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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和3年4月

高速道路に係る料金、債務の返済等の状況に関する会計検査の結果について


別図表4 6会社の経営状況等に関する検査報告掲記事項等の所見

本州四国連絡道路に係る債務の返済等の状況及び本州四国連絡高速道路株式会社の経営状況について
(会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告(平成25年9月))
  本四会社の決算は、民営化以降黒字が続いているが、これは、本四公団時代に多額の財政支援を受けたことなどによるものである。また、機構の本四道路に係る債務の返済が計画を上回っているのは、機構に対する国及び10府県市からの多額の出資金を債務の返済に充てていることによるものである。しかし、平成26年度以降に出資が停止された場合、料金水準を変更するなどしない限り、料金収入の増加は見込めず、出資分を料金収入で賄うことはできなくなることから、債務返済計画の見直しが必要となる。
  ついては、国土交通省、機構及び本四会社において、本四道路に係る債務の返済等は道路の利用者による受益者負担が基本であることに留意するとともに国の財政状況が一層厳しくなっていることにも留意して、次のような対応を執ることにより、本四道路に係る債務の返済等を確実に行うことが重要である。

ア 国土交通省及び機構において、24年2月の10府県市との協議の結果に鑑み、 26年度以降に出資が停止された場合には、国民の理解が得られるよう、これに代わる措置を含めた適切な債務返済計画を検討すること

イ 本四会社において、今後も管理費用の削減に努めること。また、契約に際しては更なる競争性の確保を図って子会社等を契約の相手方としている業務についても、なお一層のコスト縮減を図ること。
さらに、子会社が保有する利益剰余金の取扱いについて検討すること

高速道路利便増進事業の実施状況等について
(平成25年度決算検査報告(特定検査対象に関する検査状況))
  利便増進事業を実施するために国の一般会計に承継された機構の債務は2兆8804億余円に上っており、同事業が平成20年10月に実施されてから5年以上経過している。この間の6会社における利便増進事業の実施状況をみると、料金割引の実施額は計1兆9739億余円、スマートIC(計20か所)の実施額は計 219億余円、合計1兆9958億余円となっている。
  料金割引の効果についてみると、割引実施前後における交通量の傾向からみた全体の効果は、相応に認められた。また、スマートICの整備については、当初計画された整備箇所数が大幅に削減されていて、利便増進事業による新規事業採択が終了し、新たな制度に基づき実施されることとなった。そし て、供用を開始しているスマートIC計20か所の日平均交通量についてみると、実績が計画を上回ったことがある箇所が計14か所ある一方で、上回ったことがない箇所が計6か所見受けられた。
  また、利便増進事業の経理処理等についてみると、省令、会計基準等に照らし、規定どおりに行われているものの、49年度以降の料金割引の実施状況やスマートICの整備等の実施状況が財務諸表上では把握できない状況となっていた。
  したがって、今後の利便増進事業の実施に当たっては、以下の点に留意して、事業を進めていくことが望まれる。

ア 国土交通省、機構及び6会社は、利便増進事業について、実施状況、社会情勢の変化等に応じて効果的に運用するなど、引き続き適切に実施していくこと

イ 4会社は、整備したスマートICの交通量を増加させる対策について、地区協議会において国土交通省及び地方公共団体と協力して、積極的に検討すること

ウ 利便増進事業に係る経理処理は規定どおりに行われているものの、機構は、利便増進事業について、実施状況を何らかの形で情報提供することによって透明性の向上を図ること

東日本、中日本、西日本各高速道路株式会社のグループ経営等の状況について
(平成27年度決算検査報告(特定検査対象に関する検査状況))
  3会社の管理費についてみると、平成23年度から27年度までの間、管理費の実績は、毎年度、計画を上回っている。
  また、子会社の業務の実施状況についてみると、特に中会社は、直接出資していない子会社に対して、他の直接出資している子会社を経由して業務を実施させるなどしていて、業務委託が重層化している状況となっている。
  そして、子会社の当期純利益及び利益剰余金並びに配当についてみると、3会社の委託費には子会社の利益を含まないこととしているのに、実際には子会社に多額の当期純利益及び利益剰余金が生じている一方で、高速道路事業により生じた利益は同事業に還元することを基本としているのに、3会社は、子会社の利益に比して適正な配当を要請していない状況となっている。
  さらに、子会社の外注契約状況についてみると、3会社から受託した業務を外注しているものが多額に上っており、その割合も高くなっているのに、3会社はその外注額を確認しておらず、また、外注契約の契約方法は、随意契約の占める割合が高く、入札による競争契約等や価格競争契約の割合が少ないなど、契約の競争性が確保されていない状況となっている。
  したがって、3会社は、次のような点に留意して、高速道路事業の効率的な実施に努めること及び維持管理4業務等の委託を通じて子会社に必要以上の利益が生じないよう努めることが重要である。

ア 中会社においては、会社が直接出資していない子会社について、重層化している業務委託の状況を踏まえ、グループ会社として位置付けを強化することや会社との明確な資本関係を構築することを検討するなどして、維持管理4業務等の効率化に努めること

イ 3会社においては、子会社の利益剰余金等について、財務状況の健全性が高く、十分な資金的余力がある子会社に対しては、適正な配当を要請すること

ウ 3会社が発注する契約金額の妥当性を検証するために子会社の外注額を確認するとともに、子会社の外注契約について、経済性、透明性を確保する観点から、緊急性や特殊な専門性が求められるものなど以外の業務については競争性の高い契約方法を採用するよう指導すること