庁の長の調書(以下、これらを合わせて「予備費使用調書」という。)を国会に提出し、その承諾を求めなければならないと規定しており、内閣は、予備費の使用決定の時期によって、予備費使用調書を(その1)と(その2)の2回に分けるなどして国会に提出している。また、同条第4項は、財務大臣は予備費使用調書を本院に送付しなければならないと規定している。

予備費の使用決定に当たっては、「予備費の使用等について」(昭和29年4月16日閣議決定)において、国会開会中の予備費の使用決定を①事業量の増加等に伴う経常の経費、②法令又は国庫債務負担行為により支出義務が発生した経費、③災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費、④その他比較的軽微と認められる経費等に限定している。そして、予備費を使用決定した金額については、これをその目的の費途以外に支出してはならないとされている。

また、昭和30年に大蔵省主計局長から各財務局(部)長宛てに発出された「予備費使用にかかる経費の繰越について」(昭和30年4月15日蔵計第821号)によれば、予備費の使用決定に係る経費が繰越明許費と同一の経費である場合は、繰越明許費の要件を満たしていれば明許繰越しを行うことができること、また、避け難い事故のため年度内に支出が終わらない場合は、事故繰越しの要件を満たしていれば事故繰越しを行うことができることとされていて、予備費の使用決定に係る経費を繰り越すことは可能であるものの、予備費の性質上極力年度内に支出を完了するよう指導することが求められている。

(イ) 令和元、2両年度における予備費の使用決定の状況

元年度は緊急対応策第1弾、緊急対応策第2弾及び緊急措置に基づく事業の実施のために、また、2年度は緊急経済対策及び2年総合経済対策に基づく事業に係る予算に不足が生じた場合に財源の上乗せをするほか、新規対策事業の実施のために、予備費の使用決定がなされている。なお、予備費の使用決定により実施することとした新規対策事業としては、新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議(注6)において新たに決定された非正規雇用労働者等への支援に係る事業等がある。

(注6)
新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議  新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、女性や非正規雇用労働者の雇用への影響の深刻化や、生活の困窮による自殺や孤立等の課題に対応するために、令和3年3月15日に設置された内閣総理大臣を議長とする会議
a 元、2両年度における一般会計予備費及び特別会計予備費の使用決定の状況

元年度は、新型コロナウイルス感染症対策のために必要な経費として、一般会計の予備費(以下、一般会計に設置されたコロナ対策予備費と区別して「一般会計予備費」という。)の予算額5000億円から2501億余円(緊急対応策第1弾に基づく事業の実施のための103億余円、緊急対応策第2弾に基づく事業の実施のための2294億余円及び緊急措置に基づく事業の実施のための103億余円の計)の使用決定がなされている。そして、特別会計の予備費(以下「特別会計予備費」という。)においては、労働保険特別会計雇用勘定の予備費の予算額420億円全額(緊急対応策第2弾に基づく事業のための420億円)の使用決定がなされている。

また、2年度は、一般会計においては、2年度第1次補正によりコロナ対策予備費が創設される前に、一般会計予備費の予算額5000億円から新型コロナウイルス感染症対策に係る経費として838億余円の使用決定がなされており、コロナ対策予備費創設以後は、新型コロナウイルス感染症対策に係る経費について、一般会計予備費に優先してコロナ対策予備費から使用決定がなされている。そして、特別会計予備費においては、新型コロナウイルス感染症対策のために必要な経費として、労働保険特別会計雇用勘定の予備費の予算額550億円全額の使用決定がなされている。

b 2年度におけるコロナ対策予備費の使用決定の状況

前記のとおり、コロナ対策予備費は、使途が新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止策に要する経費等に限定された予備費であり、2年度第1次補正により1兆5000億円の予算が計上された後、2年度第2次補正により10兆円の増額、2年度第3次補正により1兆8500億円の減額がなされ、2年度の予算額は9兆6500億円となっている。なお、2年度第2次補正の予算案提出の際の「財務大臣の財政演説」では10兆円の予算の追加に関する説明がなされており、事態が大幅に深刻化した場合には、少なくとも5兆円程度(雇用調整助成金等の雇用維持や生活支援に1兆円程度、持続化給付金や家賃支援給付金等の事業継続に2兆円程度、地方向けの医療・介護の交付金等の医療提供体制強化に2兆円程度)の予算を必要とした上で、今後の長期戦の中でどのような事態が起きても迅速、かつ、十分に対応できるよう更に5兆円の予備費を確保することとしたとしている。

コロナ対策予備費の使用決定の状況について、補正予算の成立時期や国会の開会時期を踏まえて使用決定日ごとに累計してみると、図表2のとおりとなっており、2年度末における予備費使用決定額の累計額は9兆1420億余円となっている。

元、2両年度の予備費使用決定額を過去の例と比較するために、平成23年度から令和2年度までの過去10年間における各年度の一般会計予備費、特定使途予備費及び特別会計予備費の予備費使用決定額の状況をみると、図表3のとおりとなっており、元年度は、一般会計予備費の予備費使用決定額が多額となっている。また、2年度は、過去の特定使途予備費と比べて多額の予算がコロナ対策予備費に計上されていて、その予備費使用決定額も多額となっている。

図表3 過去10年間における予備費の使用決定の状況(単位:千円)

年度 一般会計予備費 特定使途予備費 特別会計予備費
予算額
(A)
予備費
使用決定額
(B)
名称 予算額
(A)
予備費
使用決定額
(B)
名称 予算額
(A)
予備費
使用決定額
(B)
平成
23年度
350,000,000 74,801,108 東日本大震災復旧・復興予備費 565,674,544 490,971,070 社会資本整備事業
(道路整備勘定)
1,600,000 1,600,000
24年度 350,000,000 113,190,701 経済危機対応・地域活性化予備費 909,999,479 909,999,479 東日本大震災復興 400,000,000 339,638,197
25年度 300,000,000 25,400,250 農業共済再保険
(園芸施設勘定)
1,500,000 161,622
農業共済再保険
(果樹勘定)
5,600,000 507,929
26年度 250,000,000 168,309,820
27年度 350,000,000 180,018,874
28年度 300,000,000 31,917,377 熊本地震復旧等予備費 273,700,000 247,662,307
29年度 300,000,000 87,207,592
30年度 450,000,000 194,511,544
令和
元年度
500,000,000 466,868,356 労働保険
(雇用勘定)
42,000,000 42,000,000
2年度 500,000,000 283,867,094 新型コロナウイルス感染症対策予備費 9,650,000,000 9,142,049,687 労働保険
(雇用勘定)
55,000,000 55,000,000

以上の新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算について、5対策等による施策との対応関係を示すと、図表4のとおりである。なお、各府省等は、施策登録時に想定した予算について、その後事業を実施する段階で増額するなどしている場合があり得る。

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1)検査の観点及び着眼点

新型コロナウイルス感染症は、国民の生命及び健康や社会経済に甚大な影響を与えている。

そして、これに対処するために多額の予算が計上されるなどしている5対策及び新規対策事業については、迅速、かつ、効果的な予算執行が求められている。また、5対策及び新規対策事業については多額の予備費が使用決定されているが、参議院決算委員会における令和元年度決算審査措置要求決議において、感染症まん延等の緊急事態への対策の財源として予備費を使用することは重要である一方、予備費は国会による事前議決の原則の例外となることから、その使用の状況について十分な説明が求められるとされている。

このような状況において、国民の理解と協力を得ながら新型コロナウイルス感染症対策を進めていく上で、新型コロナウイルス感染症対策に関連する5対策及び新規対策事業に係る執行状況、新型コロナウイルス感染症対策のために使用決定した予備費の状況等について、法令に基づく決算書の公表その他の国民に対する情報提供を適切に行い、透明性の確保及び説明責任の向上を図ることが重要と考えられる。

そこで、本院は、事業等の執行における透明性の確保(注7)及び国民への説明責任の向上(注7)等の観点から、新型コロナウイルス感染症対策に関連して実施した事業に係る予算執行状況はどのようになっているか、また、予備費は新型コロナウイルス感染症対策のどのような経費のために使用決定されているか、これにより予算が配賦された予算科目における執行状況はどのようになっているかなどに着眼して検査した。

  • (注7) 会計検査院法における「その他会計検査上必要な観点」に位置付けられるものである。

(2)検査の対象及び方法

検査に当たっては、施策登録を行うなどしていた16府省等(注8)(外局等を含む。以下同じ。)を対象にして、財務省から財政法第36条第4項の規定に基づき本院に送付された予備費使用調書、16府省等から計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき本院へ提出された計算書等のほか提出を受けた調書について、在庁してその内容の調査、分析等を行ったり、9府省等(注9)において会計実地検査を行ったりなどして事業ごとの内容を確認した。

そして、各府省等において新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策を実施するに当たっては、緊急対応策第1弾及び緊急対応策第2弾の既定の予算分を除き、主に補正予算又は予備費の使用決定により新規に財源措置がなされているものの、予算執行は、予算科目ごとの歳出予算現額(歳出予算額(当初予算額、補正予算額及び予算移替額の合計)に、前年度繰越額、予備費使用額及び流用等増減額を加減したもの。以下「予算現額」という。)についてなされるものであり、補正予算成立後又は予備費使用決定後は、当初予算等の既定の予算と一体として執行されるものである。したがって、補正予算額又は予備費使用額の財源別に国からの支出済歳出額(以下「支出済額」という。)の予算現額に対する割合(以下「執行率」という。)等を把握することは、補正予算又は予備費の使用決定により予算科目が新設された場合を除き、基本的にできない。

一方、各府省等における予算の執行管理に当たっては、法令上の予算科目別の管理とは別に、施策登録を基に一定の条件に基づき細分化するなどした事業の多くで事業別の管理が行われており、これらの事業ごとに予算執行の状況を整理して分析することが可能であった。このため、本院は、施策登録を行っていた16府省等において実施している新型コロナウイルス感染症対策に関連する事業を特定したり、2年度第2次補正や予備費のうち新型コロナウイルス感染症対策に関連する経費について各府省等に確認するなどして新規対策事業を特定したりした。そして、14府省等(注10)の緊急対応策第1弾、緊急対応策第2弾、緊急措置及び緊急経済対策に係る全ての事業、2年総合経済対策のうち新型コロナウイルス感染症対策との関連性を考慮して抽出した事業(注11)並びに新規対策事業(以下、これらの事業を合わせて「コロナ関連事業」という。)、計854事業(注12)を分析の対象とした。

(注8)
16府省等国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
(注9)
9府省等裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、総務省、外務省、財務省、環境省、防衛省
(注10)
14府省等裁判所、内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
(注11)
2年総合経済対策のうち新型コロナウイルス感染症対策との関連性を考慮して抽出した事業「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」に係る事業並びに「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」のうち緊急対応策第1弾、緊急対応策第2弾、緊急措置及び緊急経済対策から継続している事業
(注12)
854事業令和3年9月1日以降、事業実施府省等がデジタル庁となっている事業が含まれている。

3 検査の状況

(1)コロナ関連事業に係る予算の執行状況

各府省等が実施するコロナ関連事業については、新型コロナウイルス感染症対策に関連する予算執行を区分して管理(以下「区分管理」という。)している事業と、区分して管理することが困難な事業がある。そこで、各府省等のコロナ関連事業について、上記854事業のうち、区分管理している770事業について、予算現額、支出済額、翌年度繰越額(以下「繰越額」という。)及び不用額を確認するとともに、執行率、繰越額の予算現額に対する割合(以下「繰越率」という。)及び不用額の予算現額に対する割合(以下「不用率」という。)を算定するなどして、その執行状況について分析した。

ア 5対策等別の予算の執行状況

(ア) 緊急対応策第1弾により実施した事業に係る予算の執行状況

緊急対応策第1弾に基づく元年度のコロナ関連事業について、項目別にみると、図表5-1のとおり、「帰国者等への支援」で予算現額26億余円、支出済額16億余円(執行率62.9%)、「国内感染対策の強化」で同55億余円、同30億余円(同55.9%)、「水際対策の強化」で同34億余円、同19億余円(同56.9%)、「影響を受ける産業等への緊急対応」で同107億余円、同103億余円(同95.8%)及び「国際連携の強化等」で同21億余円、同21億余円(同100%)となっている。これらの合計(純計も同じ。)をみると、予算現額245億余円、支出済額191億余円、繰越額5億余円、不用額47億余円となっており、執行率は78.2%、繰越率は2.2%、不用率は19.5%となっている。なお、緊急対応策第1弾に記載の153億円に対して予算現額が245億余円と多くなっている主な理由としては、「影響を受ける産業等への緊急対応」の項目で当初6億円とされていた予算額が、実際の事業実施においては、予備費のほか、既定の予算を財源とすることにより、107億余円となっていることが挙げられる。

図表5-1 緊急対応策第1弾に係る予算の執行状況(令和元年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
(1)帰国者等への支援 帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援 5 2,663 1,673 989 62.8 37.1
帰国者等の円滑な社会復帰等のための支援 1 7 7 0 98.0 1.9
邦人の安全確保のための支援
6 2,670 1,680 989 62.9 37.0
(2)国内感染対策の強化 病原体等の迅速な検査体制の強化等 4 1,497 735 520 241 49.1 34.7 16.1
感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 3 2,031 408 14 1,608 20.1 0.7 79.1
検査キット、抗ウイルス薬、ワクチン等の研究開発の促進 7 1,547 1,532 15 99.0 0.9
マスク、医薬品等の迅速かつ円滑な供給体制の確保 1 450 411 38 91.3 8.6
その他 1 7 6 0 94.7 5.2
16 5,533 3,093 549 1,889 55.9 9.9 34.1
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 2 3,388 1,922 1,466 56.7 43.2
健康フォローアップセンターの体制整備による検疫機能の充実
入国管理の更なる強化
その他 1 18 18 0 99.0 0.9
3 3,407 1,941 1,466 56.9 43.0
(4)影響を受ける産業等への緊急対応 国民及び外国人旅行者への迅速かつ正確な情報提供と風評対策 1 487 482 4 98.9 1.0
観光業等の中小企業・小規模事業者対策等 2 10,297 9,854 442 95.6 4.3
雇用対策
3 10,785 10,337 447 95.8 4.1
(5)国際連携の強化等 感染症対策に係る国際支援 4 2,115 2,115 100
合計(純計も同じ。) 32 24,511 19,168 549 4,793 78.2 2.2 19.5
  うち緊急対応策第2弾で施策登録されているもの 2 10,297 9,854 442 95.6 4.3
  • 注(1) 5対策の複数の項目にまたがって施策登録が行われるなどしているコロナ関連事業については、該当する全ての項目にそのコロナ関連事業数、予算現額、支出済額、繰越額及び不用額をそれぞれ計上しているため、「純計」により5対策間での重複分を控除した額を表示している(以下、3(1)アの図表において同じ。)。
  • 注(2) 「事業数」は、各府省等において同じ事業を複数の局課で行っている場合は局課ごとに1事業と数えるなどしている(以下、本文及び図表において同じ。)。
  • 注(3) 図表中の金額欄の「0」は単位未満あり、「―」は皆無を示している(以下、図表において同じ。)。

また、元年度において執行されずに2年度に繰越しが行われているコロナ関連事業を項目別にみると、図表5-2のとおり、「国内感染対策の強化」の項目のみとなっており、その合計(純計も同じ。)をみると、予算現額5億余円、支出済額5億余円、不用額4百万余円が計上されており、執行率は99.1%、不用率は0.8%となっている。

図表5-2 緊急対応策第1弾に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
(1)帰国者等への支援 帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援
帰国者等の円滑な社会復帰等のための支援
邦人の安全確保のための支援
(2)国内感染対策の強化 病原体等の迅速な検査体制の強化等 3 520 520 100
感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 1 14 9 4 68.6 31.3
検査キット、抗ウイルス薬、ワクチン等の研究開発の促進 1 15 15 100
マスク、医薬品等の迅速かつ円滑な供給体制の確保
その他
5 549 544 4 99.1 0.8
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化
健康フォローアップセンターの体制整備による検疫機能の充実
入国管理の更なる強化
その他
(4)影響を受ける産業等への緊急対応 国民及び外国人旅行者への迅速かつ正確な情報提供と風評対策
観光業等の中小企業・小規模事業者対策等
雇用対策
(5)国際連携の強化等 感染症対策に係る国際支援
合計(純計も同じ。) 5 549 544 4 99.1 0.8
(イ) 緊急対応策第2弾により実施した事業に係る予算の執行状況

緊急対応策第2弾に基づく元年度のコロナ関連事業について、項目別にみると、図表6-1のとおり、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備」で予算現額371億余円、支出済額89億余円(執行率24.1%)、「学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応」で同2199億余円、同352億余円(同16.0%)、「事業活動の縮小や雇用への対応」で同845億余円、同790億余円(同93.5%)及び「事態の変化に即応した緊急措置等」で同163億余円、同158億余円(同97.3%)となっている。これらの合計をみると、予算現額3579億余円、支出済額1391億余円、繰越額346億余円、不用額1841億余円となっており、執行率は38.8%、繰越率は9.6%、不用率は51.4%となっている。また、純計をみると、予算現額3476億余円、支出済額1292億余円、繰越額346億余円、不用額1837億余円となっており、執行率は37.1%、繰越率は9.9%、不用率は52.8%となっている。

図表6-1 緊急対応策第2弾に係る予算の執行状況(令和元年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 感染拡大防止策 3 83 83 100
需給両面からの総合的なマスク対策 3 18,587 1,461 11,693 5,433 7.8 62.9 29.2
PCR検査体制の強化 3 1,703 1,393 44 265 81.7 2.6 15.5
医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 7 16,517 5,778 589 10,148 34.9 3.5 61.4
症状がある方への対応
情報発信の充実 1 237 237 0 99.9 0.0
17 37,130 8,954 12,328 15,847 24.1 33.2 42.6
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等 4 161,580 185 161,395 0.1 99.8
個人向け緊急小口資金等の特例 1 20,720 20,286 433 97.9 2.0
放課後児童クラブ等の体制強化等 3 16,368 12,467 776 3,124 76.1 4.7 19.0
学校給食休止への対応 4 21,235 2,298 18,936 0 10.8 89.1 0.0
テレワーク等の推進 1 14 14 100
13 219,919 35,253 19,712 164,953 16.0 8.9 75.0
(3)事業活動の縮小や雇用への対応 雇用調整助成金の特例措置の拡大 1 2,475 2,475 100
強力な資金繰り対策 6 78,497 78,054 442 99.4 0.5
サプライチェーン毀損への対応
観光業への対応 3 3,572 1,007 2,564 28.1 71.8
生活困窮者自立支援制度の利用促進等による包括的支援の強化
10 84,545 79,062 2,564 2,918 93.5 3.0 3.4
(4)事態の変化に即応した緊急措置等 新たな法整備
水際対策における迅速かつ機動的な対応
行政手続、公共調達等に係る臨時措置等 1 1,303 875 427 67.1 32.8
国際連携の強化 6 15,005 15,005 0 99.9 0.0
地方公共団体における取組への財政支援
7 16,308 15,881 427 97.3 2.6
合計 47 357,904 139,151 34,605 184,147 38.8 9.6 51.4
純計 45 347,606 129,296 34,605 183,704 37.1 9.9 52.8
  • (注) 「純計」は、図表5-1の「うち緊急対応策第2弾で施策登録されているもの」の2事業に係る事業数及び金額を控除した事業数及び金額を計上している。

元年度において執行されずに2年度に繰越しが行われるなどしているコロナ関連事業を項目別にみると、図表6-2のとおり、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備」で予算現額121億余円、支出済額84億余円(執行率69.6%)、「学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応」で同197億余円、同195億余円(同99.4%)、「事業活動の縮小や雇用への対応」で同25億余円、同17億余円(同67.0%)となっている。これらの合計(純計も同じ。)をみると、予算現額344億余円、支出済額298億余円、不用額46億余円となっており、執行率は86.5%、不用率は13.4%となっている。

図表6-2 緊急対応策第2弾に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 感染拡大防止策
需給両面からの総合的なマスク対策 2 11,693 8,042 3,650 68.7 31.2
PCR検査体制の強化 1 44 44 0 99.4 0.5
医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 2 433 395 38 91.2 8.7
症状がある方への対応
情報発信の充実
5 12,171 8,482 3,689 69,6 30,3
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等
個人向け緊急小口資金等の特例
放課後児童クラブ等の体制強化等 1 776 672 103 86.6 13.3
学校給食休止への対応 3 18,936 18,926 9 99.9 0.0
テレワーク等の推進
4 19,712 19,599 113 99.4 0.5
(3)事業活動の縮小や雇用への対応 雇用調整助成金の特例措置の拡大
強力な資金繰り対策
サプライチェーン毀損への対応
観光業への対応 2 2,564 1,720 844 67.0 32.9
生活困窮者自立支援制度の利用促進等による包括的支援の強化
2 2,564 1,720 844 67.0 32.9
(4)事態の変化に即応した緊急措置等 新たな法整備
水際対策における迅速かつ機動的な対応
行政手続、公共調達等に係る臨時措置等
国際連携の強化
地方公共団体における取組への財政支援
計(純計も同じ。) 11 34,449 29,802 4,647 86.5 13.4
  • (注) 「(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備」の「医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速」の項目については、令和元年度に589百万円を2年度へ繰り越した際に、繰越額156百万円を別のコロナ関連事業の予算現額に繰り入れて予算を執行しているため、元年度の繰越額と2年度の予算現額が一致していない。
(ウ) 緊急措置により実施した事業に係る予算の執行状況

緊急措置に基づく元年度のコロナ関連事業ついては、支出を伴わない税等の納付猶予を除くと、「個人向け緊急小口資金等の特例の拡大」の1項目のみとなっており、その予算の執行状況は、図表7のとおり、予算現額103億余円、支出済額64億余円、不用額39億余円となっており、執行率は62.1%、不用率は37.8%となっている。

図表7 緊急措置に係る予算の執行状況(令和元年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
個人向け緊急小口資金等の特例の拡大 1 10,360 6,440 3,920 62.1 37.8
(エ) 緊急経済対策により実施した事業に係る予算の執行状況

緊急経済対策に基づく2年度のコロナ関連事業について、項目別にみると、図表8のとおり、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」で予算現額14兆4815億余円、支出済額7兆4424億余円(執行率51.3%)、「雇用の維持と事業の継続」で同39兆4705億余円、同28兆8693億余円(同73.1%)、「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」で同2兆9688億余円、同1兆1860億余円(同39.9%)、「強靱な経済構造の構築」で同1兆4396億余円、同1兆1860億余円(同82.3%)となっている。これらの合計(純計も同じ。)をみると、予算現額58兆3606億余円、支出済額38兆6838億余円、繰越額19兆0943億余円、不用額5825億余円となっており、執行率は66.2%、繰越率は32.7%、不用率は0.9%となっている。

図表8 緊急経済対策に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発 1.マスク・消毒液等の確保 42 290,078 245,885 32,660 11,531 84.7 11.2 3.9
2.検査体制の強化と感染の早期発見 9 120,365 86,027 32,506 1,831 71.4 27.0 1.5
3.医療提供体制の強化 43 13,574,452 6,680,896 6,780,229 113,326 49.2 49.9 0.8
4.治療薬・ワクチンの開発加速 13 210,128 202,140 5,163 2,823 96.1 2.4 1.3
5.帰国者等の受入れ体制の強化 5 6,971 4,983 1,988 71.4 28.5
6.情報発信の充実 19 26,890 16,858 8,316 1,714 62.6 30.9 6.3
7.感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力 17 114,173 109,471 4,700 2 95.8 4.1 0.0
8.学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備 13 179,166 133,137 22,481 23,547 74.3 12.5 13.1
158 14,481,580 7,442,449 6,886,055 153,076 51.3 47.5 1.0
II.雇用の維持と事業の継続 1.雇用の維持 6 372,576 218,473 146,696 7,406 58.6 39.3 1.9
2.資金繰り対策 26 16,906,560 8,028,779 8,865,526 12,255 47.4 52.4 0.0
3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援 22 6,916,013 6,148,462 759,403 8,147 88.9 10.9 0.1
4.生活に困っている人々への支援 22 15,270,723 14,468,982 453,359 348,382 94.7 2.9 2.2
5.税制措置 1 4,652 4,635 17 99.6 0.3
77 39,470,526 28,869,333 10,224,984 376,208 73.1 25.9 0.9
III.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復 1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援 6 2,695,596 943,129 1,752,466 0 34.9 65.0 0.0
2.地域経済の活性化 29 273,265 242,875 24,493 5,896 88.8 8.9 2.1
35 2,968,862 1,186,005 1,776,960 5,896 39.9 59.8 0.1
IV.強靱な経済構造の構築 1.サプライチェーン改革 12 556,358 547,442 8,094 821 98.3 1.4 0.1
2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援 27 321,548 210,957 99,944 10,645 65.6 31.0 3.3
3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速 56 561,760 427,615 98,261 35,882 76.1 17.4 6.3
95 1,439,667 1,186,016 206,300 47,350 82.3 14.3 3.2
V.今後の備え(コロナ対策予備費)
合計(純計も同じ。) 365 58,360,636 38,683,804 19,094,300 582,531 66.2 32.7 0.9
  うち2年総合経済対策で施策登録されているもの 38 31,222,987 14,478,032 16,681,379 63,576 46.3 53.4 0.2
  • (注) 「I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」の項目内での重複があるため、数値を集計しても同項目の計とは一致しない。

緊急経済対策において、支出済額が上位5位の事業についてみると、図表9のとおりであり、最も多額の支出済額を計上しているのは、総務省が実施している「特別定額給付金給付事業」で、支出済額は12兆7723億余円、執行率は99.1%となっている。この事業は、全国の市区町村を事業主体とし、基準日(2年4月27日)において住民基本台帳に記録されている給付対象者1人につき10万円を給付するものである。

図表9 緊急経済対策において、支出済額が上位5位のコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:百万円、%)

項目名
事業名
【実施府省等】
(緊急経済対策の項目名)
予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
特別定額給付金給付事業【総務省】
II.雇用の維持と事業の継続
4.生活に困っている人々への支援
12,880,292 12,772,382 107,910 99.1 0.8
持続化給付金【経済産業省】
II.雇用の維持と事業の継続
3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援
5,665,735 5,627,363 38,359 12 99.3 0.6 0.0
民間金融機関及び日本政策金融公庫等を通じた資金繰り支援【財務省】
II.雇用の維持と事業の継続
2.資金繰り対策
8,923,700 3,140,450 5,783,250 35.1 64.8
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金【内閣府、総務省】
I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
3.医療提供体制の強化
7,879,107 2,614,470 5,263,924 711 33.1 66.8 0.0
  内閣府分 2,868,083 2,868,083
  総務省分 5,011,023 2,614,470 2,395,840 711
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の創設【厚生労働省】
I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
3.医療提供体制の強化
3,973,044 2,467,738 1,500,562 4,743 62.1 37.7 0.1
  • (注) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、内閣府から総務省へ予算を移し替えて執行していることから執行率、繰越率及び不用率は両府省の合計額により算出している(以下、3(1)アの図表において同じ。)。

また、緊急経済対策において、繰越額が1000億円以上と多額となっている事業のうち、繰越率が上位5位の事業についてみると、図表10のとおりであり、このうち最も繰越率が高いものは、経済産業省が実施している「一時支援金」で、繰越額は6868億余円、繰越率は98.4%となっている。この事業は、新型コロナウイルス感染症に対応するために緊急事態宣言により売上の減少した中堅・中小企業者、小規模事業者等が事業を継続するための一時支援金を支給等するものであり、経済産業省によれば、このような繰越率となっている主な理由は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による事業計画の見直しが発生したためとしている。

図表10 緊急経済対策において、繰越額が1000億円以上の事業のうち、繰越率が上位5位のコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:百万円、%)

項目名
事業名
【実施府省等】
(緊急経済対策の項目名)
予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
一時支援金【経済産業省】
II.雇用の維持と事業の継続
3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援
697,858 11,012 686,846 1.5 98.4
危機対応円滑化業務出資金【経済産業省】
II.雇用の維持と事業の継続
2.資金繰り対策
1,080,100 24,200 1,055,900 2.2 97.7
GoToイベント事業及びGoTo商店街事業【経済産業省】
III.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援
127,919 7,123 120,796 5.5 94.4
沖縄振興開発金融公庫による資金繰り支援【内閣府】
II.雇用の維持と事業の継続
2.資金繰り対策
133,900 27,760 106,140 20.7 79.2
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金【内閣府、総務省】
I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
3.医療提供体制の強化
7,879,107 2,614,470 5,263,924 711 33.1 66.8 0.0
  内閣府分 2,868,083 2,868,083
  総務省分 5,011,023 2,614,470 2,395,840 711

さらに、緊急経済対策において、不用額が100億円以上と多額となっている事業のうち、不用率が上位5位の事業についてみると、図表11のとおりであり、このうち最も不用率が高いものは、文部科学省が実施している「学習保障に必要な人的体制の強化」で、不用額は131億余円、不用率47.2%となっている。この事業は、学校再開に当たって、いわゆる「三密」を避けるための環境づくりなど、新型コロナウイルス感染症対策の強化を図りつつ、臨時休業中の未指導分の補習等を実施するための指導員等を派遣するもので、文部科学省によれば、このような不用率となっている主な理由は、各都道府県・各政令指定都市が設定した単価が支給上限単価を下回ったことなどのためとしている。

図表11 緊急経済対策において、不用額が100億円以上の事業のうち、不用率が上位5位のコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:百万円、%)

項目名
事業名
【実施府省等】
(緊急経済対策の項目名)
予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
学習保障に必要な人的体制の強化【文部科学省】
I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
8.学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備
27,834 14,692 13,141 52.7 47.2
新型コロナウイルス感染症患者等への支援及び新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費の支援【厚生労働省】
I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
3.医療提供体制の強化
29,167 16,642 12,525 57.0 42.9
家計が急変する等して経済的支援が必要となった家庭の学生等に対する支援(高等教育の修学支援新制度)【文部科学省】
II.雇用の維持と事業の継続
4.生活に困っている人々への支援
487,954 278,818 209,136 57.1 42.8
国民健康保険料、介護保険料等の減免を行った市町村等に対する財政支援【厚生労働省】
II.雇用の維持と事業の継続
4.生活に困っている人々への支援
66,629 47,312 19,316 71.0 28.9
障害者支援施設等の多機能型簡易居室設置事業【厚生労働省】
I.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
3.医療提供体制の強化
145,292 127,098 3,118 15,076 87.4 2.1 10.3
(オ) 2年総合経済対策により実施した事業に係る予算の執行状況

2年総合経済対策に基づく2年度のコロナ関連事業について、項目別にみると、図表12のとおり、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」で予算現額15兆0821億余円、支出済額6兆8595億余円(執行率45.4%)、「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」で同19兆8328億余円、同9兆4723億余円(同47.7%)となっている。これらの合計をみると、予算現額34兆9149億余円、支出済額16兆3319億余円、繰越額18兆4999億余円、不用額831億余円となっており、執行率は46.7%、繰越率は52.9%、不要率は0.2%となっている。また、純計をみると、予算現額3兆6920億余円、支出済額1兆8538億余円、繰越額1兆8185億余円、不用額195億余円となっており、執行率は50.2%、繰越率は49.2%、不用率は0.5%となっている。

図表12 2年総合経済対策に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策 1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援 31 4,986,689 3,013,350 1,931,503 41,836 60.4 38.7 0.8
2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備 11 1,785,120 939,660 843,986 1,473 52.6 47.2 0.0
3.知見に基づく感染防止対策の徹底 43 8,156,950 2,756,148 5,394,147 6,654 33.7 66.1 0.0
4.感染症の収束に向けた国際協力 114 150,095 148,519 1,576 0 98.9 1.0 0.0
その他 2 3,330 1,875 1,454 56.3 43.6
201 15,082,187 6,859,554 8,172,668 49,964 45.4 54.1 0.3
II.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現 1.デジタル改革・グリーン社会の実現 28 327,988 85,912 239,710 2,365 26.1 73.0 0.7
2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上 15 5,819,917 3,899,951 1,916,860 3,105 67.0 32.9 0.0
3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現 40 13,684,895 5,486,512 8,170,670 27,712 40.0 59.7 0.2
83 19,832,801 9,472,376 10,327,240 33,184 47.7 52.0 0.1
合計 284 34,914,988 16,331,930 18,499,909 83,148 46.7 52.9 0.2
純計 246 3,692,000 1,853,898 1,818,529 19,572 50.2 49.2 0.5
  • (注) 「純計」は、図表8の「うち2年総合経済対策で施策登録されているもの」の38事業に係る事業数及び金額を控除した事業数及び金額を計上している。

2年総合経済対策において、支出済額が上位5位の事業についてみると、図表13のとおりであり、最も多額の支出済額を計上しているのは、財務省が実施している「民間金融機関及び日本政策金融公庫等を通じた資金繰り支援」で、支出済額は3兆1404億余円、執行率は35.1%となっている。この事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、業況悪化を来している中小企業等の資金繰り支援を行うために、日本政策金融公庫等に出資するものである。

図表13 2年総合経済対策において、支出済額が上位5位のコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:百万円、%)

項目名
事業名
【実施府省等】
(2年総合経済対策の項目名)
予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
民間金融機関及び日本政策金融公庫等を通じた資金繰り支援【財務省】
II.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現
8,923,700 3,140,450 5,738,250 35.1 64.8
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金【内閣府、総務省】
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
3.知見に基づく感染防止対策の徹底
7,879,107 2,614,470 5,263,924 711 33.1 66.8 0.0
  内閣府分 2,868,083 2,868,083
  総務省分 5,011,023 2,614,470 2,395,840 711
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金【厚生労働省】
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
3,973,044 2,467,738 1,500,562 4,743 62.1 37.7 0.1
民間金融機関を通じた資金繰り支援【経済産業省】
II.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上
2,635,600 2,039,106 596,493 77.3 22.6
緊急小口資金等の特例措置の延長【厚生労働省】
II.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現
1,492,102 1,039,775 452,327 69.6 30.3

また、2年総合経済対策において、繰越額が1000億円以上の事業のうち、繰越率が上位5位の事業についてみると、図表14のとおりであり、このうち最も繰越率が高いものは、厚生労働省が実施している「診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援及び医療機関・薬局等の感染防止等の支援」で、繰越額は1017億余円、繰越率は94.9%となっている。この事業は、現下の感染拡大の影響を踏まえた緊急臨時的な対応として、医療機関等における感染拡大防止等の支援を行うものであり、厚生労働省によれば、このような繰越率となっている主な理由は、事業実施者である医療機関において、新型コロナウイルス感染症対応や診療機能を維持しながら事業を実施することから、患者及び医療機関職員への影響を考慮した結果、基本計画の策定に不測の日数を要したためとしている。

図表14 2年総合経済対策において、繰越額が1000億円以上の事業のうち、繰越率が上位5位のコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:百万円、%)

項目名
事業名
【実施府省等】
(2年総合経済対策の項目名)
予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援及び医療機関・薬局等の感染防止等の支援【厚生労働省】
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
107,063 5,354 101,709 5.0 94.9
ワクチン接種体制等の整備【厚生労働省】
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備
795,038 39,292 754,377 1,369 4.9 94.8 0.1
マイナポイントによる消費活性化策の拡充【総務省】
II.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
1.デジタル改革・グリーン社会の実現
279,655 80,311 197,679 1,664 28.7 70.6 0.5
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金【内閣府、総務省】
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
3.知見に基づく感染防止対策の徹底
7,879,107 2,614,470 5,263,924 711 33.1 66.8 0.0
  内閣府分 2,868,083 2,868,083
  総務省分 5,011,023 2,614,470 2,395,840 711
GoToトラベル事業【国土交通省】
II.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現
2,367,399 819,120 1,548,278 0 34.6 65.3 0.0

さらに、2年総合経済対策において、不用額が100億円以上の事業を抽出したところ、図表15のとおり3事業となっていて、このうち最も不用率が高いものは、厚生労働省が実施している「新型コロナウイルス感染症患者等への支援及び新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費の支援」で、不用額は125億余円、不用率は42.9%となっている。この事業は、新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費について、感染症法に基づき、都道府県等が負担した同感染症患者の入院医療に要する経費を国が4分の3、都道府県が4分の1の割合で負担等するものであり、厚生労働省によれば、このような不用率となっている主な理由は、都道府県等からの交付申請額が予定を下回ったためとしている。

図表15 2年総合経済対策において、不用額が100億円以上のコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:百万円、%)

項目名
事業名
【実施府省等】
(2年総合経済対策の項目名)
予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
新型コロナウイルス感染症患者等への支援及び新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費の支援【厚生労働省】
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
29,167 16,642 12,525 57.0 42.9
国民健康保険料等の減免を行った市町村等に対する財政支援【厚生労働省】
II.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現
66,629 47,312 19,316 71.0 28.9
障害者支援施設等の多機能型簡易居室設置事業【厚生労働省】
I.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
145,292 127,098 3,118 15,076 87.4 2.1 10.3
(カ) 新規対策事業として実施した事業に係る予算の執行状況

新規対策事業についてみると、図表16のとおり、予算の執行状況は、2年度第2次補正に係る予算現額2兆2536億余円、支出済額1兆5192億余円(執行率67.4%)、予備費に係る予算現額1兆0590億余円、支出済額5704億余円(同53.8%)となっている。これらの計をみると、予算現額2兆9814億余円、支出済額1兆8373億余円、繰越額8668億余円、不用額2772億余円となっており、執行率は61.6%、繰越率は29.0%、不用率は9.2%となっている。

図表16 新規対策事業に係る予算の執行状況(令和2年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名 予算措置 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
新規対策事業 2年度第2次補正 58 2,253,635 1,519,251 465,538 268,845 67.4 20.6 11.9
予備費 10 1,059,056 570,491 450,849 37,714 53.8 42.5 3.5
65 2,981,413 1,837,343 866,853 277,216 61.6 29.0 9.2
  • (注) 新規対策事業には、2年度第2次補正と予備費使用額の両方の財源により実施されているものがあるため、数値を集計しても計とは一致しない。

新規対策事業のうち、支出済額が上位5位の事業についてみると、図表17のとおりであり、最も多額の支出済額を計上しているのは、経済産業省が実施している「家賃支援給付金」となっている。そして、この事業は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中堅・中小企業、個人事業主が事業を持続することを目的とした家賃負担を軽減するための給付金の給付を行うものであり、支出済額9823億余円(執行率90.7%)となっている。なお、家賃支援給付金については、前記のとおり、2年度第2次補正で2兆0241億余円の予算が計上されていたものの、新型コロナウイルス感染症対策中小企業等持続化給付金の予算の不足分に充てるため、9420億円が流用されており、上記の執行率は流用による減額後の予算現額に対する割合である。

図表17 新規対策事業において、支出済額が上位5位のコロナ関連事業の実施状況(令和2年度)(単位:百万円、%)

項目名
事業名
【実施府省等】
予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
家賃支援給付金【経済産業省】 1,082,176 982,320 1,500 98,355 90.7 0.1 9.0
低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金の支給【厚生労働省】 209,858 187,561 22,297 89.3 10.6
医療機関へのマスク等の優先配布事業【厚生労働省】 168,010 139,201 28,809 82.8 17.1
失業等給付費の確保【厚生労働省】 244,114 134,083 110,030 54.9 45.0
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援等に必要な経費【厚生労働省】 279,508 123,376 147,762 8,370 44.1 52.8 2.9

イ コロナ関連事業の開始後の元年度から2年度末までの間を通算した類型別の予算の執行状況

各府省等における予算管理は予算科目単位で行われており、当初予算、補正予算、予備費使用額等の財源別により予算の執行状況を網羅的に把握することは困難である。このため、各府省等が実施したコロナ関連事業の予算の執行状況を確認し、上記のア(ア)から(カ)までのとおり5対策等別に分析した。なお、コロナ関連事業の中には複数の対応策、対策等にまたがって実施されているものもあることなどから、この分析では、コロナ関連事業の5対策等間での重複分を控除した全体を通算した予算の執行状況は必ずしも明らかにならないものの、各対策等別の予算の執行状況を確認するためには一定の有用性を有していると考えられる。

5対策等の事業についてみると、大きくは「新型コロナウイルス感染症防止策」に関連する項目、「経済・雇用対策」に関連する項目等に整理できると考えられる。そこで、5対策における施策の項目を図表18のとおり類型別に区分し、コロナ関連事業の目的別に経費項目を設定した上で、コロナ関連事業が開始された元年度から2年度末までの全体的な執行状況の把握を試みた。

その結果は、図表19及び図表20のとおりとなっており、元年度から2年度末までの間に各府省等が実施したコロナ関連事業において、前記770事業の予算総額は計65兆4165億余円となっている。また、元、2両年度の支出済額は計42兆5602億余円、執行率は65.0%、2年度から3年度への繰越額は計21兆7796億余円、元、2両年度の不用額は計1兆0763億余円となっている。

これを経費項目別にみると、大分類の「新型コロナウイルス感染症防止策」に係る301事業については、予算総額9兆6500億余円、支出済額6兆2826億余円、執行率65.1%、繰越額3兆0084億余円、不用額3587億余円となっている。さらに、その小分類における執行率をみると、「マスク・消毒液確保等」が82.7%、「検査体制整備等」が52.5%、「医療提供体制整備等」が67.6%、「治療薬・ワクチン開発等」が58.7%、「帰国者受入れ等」が69.1%、「情報発信等」が63.6%、「学校臨時休業等」が47.1%となっている。

また、大分類の「経済・雇用対策」に係る296事業については、予算総額46兆1529億余円、支出済額32兆5768億余円、執行率70.5%、繰越額13兆0361億余円、不用額5399億余円となっている。さらに、その小分類における執行率をみると、「雇用対策等」が58.0%、「資金繰り対策等」が47.7%、「中小事業者支援等」が76.0%、「生活困窮者支援等」が72.7%、「観光業、文化芸術事業支援等」が35.0%、「地域経済活性化等」が88.8%、「サプライチェーン改革等」が98.3%、「農林水産業支援等」が67.4%、「デジタル・トランスフォーメーション等」が57.7%となっている。

これらのほか、「国際協力」に係る141事業及び「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」に係る3事業についてみると、前者は、予算総額2813億余円、支出済額2751億余円、執行率97.7%、繰越額62億余円、不用額2百万余円となっており、後者は、それぞれ同7兆8792億余円、同2兆6144億余円、同33.1%、同5兆2640億余円、同7億余円となっている。

図表18 各経費項目の内容

経費項目 緊急対応策第1弾 緊急対応策第2弾 緊急経済対策 2年総合経済対策
大分類 小分類
新型コロナウイルス感染症防止策 マスク・消毒液確保等関係経費 (2)4.マスク、医薬品等の迅速かつ円滑な供給体制の確保 (1)1.感染拡大防止策 I.1.マスク・消毒液等の確保
(1)2.需給両面からの総合的なマスク対策
検査体制整備等関係経費 (2)1.病原体等の迅速な検査体制の強化等 (1)3.PCR検査体制の強化 I.2.検査体制の強化と感染の早期発見 I.2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備(1)
(3)1.全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 (4)2.水際対策における迅速かつ機動的な対応
(3)2.健康フォローアップセンターの体制整備による検疫機能の充実
(3)3.入国管理の更なる強化
医療提供体制整備等関係経費 (2)2.感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 (1)4.医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 I.3.医療提供体制の強化 I.1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
(1)5.症状がある方への対応 I.3.知見に基づく感染防止対策の徹底
治療薬・ワクチン開発等関係経費 (2)3.検査キット、抗ウイルス薬、ワクチン等の研究開発の促進 I.4.治療薬・ワクチンの開発加速 I.2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備(2)
帰国者受入れ等関係経費 (1)1.帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援 I.5.帰国者等の受入れ体制の強化
(1)2.帰国者等の円滑な社会復帰等のための支援
(1)3.邦人の安全確保のための支援
情報発信等関係経費 (4)1.国民及び外国人旅行者への迅速かつ正確な情報提供と風評対策 (1)6.情報発信の充実 I.6.情報発信の充実
学校臨時休業等関係経費 (2)1.保護者の休暇取得支援等 I.8.学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備
(2)2.個人向け緊急小口資金等の特例
(2)3.放課後児童クラブ等の体制強化等
(2)4.学校給食休止への対応
(2)5.テレワーク等の推進
経済・雇用対策 雇用対策等関係経費 (4)3.雇用対策 (3)1.雇用調整助成金の特例措置の拡大 II.1.雇用の維持 II.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(2)
資金繰り対策等関係経費 (4)2.観光業等の中小企業・小規模事業者対策等 (3)2.強力な資金繰り対策 II.2.資金繰り対策
中小事業者支援等関係経費 II.3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援 II.2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上(1)(2)
II.5.税制措置
生活困窮者支援等関係経費 (3)5.生活困窮者自立支援制度の利用促進等による包括的支援の強化 II.4.生活に困っている人々への支援 II.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(4)
観光業、文化芸術事業支援等関係経費 (3)4.観光業への対応 III.1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援 II.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(1)
地域経済活性化等関係経費 (4)5.地方公共団体における取組への財政支援 III.2.地域経済の活性化
サプライチェーン改革等関係経費 (3)3.サプライチェーン毀損への対応 IV.1.サプライチェーン改革 II.2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上(3)
農林水産業支援等関係経費 IV.2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援 II.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(3)
デジタル・トランスフォーメーション等関係経費 (4)1.新たな法整備 IV.3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速 II.1.デジタル改革・グリーン社会の実現
(4)3.行政手続、公共調達等に係る臨時措置等
国際協力 国際協力等関係経費 (5)1.感染症対策に係る国際支援 (4)4.国際連携の強化 I.7.感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力 I.4.感染症の収束に向けた国際協力
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
  • 注(1) 5対策のうち緊急措置に係る施策については、経費項目のうち「生活困窮者支援等関係経費」に割り振っている。
  • 注(2) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金効果促進事業を含む。)については、事業の規模が大きいこと、新型コロナウイルス感染症への対応として必要な感染拡大の防止、雇用の維持と事業の継続、経済活動の回復、強靱な経済構造の構築又はポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を目的とした事業であれば、原則として交付金の使途に制限がなく、「新型コロナウイルス感染症防止策」及び「経済・雇用対策」の性質を併せ持つ事業であると考えられることから、5対策における施策の項目の分類によらず、単独の経費項目としている。
  • 注(3) 一つの施策又は事業が5対策で複数の項目に分類されている場合、そのまま複数の経費項目に割り振っている。
  • 注(4) 新規対策事業に係る施策については、各府省等から、仮に現時点で施策登録を行ったとした場合にどのような整理となるかについて回答を徴しており、当該回答に基づき、各経費項目に割り振るなどしている。

図表19 コロナ関連事業に係る予算関係経費(令和元年度から2年度末までの間の執行状況)(単位:事業、百万円、%)

経費項目 事業数 予算総額
(A)
支出済額
(B)
繰越額 不用額 執行率
(B/A)
大分類 小分類
新型コロナウイルス感染症防止策 マスク・消毒液確保等関係経費 67 316,999 262,439 33,451 21,108 82.7
検査体制整備等関係経費 27 208,042 109,300 94,354 4,387 52.5
医療提供体制整備等関係経費 121 6,828,941 4,617,856 2,071,125 139,802 67.6
治療薬・ワクチン開発等関係経費 30 1,920,174 1,128,254 787,726 4,192 58.7
帰国者受入れ等関係経費 11 9,642 6,664 2,977 69.1
情報発信等関係経費 21 27,615 17,578 8,316 1,719 63.6
学校臨時休業等関係経費 32 399,588 188,230 22,744 188,614 47.1
経済・雇用対策 雇用対策等関係経費 8 376,331 218,473 147,976 9,881 58.0
資金繰り対策等関係経費 35 16,985,618 8,107,131 8,865,526 12,961 47.7
中小事業者支援等関係経費 32 13,244,860 10,078,683 3,058,566 107,610 76.0
生活困窮者支援等関係経費 30 24,236,621 17,626,289 6,257,778 352,553 72.7
観光業、文化芸術事業支援等関係経費 34 2,936,426 1,028,100 1,905,884 2,441 35.0
地域経済活性化等関係経費 29 273,265 242,875 24,493 5,896 88.8
サプライチェーン改革等関係経費 14 568,321 559,112 8,387 821 98.3
農林水産業支援等関係経費 34 514,962 347,478 156,455 11,028 67.4
デジタル・トランスフォーメーション等関係経費 88 890,620 514,667 337,460 38,491 57.7
国際協力 国際協力等関係経費 141 281,389 275,111 6,276 2 97.7
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 3 7,879,208 2,614,470 5,264,026 711 33.1
その他 31 1,464,913 822,475 465,176 177,261 56.1
純計 770 65,416,529 42,560,298 21,779,684 1,076,390 65.0
  • 注(1) 「事業数」「支出済額」及び「不用額」は、緊急対応策第1弾(令和元年度)、緊急対応策第1弾(2年度)、緊急対応策第2弾(元年度)、緊急対応策第2弾(2年度)、緊急措置(元年度)、緊急経済対策(2年度)、2年総合経済対策(2年度)及び新規対策事業(2年度)における事業数、支出済額及び不用額を、経費項目ごとに、それぞれ重複を控除して合計したものである。
  • 注(2) 「予算総額」は、緊急対応策第1弾(令和元年度)、緊急対応策第2弾(元年度)、緊急措置(元年度)、緊急経済対策(2年度)、2年総合経済対策(2年度)及び新規対策事業(2年度)における予算現額を、経費項目ごとに、重複を控除して合計したものである。
  • 注(3) 「繰越額」は、緊急対応策第1弾(令和2年度)、緊急対応策第2弾(2年度)、緊急経済対策(2年度)、2年総合経済対策(2年度)及び新規対策事業(2年度)における繰越額を、経費項目ごとに、重複を控除して合計したものである。

図表20 コロナ関連事業の経費項目・大分類ごとの予算執行状況(令和元年度から2年度末までの間)(単位:事業、百万円、%)

経費項目 事業数 予算総額
(A)
支出済額
(B)
繰越額 不用額 執行率
(B/A)
大分類
新型コロナウイルス感染症防止策 301 9,650,003 6,282,639 3,008,436 358,770 65.1
経済・雇用対策 296 46,152,950 32,576,855 13,036,100 539,994 70.5
国際協力 141 281,389 275,111 6,276 2 97.7
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 3 7,879,208 2,614,470 5,264,026 711 33.1
その他 31 1,464,913 822,475 465,176 177,261 56.1
純計 770 65,416,529 42,560,298 21,779,684 1,076,390 65.0

ウ 府省等別のコロナ関連事業に係る予算の執行状況

(ア) 一般会計におけるコロナ関連事業に係る予算の執行状況

各府省等が一般会計予算において実施したコロナ関連事業に係る予算の執行状況についてみると、図表21のとおり、元年度77事業、2年度674事業、計751事業が実施されており、全体の予算現額は元年度で2737億余円、2年度で64兆4724億余円となっており、全体の支出済額は元年度で1548億余円(執行率56.5%)、2年度で41兆9684億余円(同65.0%)、全体の繰越額は元年度で351億余円(繰越率12.8%)、2年度で21兆7548億余円(同33.7%)、全体の不用額は元年度で838億余円(不用率30.6%)、2年度で7492億余円(同1.1%)となっている。また、上記予算の執行状況を事業実施府省等別にみると、元年度は厚生労働省で実施する37事業において、予算現額が1578億余円と最も多く計上されており、支出済額は612億余円(執行率38.7%)となっている。また、2年度は総務省で実施する19事業において、予算現額が18兆2399億余円と最も多く計上されており、支出済額は15兆4735億余円(同84.8%)となっている。

図表21 各府省等の一般会計におけるコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和元、2両年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名
事業実施
府省等名
会計年度 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
裁判所 令和2年度 2 1,768 156 1,332 278 8.8 75.3 15.7
元年度 1 92 77 15 83.7 16.2
2年度 18 22,031 4,017 17,701 311 18.2 80.3 1.4
内閣府 元年度 2 3,437 3,437 0 99.9 0.0
2年度 40 3,207,636 207,884 2,989,465 10,286 6.4 93.1 0.3
総務省 元年度 1 156 156 100
2年度 19 18,239,926 15,473,534 2,650,142 116,249 84.8 14.5 0.6
法務省 2年度 20 7,950 7,039 249 661 88.5 3.1 8.3
外務省 元年度 11 10,021 10,016 5 99.9 0.0
2年度 146 213,241 192,575 18,372 2,293 90.3 8.6 1.0
財務省 元年度 2 40,803 40,375 427 98.9 1.0
2年度 9 8,999,764 3,215,234 5,784,490 39 35.7 64.2 0.0
文部科学省 元年度 5 24,687 6,380 18,242 64 25.8 73.8 0.2
2年度 95 1,514,904 1,099,275 156,639 258,989 72.5 10.3 17.0
厚生労働省 元年度 37 157,893 61,200 13,497 83,194 38.7 8.5 52.6
2年度 180 12,226,665 7,911,182 4,092,379 223,103 64.7 33.4 1.8
農林水産省 元年度 3 2,992 2,298 693 0 76.8 23.1 0.0
2年度 51 709,979 422,942 267,706 19,330 59.5 37.7 2.7
経済産業省 元年度 7 29,875 29,776 99 99.6 0.3
2年度 61 16,865,541 12,554,494 4,201,126 109,920 74.4 24.9 0.6
国土交通省 元年度 3 3,572 1,007 2,564 28.1 71.8
2年度 13 2,438,170 862,659 1,570,516 4,994 35.3 64.4 0.2
環境省 2年度 5 6,492 2,312 3,910 269 35.6 60.2 4.1
防衛省 元年度 5 260 260 100
2年度 15 18,424 15,124 790 2,509 82.0 4.2 13.6
元年度計 77 273,793 154,831 35,155 83,806 56.5 12.8 30.6
2年度計 674 64,472,496 41,968,434 21,754,823 749,237 65.0 33.7 1.1
751 42,123,265 833,044
  • (注) 事業実施に当たり、予算の移替え及び支出委任を行って実施している事業については、移替え先及び支出委任先の府省等において計数を計上している。
(イ) 特別会計におけるコロナ関連事業に係る予算の執行状況

各府省等が特別会計において実施したコロナ関連事業に係る予算の執行状況についてみると、図表22のとおり、元年度1事業、2年度18事業、計19事業が実施されていて、予算現額は元年度で1086億余円、2年度で5965億余円となっており、支出済額は、元年度で73百万余円(執行率0.0%)、2年度で4369億余円(同73.2%)、繰越額は元年度がなく、2年度で248億余円(繰越率4.1%)、不用額は元年度で1086億余円(不用率99.9%)、2年度で1347億余円(同22.5%)となっている。また、上記予算の執行状況を事業実施府省等別並びに特別会計及び同勘定別にみると、元年度は厚生労働省が労働保険特別会計の雇用勘定で実施する1事業において、予算現額が1086億余円、支出済額が73百万余円(執行率0.0%)となっている。また、2年度は、厚生労働省が同特別会計の同勘定で実施する5事業において、予算現額が3766億余円と最も多く計上されており、支出済額は2206億余円(執行率58.5%)となっている。

図表22 特別会計におけるコロナ関連事業に係る予算の執行状況(令和元、2両年度)(単位:事業、百万円、%)

項目名
事業実施
府省等名
特別会計名 会計年度 事業数 予算現額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D)
執行率
(B/A)
繰越率
(C/A)
不用率
(D/A)
勘定名
財務省及び国土交通省 財政投融資 投資 令和2年度 1 200,000 200,000 100
内閣府、経済産業省及び環境省 エネルギー対策 エネルギー需給 2年度 4 11,758 8,609 1,871 1,276 73.2 15.9 10.8
電源開発促進 2年度 2 210 186 23 88.6 11.3
6 11,969 8,796 1,871 1,300 73.4 15.6 10.8
厚生労働省 労働保険 労災 2年度 5 7,640 7,384 137 119 96.6 1.7 1.5
雇用 元年度 1 108,685 73 108,611 0.0 99.9
2年度 5 376,669 220,623 22,850 133,195 58.5 6.0 35.3
徴収 2年度 1 274 155 119 56.6 43.3
元年度計 1 108,685 73 108,611 0.0 99.9
2年度計 11 384,585 228,162 22,988 133,434 59.3 5.9 34.6
元年度合計 1 108,685 73 108,611 0.0 99.9
2年度合計 18 596,554 436,959 24,860 134,734 73.2 4.1 22.5
総計 19 437,033 243,345

エ コロナ関連事業ごとの予算の執行率等の状況

(ア) 執行率、繰越率及び不用率の状況

上記の一般会計及び特別会計で実施した元年度78事業、2年度692事業、計770のコロナ関連事業について、執行率、繰越率及び不用率をみると、図表23のとおり、執行率が80%以上となっている事業が、元年度は45事業(事業数の計に対する割合57.6%)、2年度は394事業(同56.9%)となっている。一方、繰越率については、20%未満となっている事業が、元年度は66事業(同84.6%)、2年度は492事業(同71.0%)となっており、不用率については、20%未満となっている事業が、元年度は56事業(同71.7%)、2年度は583事業(同84.2%)と多くなっている。

図表23 執行率、繰越率及び不用率の状況(令和元、2両年度)(単位:事業、%)

区分 執行率 繰越率 不用率
令和元年度 2年度 元年度 2年度 元年度 2年度
事業数 事業数 事業数 事業数 事業数 事業数
割合 割合 割合 割合 割合 割合
80%以上 45 57.6 394 56.9 11 14.1 126 18.2 9 11.5 14 2.0
60%以上80%未満 5 6.4 65 9.3 1 1.2 24 3.4 4 5.1 15 2.1
40%以上60%未満 3 3.8 45 6.5 23 3.3 3 3.8 22 3.1
20%以上40%未満 3 3.8 41 5.9 27 3.9 6 7.6 58 8.3
20%未満 22 28.2 147 21.2 66 84.6 492 71.0 56 71.7 583 84.2
  5%超20%未満 5 6.4 26 3.7 3 3.8 20 2.8 6 7.6 65 9.3
  5%以下 17 21.7 121 17.4 63 80.7 472 68.2 50 64.1 518 74.8
78 100 692 100 78 100 692 100 78 100 692 100
(イ) 繰越事由別の状況

図表23の元年度78事業、2年度692事業のうち、繰越率が5%以下となっている元年度63事業、2年度472事業を除いた元年度15事業、2年度220事業については、その事業数の大半が財政法第14条の3の規定による明許繰越で、同法第42条ただし書の規定による事故繰越は少数にとどまっていた。これを繰越事由ごとに、事業数及び繰越額をみると、図表24のとおり、繰越事由で最も多いのは、基本計画の策定変更等を内容とする「計画に関する諸条件」で、元年度9事業(事業数の計に対する割合60.0%)、40億余円(繰越額の計に対する割合11.5%)、2年度186事業(同81.9%)、21兆6593億余円(同99.5%)となっている。また、繰越事由の「その他のやむを得ない事由」の具体的な内容は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い年度内の事業完了が困難となったためなどとしているものが見受けられた。

図表24 繰越事由別の状況(令和元、2両年度)(単位:事業、百万円、%)

繰越事由 令和元年度 2年度
事業数 繰越額 事業数 繰越額
割合 割合 割合 割合
明許繰越事由 計画に関する諸条件 9 60.0 4,042 11.5 186 81.9 21,659,307 99.5
設計に関する諸条件 8 3.5 22,113 0.1
資材の入手難 11 4.8 21,173 0.0
試験研究に際して事前の調査又は研究方式の決定困難 1 0.4 3,185 0.0
事故繰越事由 感染症の拡大防止に伴う事業の自粛等 11 4.8 34,974 0.1
共通事由 その他のやむを得ない事由 6 40.0 31,049 88.4 10 4.4 19,012 0.0
15 100 35,092 100 227 100 21,759,766 100
15 220
  • 注(1) 繰越事由は、財務省が作成し、公表した「繰越ガイドブック」(令和2年6月)に基づき分類している。
  • 注(2) 本表の「繰越事由」については、「明許繰越事由」「事故繰越事由」及び「共通事由」に重複して計上されているものがある。
(ウ) 不用事由別の状況

図表23の元年度78事業、2年度692事業のうち、不用率が5%以下となっている元年度50事業、2年度518事業を除いた元年度28事業、2年度174事業について、不用事由ごとに、事業数及び不用額をみると、図表25のとおり、不用事由で最も多いのは、見込み違いなどにより「予定より実績が下回ったもの」で、元年度24事業(事業数の計に対する割合85.7%)、1879億余円(不用額の計に対する割合97.9%)、2年度93事業(同53.4%)、5673億余円(同80.4%)となっている。また、不用事由の「その他」の具体的な内容は、補助金等について地方公共団体等からの交付申請が見込みを下回ったためなどとしているものが見受けられた。

図表25 不用事由別の状況(令和元、2両年度)(単位:事業、百万円、%)

不用事由 令和元年度 2年度
事業数 不用額 事業数 不用額
割合 割合 割合 割合
予定より実績が下回ったもの 24 85.7 187,958 97.9 93 53.4 567,369 80.4
事業計画の変更により減額したもの 12 6.8 79,564 11.2
事業執行に伴い節減したもの 1 3.5 3,920 2.0 5 2.8 5,595 0.7
契約価格が予定を下回ったもの 1 3.5 21 0.0 58 33.3 51,468 7.2
その他 2 7.1 15 0.0 6 3.4 1,582 0.2
28 100 191,915 100 174 100 705,579 100

このように、各府省等では、多額の予算を計上してコロナ関連事業を実施しているが、その事業の中には多額の繰越額や不用額を計上しており、繰越率及び不用率が高くなっているものも見受けられた。これは、国民の安心のために十分な予算を手当てした結果を反映しているとも考えられるが、国民の理解と協力を得ながら新型コロナウイルス感染症対策を進めていくためには、各府省等において、これらの執行状況について、国民に対して十分な情報提供を行うことが重要である。

(2)コロナ関連事業に係る予備費の使用決定の状況等

ア コロナ関連事業に係る予備費の使用決定の状況

(ア) 元年度における使用決定の状況

前記のとおり、元年度は、一般会計予備費から緊急対応策第1弾、緊急対応策第2弾及び緊急措置に基づくコロナ関連事業を実施するために、また、特別会計予備費から緊急対応策第2弾に基づくコロナ関連事業を実施するために、予備費の使用決定がなされている。予備費の使用決定の状況を、予備費使用調書に記載された事項名や予備費の使用に係る説明を基に、本院において、緊急対応策第1弾、緊急対応策第2弾及び緊急措置の項目別に分類すると、図表26から図表28までのとおり、緊急対応策第1弾で最も多額なものは「国内感染対策の強化」で39億余円、次に多額なものは「水際対策の強化」で34億余円となっている。また、緊急対応策第2弾で最も多額なものは「学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応」で1409億余円、次に多額なものは「事業活動の縮小や雇用への対応」で796億余円となるなどしている。

図表26 緊急対応策第1弾に係る予備費の使用決定の状況(令和元年度)(単位:千円)

緊急対応策第1弾の項目 予備費使用決定額
(1)帰国者等への支援
帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援 内閣 新型コロナウイルス感染症対策に係る帰国者等の生活及び健康管理支援業務に必要な経費 92,871
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る政府チャーター機による帰国者等の生活支援及び健康管理に必要な経費 2,335,261
2,428,132
(2)国内感染対策の強化
病原体等の迅速な検査体制の強化等 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る検査体制の強化等に必要な経費 1,497,162
感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る治療体制・機能の強化に必要な経費 1,683,748
新型コロナウイルス感染症対策に係る感染症医療費負担金に必要な経費 348,107
マスク、医薬品等の迅速かつ円滑な供給体制の確保 経済産業省 新型コロナウイルス感染症対策に係るマスク生産設備導入補助事業に必要な経費 450,000
3,979,017
(3)水際対策の強化
全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 外務省 新型コロナウイルス感染症対策に係る在外公館等における感染拡大の防止に必要な経費 63,917
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る水際対策の強化に必要な経費 3,356,306
3,420,223
(4)影響を受ける産業等への緊急対応
国民及び外国人旅行者への迅速かつ正確な情報提供と風評対策 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る電話相談窓口の設置に必要な経費 487,360
10,314,732
  • (注) 使用決定日は、全て令和2年2月14日である。

図表27 緊急対応策第2弾に係る予備費の使用決定の状況(令和元年度)(単位:千円)

緊急対応策第2弾の項目 予備費使用決定額
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備
需給両面からの総合的なマスク対策 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係るマスクの緊急配布に必要な経費 2,285,000
新型コロナウイルス感染症対策に係るマスクの配布に必要な経費 16,138,541
経済産業省 新型コロナウイルス感染症対策に係るマスク等生産設備導入補助事業に必要な経費 164,353
PCR検査体制の強化 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る帰国者の受入れ支援に必要な経費 1,015,817
新型コロナウイルス感染症対策に係る検査設備の導入支援等に必要な経費 715,826
経済産業省 新型コロナウイルス感染症対策に係る迅速ウイルス検出機器導入実証事業に必要な経費 313,031
医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 総務省 新型コロナウイルス感染症対策に係る救急隊が使用する感染防護具等の支援に必要な経費 156,448
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 13,312,507
経済産業省 新型コロナウイルス感染症対策に係る遠隔健康相談事業に必要な経費 248,529
情報発信の充実 内閣府 新型コロナウイルス感染症対策に係る政府広報に必要な経費 237,188
34,587,240
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応
保護者の休暇取得支援等 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 46,961,508
厚生労働省
【特別会計】
新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金の支給等に必要な経費 42,000,000
個人向け緊急小口資金等の特例 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る個人向け緊急小口資金等の特例措置に必要な経費 20,720,124
放課後児童クラブ等の体制強化等 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る放課後等デイサービスの体制強化に必要な経費 9,998,940
学校給食休止への対応 文部科学省 新型コロナウイルス感染症対策に係る学校設置者の負担となる学校給食費に相当する費用等への支援に必要な経費 18,242,456
農林水産省 新型コロナウイルス感染症対策に係る食品ロス対策のための支援に必要な経費 2,992,877
140,915,905
(3)事業活動の縮小や雇用への対応
雇用調整助成金の特例措置の拡大 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大に必要な経費 2,475,370
強力な資金繰り対策 内閣府 新型コロナウイルス感染症対策に係る中小企業者等に対する強力な資金繰り支援に必要な経費 3,200,000
財務省 新型コロナウイルス感染症対策に係る中小企業者等に対する強力な資金繰り支援に必要な経費 39,500,000
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る生活衛生関係営業者に対する強力な資金繰り支援に必要な経費 2,242,000
経済産業省 新型コロナウイルス感染症対策に係る中小企業者等に対する強力な資金繰り支援に必要な経費 28,700,000
観光業への対応 国土交通省 新型コロナウイルス感染症対策に係る観光業の基盤整備に必要な経費 3,572,096
79,689,466
(4)事態の変化に即応した緊急措置等
行政手続、公共調達等に係る臨時措置等 財務省 新型コロナウイルス感染症対策に係る申告所得税等の申告・納付等期限の延長に必要な経費 1,301,004
国際連携の強化 外務省 新型コロナウイルス感染症対策に係る国際連携の強化に必要な経費 9,945,586
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る国際連携の強化に必要な経費 5,060,000
16,306,590
271,499,201
  • 注(1) 所管に【特別会計】と記載があるものは労働保険特別会計(雇用勘定)であり、【特別会計】と記載がないものは一般会計である(以下、図表35及び図表36において同じ。)。
  • 注(2) 使用決定日は、「(事項)新型コロナウイルス感染症対策に係るマスクの緊急配布に必要な経費」のみ令和2年3月3日であり、それ以外は同月10日である。

図表28 緊急措置に係る予備費の使用決定の状況(令和元年度)(単位:千円)

緊急措置の項目 予備費使用決定額
個人向け緊急小口資金等の特例の拡大 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る個人向け緊急小口資金等の特例の拡大に必要な経費 10,360,063
  • (注) 使用決定日は、令和2年3月19日である。
(イ) 2年度における使用決定の状況

前記のとおり、2年度は、一般会計においては、2年4月30日に成立した2年度第1次補正でコロナ対策予備費が創設される前に、一般会計予備費から新型コロナウイルス感染症対策のために使用決定がなされている。また、特別会計においては、労働保険特別会計から新型コロナウイルス感染症対策のために予備費の使用決定がなされている。

予備費の使用決定の状況を、予備費使用調書に記載された事項名や予備費の使用に係る説明を基に、本院において、経費の性質等の別に分類することとして、一般会計予備費及び特別会計予備費(労働保険特別会計)についてみると、図表29及び図表30のとおり、一般会計予備費では「感染拡大防止」で838億余円、特別会計予備費(労働保険特別会計)では「家計支援・消費喚起」で550億円の使用決定がなされている。

図表29 一般会計予備費の使用決定の状況(令和2年度)(単位:千円)

使用決定日 経費の性質等 予備費使用決定額
令和2年4月7日 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る布製マスクの緊急配布等に必要な経費 感染拡大防止 43,733,659
新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 感染拡大防止 14,088,453
2年4月24日 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る後期高齢者医療給付費負担金等に必要な経費 感染拡大防止 25,978,092
83,800,204
  • (注) 経費の性質等は、2年度第2次補正の予算案審議の際に想定として示された使途や、経済財政諮問会議の内閣府作成資料「経済対策のフォローアップについて(金融政策、物価等に関する集中審議資料)」を参考に項目立てした「感染拡大防止」「家計支援・消費喚起」「事業者支援・投資促進」及び「その他地方公共団体等を通じた支援」の中から本院において選択して記載している(以下、図表30から図表33まで、図表35図表37及び図表39において同じ。)。

図表30 特別会計予備費(労働保険特別会計)の使用決定の状況(令和2年度)(単位:千円)

使用決定日 経費の性質等 予備費使用決定額
令和2年12月15日 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置に必要な経費 家計支援・消費喚起 55,000,000

コロナ対策予備費については、図表31のとおり、2年5月19日から3年3月23日にかけて使用決定がなされており、予備費使用決定額は計9兆1420億余円となっている。そして、使用決定日ごとの予備費使用決定額が最も多額なのは、3年3月23日の2兆1691億余円となっている。これは、営業時間の短縮等の協力要請に係る協力金等の支払の一部に充てるために地方公共団体に交付していた新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について、緊急事態宣言の期間の延長、区域の変更等により不足する経費を確保する必要があったこと、また、「新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議」が同月16日に策定した「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策について」に基づく事業を実施するための財源を確保する必要があったことによるものである。

そして、これを経費の性質等の別に分類すると、図表32のとおり、「家計支援・消費喚起」で計1兆9795億余円(予備費使用決定額計9兆1420億余円に占める割合は21.6%)、「感染拡大防止」で計2兆4733億余円(同27.0%)、「事業者支援・投資促進」で計1兆3055億余円(同14.2%)及び「その他地方公共団体等を通じた支援」で計3兆3836億余円(同37.0%)となっている。

図表31 コロナ対策予備費の使用決定の状況(令和2年度)(単位:千円)

使用決定日 経費の性質等 予備費使用決定額
令和2年5月19日 文部科学省 学生支援緊急給付金給付事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 53,112,071
2年5月26日 厚生労働省 医療機関等への医療用マスク・ガウン等の優先配布に必要な経費 感染拡大防止 168,010,870
後期高齢者医療給付費負担金等に必要な経費 感染拡大防止 15,906,726
183,917,596
2年8月7日 厚生労働省 個人向け緊急小口資金等の特例措置に必要な経費 家計支援・消費喚起 177,691,912
検疫業務の実施に必要な経費 感染拡大防止 33,042,604
経済産業省 持続化給付金の支給に必要な経費 事業者支援・投資促進 915,000,000
1,125,734,516
2年9月8日 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保に必要な経費 感染拡大防止 671,440,000
2年9月15日 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援等に必要な経費 感染拡大防止 1,197,882,532
新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保等に必要な経費 感染拡大防止 77,607,309
重症化リスクの高い高齢者等の検査費用の助成に必要な経費 感染拡大防止 5,137,650
後期高齢者医療給付費負担金等に必要な経費 感染拡大防止 1,038,312
個人向け緊急小口資金等の特例措置の延長に必要な経費 家計支援・消費喚起 314,243,405
生活困窮者住居確保給付金の支給に必要な経費 家計支援・消費喚起 21,891,653
新型コロナウイルス感染症に係るワクチンを共同購入する国際的な仕組みへの参加に必要な経費 感染拡大防止 17,176,852
経済産業省 早期かつ大量の感染症検査の実現に向けた実証事業に必要な経費 感染拡大防止 1,897,853
感染症対策関連物資生産設備補助事業に必要な経費 感染拡大防止 1,739,381
1,638,614,947
2年10月16日 厚生労働省 雇用調整助成金の特例措置に必要な経費 家計支援・消費喚起 439,101,903
農林水産省 農林漁業者の経営継続支援に必要な経費 事業者支援・投資促進 24,079,227
経済産業省 サプライチェーン対策のための国内投資促進事業に必要な経費 事業者支援・投資促進 86,000,000
549,181,130
2年12月11日 厚生労働省 ひとり親世帯臨時特別給付金給付事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 73,689,510
経済産業省 サービス産業消費喚起キャンペーン事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 311,929,000
385,618,510
2年12月25日 内閣府 営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 216,916,512
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症患者の更なる病床確保を行う医療機関に対する緊急支援に必要な経費 感染拡大防止 269,298,500
486,215,012
3年1月15日 内閣府 営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 741,785,824
3年2月9日 内閣 新型コロナウイルスの市中感染状況の把握に必要な経費 感染拡大防止 8,085,825
内閣府 営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 880,153,759
経済産業省 一時支援金の支給に必要な経費 事業者支援・投資促進 249,000,000
1,137,239,584
3年3月23日 内閣府 戦略的な政府広報に必要な経費 感染拡大防止 5,044,243
営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,540,251,204
子供の居場所づくりに必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,365,272
女性に寄り添った相談支援等に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,350,000
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金の支給に必要な経費 家計支援・消費喚起 29,417,755
個人向け緊急小口資金等の特例措置の延長に必要な経費 家計支援・消費喚起 340,992,619
子育て世帯生活支援特別給付金給付事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 217,461,684
自殺防止対策事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,000,000
農林水産省 食品受入能力向上緊急支援事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 394,940
経済産業省 コンテンツグローバル需要創出促進事業に必要な経費 事業者支援・投資促進 31,452,780
国土交通省 居住支援協議会等活動支援事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 460,000
2,169,190,497
合計 9,142,049,687

図表32 コロナ対策予備費における経費の性質等別の使用決定の状況(令和2年度)(単位:千円、%)

経費の性質等 事項数 予備費使用決定額  
家計支援・消費喚起 文部科学省 1 53,112,071 0.5
厚生労働省 8 1,614,490,441 17.6
経済産業省 1 311,929,000 3.4
10 1,979,531,512 21.6
感染拡大防止 1 8,085,825 0.0
内閣府 1 5,044,243 0.0
厚生労働省 10 2,456,541,355 26.8
経済産業省 2 3,637,234 0.0
14 2,473,308,657 27.0
事業者支援・投資促進 農林水産省 1 24,079,227 0.2
経済産業省 4 1,281,452,780 14.0
5 1,305,532,007 14.2
その他地方公共団体等を通じた支援 内閣府 6 3,381,822,571 36.9
厚生労働省 1 1,000,000 0.0
農林水産省 1 394,940 0.0
国土交通省 1 460,000 0.0
9 3,383,677,511 37.0
合計 38 9,142,049,687 100

また、使用決定日ごとの予備費使用決定額及び経費の性質等をみると、図表33のとおり、2年度上半期では「感染拡大防止」や「事業者支援・投資促進」の割合が高くなっている。これは、「感染拡大防止」では、2年9月15日に新型コロナウイルス感染症緊急包括支援等に必要な経費(地方公共団体等が行う新型コロナウイルス感染症緊急包括支援に充てるための交付金を都道府県に交付する経費等)に使用するために1兆1978億余円の使用決定がなされたり、9月8日及び同月15日にワクチンの確保に関する経費に使用するために3事項計7662億余円の使用決定がなされたりしたことによるものであり、「事業者支援・投資促進」では、8月7日に持続化給付金の支給に必要な経費(中小企業者等に対する事業継続のための持続化給付金の予算の不足を補うための経費)に使用するために9150億円の使用決定がなされたことによるものである。そして、2年度下半期では「その他地方公共団体等を通じた支援」の割合が高くなっている。これは、2年12月25日、3年1月15日、2月9日及び3月23日の4回にわたって営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費(営業時間の短縮等の協力要請に係る協力金等の支払の一部に充てるための地方公共団体に対する新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を交付する経費)に使用するために計3兆3791億余円の使用決定がなされたことによるものである。

イ コロナ関連事業に係る予備費の使用決定により予算が配賦された予算科目ごとの執行状況

(ア) 予算科目ごとの予算現額全体に対する執行状況

前記のとおり、予備費に計上されていた予算は、使用決定により特定の予算科目に配賦された後は当該予算科目における既定の予算と一体として執行されることから、予備費の使用決定により追加された予算を特定してその執行状況を具体的に確認することは、予備費の使用決定により新たに予算科目が設定されて当該予算科目に計上された予算現額の全てが予備費使用額による場合等を除き、基本的にできない。

そこで、新型コロナウイルス感染症対策のために予備費の使用決定がなされ、これにより予算が配賦された予算科目の予算現額全体に対する執行状況についてみたところ、予備費使用額以上の繰越額を計上していた予算科目数が、元年度では図表34のとおり9目、2年度では図表35のとおり19目となっている。

図表34 予備費使用額以上の繰越額を計上していた予算科目(令和元年度)(単位:千円、%)

所管 組織 予算科目 予備費使用決定 5対策の項目 予算現額
(A)
  繰越額
(C)
事項 予備費
使用額
(B)
予備費
使用額
の割合
(B/A)
使用決定日 予備費
使用決定額
内閣府 内閣本府 政府広報費 啓発広報費 新型コロナウイルス感染症対策に係る政府広報に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 情報発信の充実 12,812,797 237,188 1.8 2,666,187
令和2年3月10日 237,188
総務省 消防庁 消防防災体制等整備費 消防防災等業務庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係る救急隊が使用する感染防護具等の支援に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 9,822,861 156,448 1.5 2,299,130
2年3月10日 156,448
外務省 在外公館 在外公館共通費 在外公館設備整備費 新型コロナウイルス感染症対策に係る在外公館等における感染拡大の防止に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 1,843,739 10,385 0.5 199,803
2年2月14日 10,385
外務省 在外公館 在外公館共通費 政府開発援助在外公館設備整備費 新型コロナウイルス感染症対策に係る在外公館等における感染拡大の防止に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 1,466,567 8,260 0.5 158,930
2年2月14日 8,260
文部科学省 文部科学本省 初等中等教育振興費 学校臨時休業対策費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る学校設置者の負担となる学校給食費に相当する費用等への支援に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 学校給食休止への対応 18,242,456 18,242,456 100 18,242,456
2年3月10日 18,242,456
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 疾病予防対策事業費等補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る治療体制・機能の強化に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(2)国内感染対策の強化感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 27,641,137 1,869,100 6.7 7,555,302
2年2月14日 198,900
新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速
2年3月10日 1,670,200
厚生労働省 厚生労働本省 厚生労働調査研究等推進費 厚生労働科学研究費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る検査体制の強化等に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(2)国内感染対策の強化 病原体等の迅速な検査体制の強化等 6,873,892 520,000 7.5 1,442,930
2年2月14日 520,000
農林水産省 農林水産本省 国産農産物生産・供給体制強化対策費 国産農産物生産・供給体制強化対策事業費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る食品ロス対策のための支援に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 学校給食休止への対応 62,281,792 3,770,029 6.0 6,002,098
2年3月10日 694,052
国土交通省 観光庁 観光振興費 訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る観光業の基盤整備に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(3)事業活動の縮小や雇用への対応観光業への対応 観光業への対応 10,797,918 1,884,625 17.4 3,551,285
2年3月10日 1,884,625
  • (注) 「(所管)農林水産省(組織)農林水産本省(項)国産農産物生産・供給体制強化対策費(目)国産農産物生産・供給体制強化対策事業費補助金」の予備費使用額3,770,029千円には、緊急対応策第2弾のために使用決定した経費に係る予備費使用額のほか、コロナ関連事業以外として令和元年11月8日に使用決定した「(事項)農家等の営農再開支援に必要な経費」に係る予備費使用額3,075,977千円を含む。

図表35 予備費使用額以上の繰越額を計上していた予算科目(令和2年度)(単位:千円、%)

所管 組織 予算科目 予備費使用決定 経費の性質等 予算現額
(A)
  繰越額
(C)
事項 予備費使用額
(B)
予備費
使用額
の割合
(B/A)
使用決定日 予備費
使用決定額
内閣 内閣官房 内閣官房
共通費
庁費 新型コロナウイルスの市中感染状況の把握に必要な経費 感染拡大防止 16,075,607 8,085,825 50.2 12,089,591
令和3年2月9日※ 8,085,825
内閣府 内閣本府 政府広報費 啓発広報費 戦略的な政府広報に必要な経費 感染拡大防止 27,970,064 5,044,243 18.0 7,511,654
3年3月23日※ 5,044,243
内閣府 内閣本府 共生社会政策費 地域子供の未来応援交付金 子供の居場所づくりに必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,924,777 1,365,272 70.9 1,650,283
3年3月23日※ 1,365,272
内閣府 内閣本府 男女共同参画社会形成促進費 地域女性活躍推進交付金 女性に寄り添った相談支援等に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,800,000 1,350,000 75.0 1,520,000
3年3月23日※ 1,350,000
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費臨時補助金 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保等に必要な経費 感染拡大防止 346,726,480 16,997,746 4.9 311,089,784
2年9月15日※ 16,997,746
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援等に必要な経費 感染拡大防止 4,604,000,573 916,882,800 19.9 1,513,979,575
2年9月15日※ 916,882,800
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 医薬品等保管料 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保等に必要な経費 感染拡大防止 2,770,324 355,167 12.8 2,437,407
2年9月15日※ 355,167
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 疾病予防対策事業費等補助金 重症化リスクの高い高齢者等の検査費用の助成に必要な経費 感染拡大防止 42,696,897 5,137,650 12.0 22,827,241
2年9月15日※ 5,137,650
厚生労働省 厚生労働本省 高齢者等雇用安定・促進費 職業転換等特別給付金 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 感染拡大防止 501,765,434 133,595,732 26.6 208,945,590
2年4月7日 13,792,598
雇用調整助成金の特例措置に必要な経費 家計支援・消費喚起
2年10月16日※ 90,385,379
新型コロナウイルス感染症対応休業給付金の支給に必要な経費 家計支援・消費喚起
3年3月23日※ 29,417,755
厚生労働省 厚生労働本省 高齢者等雇用安定・促進費 高齢者等雇用安定促進事業委託費 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 感染拡大防止 3,060,486 171,529 5.6 987,882
2年4月7日 171,529
厚生労働省 厚生労働本省 生活保護等対策費 新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金 子育て世帯生活支援特別給付金給付事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 232,461,684 218,461,684 93.9 232,429,664
3年3月23日※ 217,461,684
自殺防止対策事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援
3年3月23日※ 1,000,000
厚生労働省 検疫所 検疫業務等実施費 検疫庁費 検疫業務の実施に必要な経費 感染拡大防止 100,322,768 32,970,722 32.8 54,244,922
2年8月7日※ 32,970,722
農林水産省 農林水産本省 国産農産物消費拡大対策費 産農産物消費拡大対策事業費補助金 食品受入能力向上緊急支援事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 139,872,478 394,940 0.2 55,866,160
3年3月23日※ 394,940
農林水産省 農林水産本省 国産農産物消費拡大対策費 経営継続対策事業費補助金 農林漁業者の経営継続支援に必要な経費 事業者支援・投資促進 121,192,932 24,079,227 19.8 86,552,573
2年10月16日※ 24,079,227
経済産業省 経済産業本省 ものづくり産業振興費 中小企業経営支援等対策費補助金 感染症対策関連物資生産設備補助事業に必要な経費 感染拡大防止 16,664,401 1,739,381 10.4 4,300,000
2年9月15日※ 1,739,381
経済産業省 経済産業本省 サービス産業強化費 サービス産業消費喚起事業給付金 サービス産業消費喚起キャンペーン事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 1,594,243,873 311,929,000 19.5 872,892,956
2年12月11日※ 311,929,000
経済産業省 経済産業本省 クールジャパン推進費 コンテンツ産業等強化事業費補助金 コンテンツグローバル需要創出促進事業に必要な経費 事業者支援・投資促進 168,497,337 31,452,780 18.6 83,292,767
3年3月23日※ 31,452,780
国土交通省 国土交通本省 住宅市場整備推進費 住宅市場整備推進等事業費補助金 居住支援協議会等活動支援事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 6,248,069 460,000 7.3 517,246
3年3月23日※ 460,000
厚生労働省【特別会計】 雇用勘定 地域雇用機会創出等対策費 雇用安定等給付金 新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置に必要な経費 家計支援・消費喚起 3,732,313,488 55,000,000 1.4 668,741,398
2年12月15日 55,000,000
  • 注(1) 計数は、令和3年7月末時点のものである(以下、図表37及び図表39において同じ。)。
  • 注(2) 使用決定日に※印を付しているものがコロナ対策予備費である(以下、図表37及び図表39において同じ。)。

図表34及び図表35の予算科目のうち、図表34の「(所管)文部科学省(組織)文部科学本省(項)初等中等教育振興費(目)学校臨時休業対策費補助金」は、予備費の使用決定により新たに設定された予算科目であり、当該予算科目に計上された予算現額の全額を予備費使用額が占めていることから、予備費の使用決定により追加された予算の全額が繰り越されたことが分かる。一方、他の予算科目においては、予算現額に予備費使用額以外の当初予算や補正予算等が含まれているため、それらの予算が繰り越されることにより、結果として、予備費使用額以上の繰越額が生じた可能性も考えられる。また、予備費の使用決定に係る事業については、新型コロナウイルス感染症がまん延する中で先行きが予見し難い状況にあったことや、使用決定をした年度内に補助金の交付決定や事業に係る契約の締結は行われたものの、年度内に支出に至らなかったことで繰越額が生じた可能性も考えられる。なお、上記文部科学省の予算科目の執行状況を事例として示すと次のとおりである。

事例1

令和元年度予算の「(所管)文部科学省(組織)文部科学本省(項)初等中等教育振興費(目)学校臨時休業対策費補助金」は、予算現額182億4245万余円の全額を予備費使用額(「(事項)新型コロナウイルス感染症対策に係る学校設置者の負担となる学校給食費に相当する費用等への支援に必要な経費」に係るもの)が占めており、全額を2年度に繰り越している。

この予備費使用額に係る経費は、学校給食休止への対応を図るための学校設置者の負担となる学校給食費に相当する費用等を地方公共団体等に補助する経費を支出するためのものである。文部科学省によると、間接補助事業者となる地方公共団体等への需要数調査の結果を基に、補助事業者となる全国学校給食会連合会から年度内に交付決定及び支払予定であったところ、予備費使用決定時には想定していなかった、春休み前の学校の再開を決定する学校や再開について検討をする学校が増加した。これに伴い、給食関係事業者において給食業務の再開準備等の必要が生じ、需要数調査に必要な学校給食費のキャンセルに係る違約金の再計算等に不測の日数を要したことにより年度内の完了が困難となったため、予算の全額を2年度に繰り越すこととなったとしている。

なお、繰り越した予算額については、2年度において全額執行されている。

また、予備費使用額以上の不用額を計上していた予算科目数が、元年度では図表36のとおり17目、2年度では図表37のとおり3目となっている。これらの予算科目においては、予算現額に予備費使用額以外の当初予算や補正予算等が含まれているため、それらの予算が不用とされることにより、結果として、予備費使用額以上の不用額が生じた可能性も考えられる。

図表36 予備費使用額以上の不用額を計上していた予算科目(令和元年度)(単位:千円、%)

所管 組織 予算科目 予備費使用決定 5対策の項目 予算現額
(A)
  繰越額
(C)
事項 予備費
使用額
(B)
予備費
使用額
の割合
(B/A)
使用決定日 予備費
使用決定額
内閣 内閣官房 内閣官房
共通費
職員諸手当 新型コロナウイルス感染症対策に係る帰国者等の生活及び健康管理支援業務に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(1)帰国者等への支援 帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援 3,477,016 14,076 0.4 75,753
令和2年2月14日 14,076
内閣 内閣官房 内閣官房共通費 職員旅費 新型コロナウイルス感染症対策に係る帰国者等の生活及び健康管理支援業務に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(1)帰国者等への支援 帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援 720,184 15,136 2.1 116,691
2年2月14日 15,136
内閣府 内閣本府 政府広報費 啓発広報費 新型コロナウイルス感染症対策に係る政府広報に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 情報発信の充実 12,812,797 237,188 1.8 527,869
2年3月10日 237,188
総務省 消防庁 消防防災体制等整備費 消防防災等業務庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係る救急隊が使用する感染防護具等の支援に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 9,822,861 156,448 1.5 269,485
2年3月10日 156,448
外務省 外務本省 外務本省共通費 庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係る在外公館等における感染拡大の防止に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 3,047,013 12,872 0.4 229,810
2年2月14日 12,872
外務省 在外公館 在外公館共通費 在外公館設備整備費 新型コロナウイルス感染症対策に係る在外公館等における感染拡大の防止に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 1,843,739 10,385 0.5 301,610
2年2月14日 10,385
外務省 在外公館 在外公館共通費 政府開発援助在外公館設備整備費 新型コロナウイルス感染症対策に係る在外公館等における感染拡大の防止に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 1,466,567 8,260 0.5 239,917
2年2月14日 8,260
財務省 国税庁 税務業務費 税務特別庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係る申告所得税等の申告・納付等期限の延長に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(4)事態の変化に即応した緊急措置等 行政手続、公共調達等に係る臨時措置等 87,198,080 1,240,216 1.4 1,362,771
2年3月10日 1,240,216
厚生労働省 厚生労働本省 医療提供体制確保対策費 医療施設運営費等補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 6,124,444 212,643 3.4 2,430,102
2年3月10日 212,643
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 感染症予防事業費等負担金 新型コロナウイルス感染症対策に係る検査設備の導入支援等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 PCR検査体制の強化 2,462,136 340,826 13.8 651,828
2年3月10日 340,826
厚生労働省 厚生労働本省 地域保健対策費 保健衛生施設等設備整備費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る治療体制・機能の強化に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(2)国内感染対策の強化 感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 6,556,648 3,512,648 53.5 4,381,303
2年2月14日 1,484,848
新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速
2年3月10日 1,652,800
新型コロナウイルス感染症対策に係る検査設備の導入支援等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 PCR検査体制の強化
2年3月10日 375,000
厚生労働省 厚生労働本省 高齢者等雇用安定・促進費 職業転換等特別給付金 新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(3)事業活動の縮小や雇用への対応 雇用調整助成金の特例措置の拡大 48,509,022 48,450,695 99.8 48,501,062
2年3月10日 2,475,370
新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等
2年3月10日 45,975,325
厚生労働省 検疫所 検疫業務等実施費 検疫旅費 新型コロナウイルス感染症対策に係る水際対策の強化に必要な経費 緊急対応
策第1弾
(3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 68,463 21,533 31.4 25,108
2年2月14日 21,533
厚生労働省 都道府県労働局 高齢者等雇用安定・促進費 障害者等雇用安定促進業務諸謝金 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等 2,910,607 414,420 14.2 544,861
2年3月10日 414,420
厚生労働省
【特別会計】
雇用勘定 高齢者等雇用安定・促進費 諸謝金 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金の支給等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等 22,764,774 414,420 1.8 1,446,750
2年3月10日 414,420
厚生労働省
【特別会計】
雇用勘定 高齢者等雇用安定・促進費 雇用安定等給付金 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金の支給等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等 247,589,032 41,013,817 16.5 124,988,220
2年3月10日 41,013,817
厚生労働省
【特別会計】
雇用勘定 高齢者等雇用安定・促進費 高齢者等雇用安定促進事業委託費 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金の支給等に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等 21,736,698 571,763 2.6 4,560,284
2年3月10日 571,763

図表37 予備費使用額以上の不用額を計上していた予算科目(令和2年度)(単位:千円、%)

所管 組織 予算科目 予備費使用決定 経費の性質等 予算現額
(A)
  繰越額
(C)
事項 予備費使用額
(B)
予備費
使用額
の割合
(B/A)
使用決定日 予備費
使用決定額
厚生労働省 厚生労働本省 生活保護等対策費 医療扶助費等負担金 新型コロナウイルス感染症対策に係る後期高齢者医療給付費負担金等に必要な経費 感染拡大防止 1,436,799,150 5,831,812 0.4 70,826,697
令和2年4月24日 3,529,550
後期高齢者医療給付費負担金等に必要な経費 感染拡大防止
2年5月26日※ 2,161,190
後期高齢者医療給付費負担金等に必要な経費 感染拡大防止
2年9月15日※ 141,072
厚生労働省 都道府県労働局 高齢者等雇用安定・促進費 障害者等雇用安定促進業務諸謝金 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 感染拡大防止 9,336,665 124,326 1.3 4,936,639
2年4月7日 124,326
農林水産省 農林水産本省 国産農産物消費拡大対策費 国産農産物消費拡大対策事業費補助金 食品受入能力向上緊急支援事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 139,872,478 394,940 0.2 4,021,985
3年3月23日※ 394,940
(イ) 本院の試算による予算科目ごとの予備費使用額に係る不用額の状況

前記のとおり、予備費の使用決定により追加された予算を特定してその執行状況を具体的に確認することは基本的にできない。そこで、本院において、予備費の使用決定により予算が配賦された予算科目のうち、予備費使用額が予算現額の過半を占めるものを対象として、当該予算科目の不用額の状況を基に、予備費使用額に係る不用額の状況の把握を試みた。

新型コロナウイルス感染症対策のために予備費の使用決定がなされ、これにより予算が配賦された予算科目のうち、予備費使用額が予算現額の過半を占める予算科目数は、元年度では図表38のとおり16目で、このうち不用額が生じているものは10目、2年度では図表39のとおり10目で、このうち不用額が生じているものは5目となっている。

図表38 予備費使用額が予算現額の過半を占める予算科目(令和元年度)(単位:千円、%)

所管 組織 予算科目 予備費使用決定 5対策の項目 予算現額
(A)
支出済額
(C)
繰越額
(D)
不用額
(E)
事項 予備費
使用額
(B)
予備費
使用額の割合
(B/A)
使用決定日 予備費
使用決定額
内閣府 内閣本府 沖縄政策費 沖縄振興開発金融公庫出資金 新型コロナウイルス感染症対策に係る中小企業者等に対する 緊急対応
策第2弾
(3)事業活動の縮小や雇用への対応強力な資金繰り対策 強力な資金繰り支援に必要な経費 3,600,000 3,200,000 88.8 3,600,000
令和2年3月10日 3,200,000
文部科学省 文部科学本省
初等中等教育振興費
学校臨時休業対策費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る学校設置者の負担となる学校給食費に相当する費用等への支援に必要な経費 緊急対応策第2弾 (2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 学校給食休止への対応 18,242,456 18,242,456 100 18,242,456
2年3月10日 18,242,456
厚生労働省 厚生労働本省 厚生労働本省共通費 庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係る政府チャーター機による帰国者等の生活支援及び健康管理に必要な経費 緊急対応策第1弾 (1)帰国者等への支援 帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援 6,990,870 3,838,438 54.9 6,011,141 979,728
2年2月14日 2,335,261
新型コロナウイルス感染症対策に係る電話相談窓口の設置に必要な経費 緊急対応策第1弾 (4)影響を受ける産業等への緊急対応 国民及び外国人旅行者への迅速かつ正確な情報提供と風評対策
2年2月14日 487,360
新型コロナウイルス感染症対策に係る帰国者の受入れ支援に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 PCR検査体制の強化
2年3月10日 1,015,817
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 健康対策関係業務庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係るマスクの緊急配布に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 需給両面からの総合的なマスク対策 18,997,243 18,423,541 96.9 1,879,606 11,693,394 5,424,242
2年3月3日 2,285,000
新型コロナウイルス感染症対策に係るマスクの配布に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 需給両面からの総合的なマスク対策
2年3月10日 16,138,541
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 感染症医療費負担金 新型コロナウイルス感染症対策に係る感染症医療費負担金に必要な経費 緊急対応策第1弾 (2)国内感染対策の強化 感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 370,301 348,107 94.0 223,825 146,475
2年2月14日 348,107
厚生労働省 厚生労働本省 医療提供体制基盤整備費 医療施設等設備整備費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 11,782,341 9,776,864 82.9 4,054,550 167,052 7,560,739
2年3月10日 9,776,864
厚生労働省 厚生労働本省 地域保健対策費 保健衛生施設等設備整備費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る治療体制・機能の強化に必要な経費 緊急対応策第1弾 (2)国内感染対策の強化 感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 6,556,648 3,512,648 53.5 1,917,069 258,275 4,381,303
2年2月14日 1,484,848
新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速
2年3月10日 1,652,800
新型コロナウイルス感染症対策に係る検査設備の導入支援等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 PCR検査体制の強化
2年3月10日 375,000
厚生労働省 厚生労働本省 生活衛生対策費 株式会社日本政策金融公庫出資金 新型コロナウイルス感染症対策に係る生活衛生関係営業者に対する強力な資金繰り支援に必要な経費 緊急対応策第2弾 (3)事業活動の縮小や雇用への対応 強力な資金繰り対策 3,464,000 2,242,000 64.7 3,464,000
2年3月10日 2,242,000
厚生労働省 厚生労働本省 高齢者等雇用安定・促進費 職業転換等特別給付金 新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大に必要な経費 緊急対応策第2弾 (3)事業活動の縮小や雇用への対応 雇用調整助成金の特例措置の拡大 48,509,022 48,450,695 99.8 7,959 48,501,062
2年3月10日 2,475,370
新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等
2年3月10日 45,975,325
厚生労働省 厚生労働本省 高齢者等雇用安定・促進費 高齢者等雇用安定促進事業委託費 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等 945,389 571,763 60.4 415,738 529,650
2年3月10日 571,763
厚生労働省 厚生労働本省 障害保健福祉費 障害者総合支援事業費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る放課後等デイサービスの体制強化に必要な経費 緊急対応策第2弾 (2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 放課後児童クラブ等の体制強化等 16,387,916 9,998,940 61.0 11,867,220 1,458,514 3,062,180
2年3月10日 9,998,940
厚生労働省 厚生労働本省 国際機関活動推進費 政府開発援助世界保健機関等拠出金 新型コロナウイルス感染症対策に係る国際連携の強化に必要な経費 緊急対応策第2弾 (4)事態の変化に即応した緊急措置等 国際連携の強化 8,432,063 5,060,000 60.0 8,432,062 0
2年3月10日 5,060,000
厚生労働省 検疫所 検疫業務等実施費 検疫庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係る水際対策の強化に必要な経費 緊急対応策第1弾 (3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 4,075,241 3,334,773 81.8 2,615,919 1,459,321
2年2月14日 3,334,773
経済産業省 経済産業本省 サービス産業強化費 医療関連サービス等産業強化事業委託費 新型コロナウイルス感染症対策に係る遠隔健康相談事業に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 248,529 248,529 100 248,529
2年3月10日 248,529
経済産業省 中小企業庁 中小企業事業環境整備費 中小企業再生支援利子補給補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る中小企業者等に対する強力な資金繰り支援に必要な経費 緊急対応策第2弾 (3)事業活動の縮小や雇用への対応 強力な資金繰り対策 4,700,000 4,700,000 100 4,700,000
2年3月10日 4,700,000
経済産業省 中小企業庁 中小企業事業環境整備費 株式会社日本政策金融公庫出資金 新型コロナウイルス感染症対策に係る中小企業者等に対する強力な資金繰り支援に必要な経費 緊急対応策第2弾 (3)事業活動の縮小や雇用への対応 強力な資金繰り対策 30,352,000 23,300,000 76.7 30,352,000
2年3月10日 23,300,000

図表39 予備費使用額が予算現額の過半を占める予算科目(令和2年度)(単位:千円、%)

所管 組織 予算科目 予備費使用決定 経費の性質等 予算現額
(A)
支出済額
(D)
繰越額
(E)
不用額
(F)
事項 予備費使用額
(B)
予算決定後
移替増減額
(C)
予備費
使用額の割合
((B+C)/A)
使用決定日 予備費
使用決定額
内閣 内閣官房 内閣官房共通費 庁費 新型コロナウイルスの市中感染状況の把握に必要な経費 感染拡大防止 16,075,607 8,085,825 50.2 3,628,796 12,089,591 357,219
令和3年2月9日※ 8,085,825
内閣府 内閣本府 新型コロナウイルス感染症対応地方創生推進費 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 2,868,083,944 3,379,107,299 ▲1,628,854,246 61.0 2,868,083,944
2年12月25日※ 216,916,512
営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援
3年1月15日※ 741,785,824
営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援
3年2月9日※ 880,153,759
営業時間の短縮等協力要請の支援に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援
3年3月23日※ 1,540,251,204
内閣府 内閣本府 共生社会政策費 地域子供の未来応援交付金 子供の居場所づくりに必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,924,777 1,365,272 70.9 147,205 1,650,283 127,289
3年3月23日※ 1,365,272
内閣府 内閣本府 男女共同参画社会形成促進費 地域女性活躍推進交付金 女性に寄り添った相談支援等に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援 1,800,000 1,350,000 75.0 236,005 1,520,000 43,995
3年3月23日※ 1,350,000
文部科学省 文部科学本省 育英事業費 学生支援緊急給付金給付事業費補助金 学生支援緊急給付金給付事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 53,112,071 53,112,071 100 52,854,524 257,546
2年5月19日※ 53,112,071
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 新型コロナウイルス感染症医療提供体制確保支援補助金 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援等に必要な経費 感染拡大防止 724,152,882 548,307,494 75.7 267,737,837 448,056,947 8,358,097
2年9月15日※ 279,508,994
新型コロナウイルス感染症患者の更なる病床確保を行う医療機関に対する緊急支援に必要な経費 感染拡大防止
2年12月25日※ 268,798,500
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 新型コロナウイルスワクチン等生産体制整備臨時特例交付金 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保に必要な経費 感染拡大防止 984,670,439 726,990,000 73.8 984,670,439
2年9月8日※ 671,440,000
新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保等に必要な経費 感染拡大防止
2年9月15日※ 55,550,000
厚生労働省 厚生労働本省 生活保護等対策費 生活困窮者就労準備支援事業費等補助金 個人向け緊急小口資金等の特例措置に必要な経費 家計支援・消費喚起 1,558,390,471 832,927,936 53.4 1,092,065,118 452,708,948 13,616,405
2年8月7日※ 177,691,912
個人向け緊急小口資金等の特例措置の延長に必要な経費 家計支援・消費喚起
2年9月15日※ 314,243,405
個人向け緊急小口資金等の特例措置の延長に必要な経費 家計支援・消費喚起
3年3月23日※ 340,992,619
厚生労働省 厚生労働本省 生活保護等対策費 新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金 子育て世帯生活支援特別給付金給付事業に必要な経費 家計支援・消費喚起 232,461,684 218,461,684 93.9 32,020 232,429,664
3年3月23日※ 217,461,684
自殺防止対策事業に必要な経費 その他地方公共団体等を通じた支援
3年3月23日※ 1,000,000
厚生労働省 厚生労働本省 国際機関活動推進費 新型コロナウイルス感染症ワクチングローバルアクセスファシリティ拠出金 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンを共同購入する国際的な仕組みへの参加に必要な経費 感染拡大防止 17,176,852 17,176,852 100 17,176,852
2年9月15日※ 17,176,852

そして、予備費使用額に係る不用額が生じていないかについて、前記のとおり、予備費の使用決定により追加された予算を特定してその執行状況を具体的に確認することは基本的にできないことを踏まえて、上記の不用額が生じている各予算科目について、仮に、予算が予備費使用額から優先して執行されたとして、予算現額のうち予備費使用額から支出済額と繰越額を控除することにより予備費使用額に係る不用額に相当する額(以下「予備費使用額に係る不用額相当額」という。)を本院において保守的に試算した(図表40参照)。その結果、元年度では図表41のとおり、予備費使用額に係る不用額相当額が生じている予算科目数は7目で、予備費使用額に係る不用額相当額は611億余円となっている。なお、2年度では、予備費使用額に係る不用額相当額が生じている予算科目の該当はない。

図表41 本院の試算による予備費使用額に係る不用額相当額の状況(令和元年度)(単位:千円、%)

所管
組織
予算科目 予備費使用決定 5対策の項目 予算現額
(A)
支出済額
(C)
繰越額
(D)
不用額
(E)
本院の試算による予備費使用額に係る不用額相当額
(B-C-D)
事項 予備費
使用額
(B)
予備費
使用額
の割合
(B/A)
使用決定日 予備費
使用決定額
厚生労働省 厚生労働本省
感染症対策費
健康対策関係業務庁費
新型コロナウイルス感染症対策に係るマスクの緊急配布に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 需給両面からの総合的なマスク対策 18,997,243 18,423,541 96.9 1,879,606 11,693,394 5,424,242 4,850,540
令和2年3月3日 2,285,000
新型コロナウイルス感染症対策に係るマスクの配布に必要な経費 緊急対応
策第2弾
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 需給両面からの総合的なマスク対策
2年3月10日 16,138,541
厚生労働省 厚生労働本省 感染症対策費 感染症医療費負担金 新型コロナウイルス感染症対策に係る感染症医療費負担金に必要な経費 緊急対応策第1弾 (2)国内感染対策の強化 感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 370,301 348,107 94.0 223,825 146,475 124,281
2年2月14日 348,107
厚生労働省 厚生労働本省 医療提供体制基盤整備費 医療施設等設備整備費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速 11,782,341 9,776,864 82.9 4,054,550 167,052 7,560,739 5,555,262
2年3月10日 9,776,864
厚生労働省 厚生労働本省 地域保健対策費 保健衛生施設等設備整備費補助金 新型コロナウイルス感染症対策に係る治療体制・機能の強化に必要な経費 緊急対応策第1弾 (2)国内感染対策の強化 感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化 6,556,648 3,512,648 53.5 1,917,069 258,275 4,381,303 1,337,303
2年2月14日 1,484,848
新型コロナウイルス感染症対策に係る医療機関における病床確保等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速
2年3月10日 1,652,800
新型コロナウイルス感染症対策に係る検査設備の導入支援等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備 PCR検査体制の強化
2年3月10日 375,000
厚生労働省 厚生労働本省 高齢者等雇用安定・促進費 職業転換等特別給付金 新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大に必要な経費 緊急対応策第2弾 (3)事業活動の縮小や雇用への対応 雇用調整助成金の特例措置の拡大 48,509,022 48,450,695 99.8 7,959 48,501,062 48,442,735
2年3月10日 2,475,370
新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等
2年3月10日 45,975,325
厚生労働省 厚生労働本省 高齢者等雇用安定・促進費 高齢者等雇用安定促進事業委託費 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費 緊急対応策第2弾 (2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応 保護者の休暇取得支援等 945,389 571,763 60.4 415,738 529,650 156,024
2年3月10日 571,763
厚生労働省 検疫所 検疫業務等実施費 検疫庁費 新型コロナウイルス感染症対策に係る水際対策の強化に必要な経費 緊急対応策第1弾 (3)水際対策の強化 全国の検疫所等の検査体制・機能の強化 4,075,241 3,334,773 81.8 2,615,919 1,459,321 718,853
2年2月14日 3,334,773
91,236,185 84,418,391 92.5 11,114,668 12,118,721 68,002,794 61,185,000

このうち、予備費使用額に係る不用額相当額が多額となっている予算科目の執行状況を事例として示すと次のとおりである。

事例2

令和元年度予算の「(所管)厚生労働省(組織)厚生労働本省(項)高齢者等雇用安定・促進費(目)職業転換等特別給付金」は、予算現額485億0902万余円のうち予備費使用額484億5069万余円(うち「(事項)新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大に必要な経費」に係るものとして24億7537万円、「(事項)新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費」に係るものとして459億7532万余円)となっており、執行状況は、支出済額795万余円、繰越額0円、不用額485億0106万余円(不用率99.9%)及び本院の試算による予備費使用額に係る不用額相当額484億4273万余円となっている。

上記の「(事項)新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置の拡大に必要な経費」は、地方公共団体の長が住民・企業の活動自粛を要請する旨の宣言を発出している地域の事業主に対して雇用調整助成金の特例措置を拡大して支給するために要する経費を支出するためのものである。厚生労働省によると、本助成金を受給する場合、事業主において申請書類の準備や休業手当の支払実績の確認が必要となるところ、新型コロナウイルス感染症の影響により人員確保等や事業活動の継続の対応に時間を要して、年度内の支給申請が困難となった事業主が多かったため、予算のほとんどが不用となったとしている。

また、前記の「(事項)新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費」は、学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応のための休暇を取得した従業員を抱える事業者に対する助成金等の支給等に要する経費を支出するためのものである。厚生労働省によると、小学校休業等対応助成金・支援金が創設されたのが2年3月13日であり、同月18日より申請受付を開始したものの申請期間が短かったこと、また、申請書等の不備により支給決定まで至らない申請があったことや、当初の見込みより申請が少なかったことにより、予算のほとんどが不用となったとしている。

このように、予算現額全体の執行状況についてみると、予備費使用額以上の繰越額又は不用額を計上している予算科目が見受けられた。また、予備費使用額が予算現額の過半を占めている予算科目を対象として、本院において、予算が予備費使用額から優先して執行されたと仮定して保守的に試算したところ、予備費使用額に係る不用額相当額が生じている状況が見受けられ、中には、予備費使用額の大半が予備費使用額に係る不用額相当額として試算されたものも見受けられた。予備費に係る予算の執行状況については、予備費が国会による事前議決の原則の例外となっていることに鑑みて、透明性を十分に確保するとともに、特に多額の不用を計上した場合には十分な説明を行うことが望まれる。

4 本院の所見

新型コロナウイルス感染症の感染状況をみると、ワクチン接種が進捗しているものの従来株から感染力の強いとされる変異株への置き換わりが進み、緊急事態宣言が数次にわたり発出されるなど、現時点において感染終息には至っていない。このような状況の下、政府においては、引き続き新型コロナウイルス感染症対策に関連する諸施策を着実に実施することが望まれる。一方で、今後の予測が困難な中、国民の安心のために十分な予算を手当した結果、補正予算の追加額については、2年度第1次補正から2年度第3次補正までの補正を行うことにより、2年度の一般会計予算は、当初予算の102兆6579億余円から2年度第3次補正後の175兆6877億余円へと73兆0297億余円(当初予算比71.1%増)という前例のない規模の増加となっており、予備費については、2年度には特定使途予備費として9兆6500億円のコロナ対策予備費が計上されたり、元、2両年度において新型コロナウイルス感染症対策のために多額の使用決定が行われたりしている。また、特別会計の予算についても前例のない規模の増加となっている。

今回、事業等の執行における透明性の確保や国民への説明責任の向上等の観点から、本院においてコロナ関連事業に係る2年度末時点での事業の執行状況について検査したところ、2年度第1次補正から2年度第3次補正において予算が計上されたコロナ関連事業について、多額の繰越額や不用額を計上していたり、また、新型コロナウイルス感染症対策のために予備費の使用決定がなされ、これにより予算が配賦された予算科目において、予備費使用額以上の繰越額や不用額を計上していたり、予算が予備費使用額から優先して執行されたと仮定した本院による保守的な試算において予備費使用額に係る不用額相当額が生じたりしている状況等が見受けられた。

各府省等においては、国民の理解と協力を得ながら新型コロナウイルス感染症対策を進めていくために、これらの状況等について、国民に対して十分な情報提供を行うことが望まれる。

また、各府省等においては、3年度以降においても引き続き新型コロナウイルス感染症対策に関連する事業は継続していることから、多額の繰越額や不用額を計上したコロナ関連事業について、その原因を分析するなどして、適時適切な実施に努めるとともに、上記の情報提供も含め、コロナ関連事業として実施した各事業に係る予算の執行状況等を国民に対して広く情報提供することが望まれる。

本院としては、新型コロナウイルス感染症がいまだ我が国に多大な影響を与えていることを踏まえて、新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について引き続き検査していくこととする。