平成11年7月に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(平成11年法律第117号。以下「PFI法」という。)が制定されて以降、国は、30年度までに6次にわたりPFI法の改正を行い、施設管理者がPFI事業を実施する民間事業者に公共施設等運営権を設定することができるようにしたり、PFI事業の対象とする公共施設等を追加したりすることなどにより、PFI事業の推進を図ってきたところである。また、国は、PFI事業が真に必要な公共施設等の整備等と財政健全化の両立を図る上で重要な役割を果たすものであるとしている。
そして、PFI法が制定されて20年余りが経過して、サービス購入型のPFI事業については、事業期間が終了したもの又は終了が近いものが増加してきており、今後のPFI事業の実施に資するために、これまで実施してきたPFI事業に係る事後検証等を行い、PFI事業における課題等を明らかにして、今後の事業の改善にいかすことが重要となってきている。独立採算型のPFI事業については、まだ実績が少ないものの、公共施設等運営事業への導入が促進されてきていることから、事業実績の増加が見込まれ、今後、その効果を見定めていくことが必要である。さらに、PFI事業を実施する民間事業者の財務状況がサービスの提供に影響するため、財務状況の監視を含めてモニタリング等を適切に行うことがますます重要となってきている。
本報告書は、以上のような経緯等を踏まえて、主に30年度末時点での国におけるPFI事業の実施状況、PFI事業に係る評価の実施状況、モニタリングの実施状況等について検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
令和3年5月
会計検査院