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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 国会(衆議院、参議院、国立国会図書館)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(1)―(3) 一括調達の運用ルールの対象とされている消耗品等の調達について、3機関において一括調達を実施することの可否等を検討した上で、一括調達が可能なものについては一括調達を実施することとしたり、現時点では仕様を統一することが困難なものについては一括調達の実施に向けて継続して検討することとしたりするよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)衆議院 (項)衆議院
(組織)参議院 (項)参議院
(組織)国立国会図書館 (項)国立国会図書館
(組織)裁判官訴追委員会 (項)裁判官訴追委員会
(組織)裁判官弾劾裁判所 (項)裁判官弾劾裁判所
部局等
(1) 衆議院
(2) 参議院
(3) 国立国会図書館東京本館
一括調達の概要
物品調達事務の効率化や調達金額の低減等に効果が見込める消耗品等を各府省等がまとまって調達するもの
一括調達を実施することの可否等を検討していなかった消耗品等の調達額
(1) 2億3305万余円(令和元、2両年度)
(2) 2億0839万余円(令和元、2両年度)
(3) 1億8242万余円(令和元、2両年度)
上記のうち一括調達が可能である消耗品の調達額
(1) 956万円
(2) 732万円
(3) 301万円
一括調達を実施することの可否等を検討していく必要がある消耗品等の調達額
(1) 2億2349万円(背景金額)(令和元、2両年度)
(2) 2億0107万円(背景金額)(令和元、2両年度)
(3) 1億7941万円(背景金額)(令和元、2両年度)

1 消耗品等の一括調達の概要

衆議院、参議院及び国立国会図書館(以下「図書館」といい、衆議院及び参議院と合わせて「3機関」という。)は、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等に基づき、業務の実施等のために必要となる消耗品等の調達を行っており、3機関の職員が調達に係る契約事務を実施している。

そして、3機関は、消耗品等の調達に当たり、「行政効率化推進計画」(平成16年行政効率化関係省庁連絡会議決定)等を受けて策定された「一括調達の運用ルール」(平成21年1月各府省等申合せ。25年1月一部改定。以下「運用ルール」という。)に基づき消耗品等の一括調達を行っており、3機関が一つのグループとなって、グループ単位で一括調達を実施することとなっている。なお、3機関は、運用ルールが策定された平成21年1月時点においては国の行政機関に準じた取組を要請されていたが、25年1月以降は、国の行政機関と同様に、運用ルールに基づく一括調達の取組に実施主体として参加している。

運用ルールによれば、「事務用消耗品」「紙」「コピー用紙」「OA機器用消耗品」「清掃用消耗品」「燃料」「書籍」「防災用品」及び「役務」の9分類に区分された443品目について、原則として分類ごとに契約することとされ、必要性を判断の上、各分類中における品目を絞り込んで契約することができるなどとされている。そして、これらの物品調達事務の効率化や調達金額の低減等に効果が見込める消耗品等の一括調達を実施することにより、事業者間での競争の促進や価格の平準化等の効果が期待されるとされている。

3機関は、運用ルールに基づき、上記事務用消耗品等9分類443品目のうち3分類335品目について、毎年、一括調達を実施することの可否等を検討しており、令和元年度においては、事務用消耗品等3分類31品目、2年度においては、事務用消耗品等2分類29品目について一括調達を実施している。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性、経済性等の観点から、消耗品等の調達が運用ルールに沿って行われているかなどに着眼して、運用ルールの対象となる9分類443品目の消耗品等から、3機関において一括調達を実施することの可否等を毎年検討している事務用消耗品等3分類335品目を除いた6分類108品目(うち、3機関が元、2両年度に庁費等で調達した6分類52品目(衆議院計6分類44品目2億3305万余円、参議院計6分類31品目2億0839万余円、図書館計6分類27品目1億8242万余円))を対象として、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)の規定に基づき本院に提出された証拠書類等を検査するとともに、3機関において契約関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

3機関は、6分類108品目について、各機関が個別の判断により一括調達を実施しないとしており、一括調達を実施することの可否等を3機関が連携して検討していなかった。そして、元、2両年度において、上記の6分類52品目全てを各機関で個別に調達していた。

そこで、この6分類52品目について、仕様等を確認したところ、のとおり、紙、清掃用消耗品、燃料、書籍及び防災用品の5分類12品目(調達額合計1989万余円(衆議院計4分類11品目956万余円、参議院計4分類5品目732万余円、図書館計4分類7品目301万余円))については、3機関で調達されていた消耗品の寸法、形状等の規格が全く同じであったり、規格は若干異なるものの、同一の規格にしたとしても使用に当たって特段の支障はない状況となっていたりなどしていたため、仕様を統一することなどにより一括調達が可能であると認められた。

また、上記6分類52品目のうち5分類44品目(調達額合計6億0397万余円(衆議院計5分類36品目2億2349万余円、参議院計5分類30品目2億0107万余円、図書館計5分類20品目1億7941万余円))については、消耗品等の規格や調達時期等が一定程度異なることから、現時点では仕様を統一することが困難であるものの、必要となる規格の再検討や調達時期の調整等を行い、仕様を統一することなどにより一括調達を実施することが可能となるものもあると思料されることから、一括調達を実施することの可否等を検討していく必要があると認められた。

表 調達実績のあった消耗品等(単位:品目、千円)

分類
令和元、2両年度に調達実績のあった消耗品等 一括調達が可能な消耗品(A) 一括調達を実施することの可否等について検討していく必要がある消耗品等(B)
品目数 調達額 品目数 主な品目 調達額 品目数 主な品目 調達額
14 1,014 7 紙(色紙)/最厚口A4白色等 272 7 ノートA4等 742
清掃用消耗品
28 12,049 2(2) トイレットペーパー等 8,011 28(2) 手洗い用石鹸等 4,037
燃料 4 63,274 1(1) 軽油 1,609 4(1) ハイオクガソリン等 61,664
書籍 1 4,862 1 六法全書 4,862
防災用品 1 17,514 1(1) 災害備蓄用品 5,142 1(1) 災害備蓄用品 12,372
役務 4 525,161 4 クリーニング等 525,161
合計 52 623,876 12(4) 19,898 44(4) 603,978
  • 注(1) 1品目の中で調達している消耗品が複数あり、このうち(A)に該当する消耗品と(B)に該当する消耗品の両方がある品目の数を、それぞれの「品目数」欄の括弧内に記載している。
  • 注(2) 金額は千円未満を切り捨てているため、合計しても一致しない。

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

3機関は、令和元年度に、各機関で個別にトイレットペーパーを調達しており、衆議院は、幅114ミリメートル、長さ130メートル、包装なしの規格(調達数量計28,800個、調達額計132万余円)、参議院は、幅114ミリメートル、長さ130メートル、包装ありの規格(調達数量計22,176個、調達額計129万余円)、図書館は、幅114ミリメートル、長さ65メートル、包装なしの規格(調達数量計60,000個、調達額計145万余円)となっていた。

このように、3機関が調達していたトイレットペーパーは、それぞれ規格は若干異なるものの、長さを同一にするなどしても使用に当たって特段の支障はないため、仕様を統一することなどにより一括調達が可能であると認められた。

このように、運用ルールにおける一括調達の実施主体である3機関が調達した前記6分類52品目のうち、一括調達が可能な5分類12品目について一括調達を実施していなかったり、5分類44品目について一括調達を実施することの可否等を検討していなかったりしていた事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、3機関において、運用ルールの対象となる消耗品等の調達に当たり、各機関が個別の判断により一括調達を実施しないとしていて、3機関が連携して運用ルールに沿って一括調達を実施することの可否等を検討することの必要性に対する理解が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、3機関は、4年8月に、6分類108品目について、運用ルールに沿って一括調達を実施することの可否等を検討した上で、一括調達が可能なものについては一括調達を実施することとしたり、現時点では仕様を統一することが困難なものについては一括調達の実施に向けた定期的な協議の場を整備し、毎年度継続して検討することとしたりする処置を講じた。