我が国では、平成30年度までに6次にわたるPFI法の改正が行われ、施設管理者がPFI事業を実施する民間事業者に公共施設等運営権を設定することができるようにしたり、PFI事業の対象とする公共施設等を追加したりすることなどにより、PFI事業の推進が図られてきているところである。また、基本方針によれば、国及び地方の財政は非常に厳しい状況にあり、PFI事業は、真に必要な公共施設等の整備等と財政健全化の両立を図る上で重要な役割を果たすものであるとされている。さらに、アクションプランによれば、特に、公共施設等運営事業を活用することが重要であるとされ、集中的に取組を強化するなどして、25年度から令和4年度までの10年間で国、地方公共団体等において21兆円の事業規模の達成を目指すとされているように、今後もPFI事業が実施されていくことが見込まれている。
上記のとおり、我が国においては、厳しい財政状況の中で、様々な制度改正を行いながらPFI事業の推進が図られており、今後のPFI事業の実施に資するために、これまで実施してきたPFI事業によってどのような効果がもたらされたかについて評価を行うことは重要であると考えられる。
そこで、会計検査院は、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、次のような点に着眼して検査を実施した。
ア 国が実施しているPFI事業の類型別の事業数及び契約金額はどのような状況となっているか。
イ PFI事業の選定時及び民間事業者の選定時に適切に評価が実施されているか。
ウ モニタリングが適切に実施され、債務不履行に対する対応が的確に行われているか。
エ PFI事業の事業期間終了に伴う評価の実施状況、PFI事業として実施したことによる効果の発現状況等はどのようになっているか。
平成14年度から30年度までの間に11府省等(注15)(外局、地方支分部局等を含む。以下同じ。)において事業契約が締結されたPFI事業計76事業(事業契約の締結後に契約解除されたPFI事業3事業を除き、30年度末現在で終了しているPFI事業29事業を含む。30年度末契約金額計1兆3504億余円。別図表1参照)を対象として、上記の11府省等において、PFI事業の実施状況について、事業契約書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、PFI事業に係る評価等について、関係資料の提出を受けてその内容を分析するなどの方法により検査した。