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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府(内閣府本府)|
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  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

子ども・子育て支援交付金(放課後児童健全育成事業に係る分)を過大に交付していたもの[3県](1)―(4)


(4件 不当と認める国庫補助金 196,062,000円)

放課後児童健全育成事業は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等に基づき、市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)が実施主体となり、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対して、放課後等に安心して生活できる居場所を確保するとともに、次代を担う児童の健全な育成を支援することを目的とするものである。児童福祉法等に定める本件事業には、複数の事業の種類があり、そのうち本件事業と同じ名称である放課後児童健全育成事業(以下「健全育成事業」という。)は、放課後児童クラブにおいて児童に適切な遊び及び生活の場を与えるためのものである。

そして、国は、市町村(特別区を含む。)に対して、子ども・子育て支援交付金(放課後児童健全育成事業に係る分)(以下「交付金」という。)を交付して、放課後児童健全育成事業に要する費用の一部を補助している。

 「「放課後児童健全育成事業」の実施について」(平成27年雇児発0521第8号。以下「実施要綱」という。)等によれば、健全育成事業における支援の提供が同時に1人又は複数の利用者に対して一体的に行われるものを一の支援の単位(以下、この単位を「支援単位」という。)とすることとされており、健全育成事業を行う場所では、支援単位ごとに、放課後児童支援員(以下「支援員」という。)を2人以上配置することなどとされている。

 「子ども・子育て支援交付金の交付について」(平成28年府子本第474号内閣総理大臣通知)等によれば、交付金の交付額は、次のとおり算定することとされている。

① 各事業の区分ごとに定められた方法により算定した基準額と対象経費の実支出額を比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して、少ない方の額を選定する。

② ①により選定された額を基本額とし、これに国の負担割合3分の1を乗ずるなどして得た額を交付金の交付額とする。

そして、上記①の基準額のうち、健全育成事業に係る基準額は、次の額等を合算して算定することとされている。

  • ① 支援単位を構成する児童の数により算出される一の支援単位当たりの年額
  • ② 年間開所日数により算出される開所日数加算額
  • ③ 一定の開所時間を超える時間の年間平均時間数により算出される長時間開所加算額

本院が、14都道府県の25市町において会計実地検査を行うとともに、4県の4市町から関係資料の提出を受けるなどして検査したところ、3県の4市において、交付金の交付額の算定に当たり、支援単位において実施要件を満たしていない日を年間開所日数に含めるなどしていた。このため、交付金計196,062,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4市において実施要綱等の理解が十分でなかったこと、3県において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

千葉市は、平成30、令和元両年度に、平成30年度231支援単位、令和元年度260支援単位において、健全育成事業を実施したなどとして、放課後児童健全育成事業に係る基本額を計3,329,065,387円として千葉県に事業実績報告書を提出して、これにより交付金計1,110,837,000円の交付を受けていた。

しかし、同市は、利用する児童が少数である土曜日に、放課後児童クラブ内の複数の支援単位において合同で健全育成事業を実施していたことから、これらの支援単位ごとにみた場合、支援員等が2人以上配置されておらず実施要件を満たしていない日があったのに、同市は、交付金の交付額の算定に当たり、これらの実施要件を満たしていない日を年間開所日数に含めるなどしていた。このため、当該支援単位に係る年間開所日数平成30年度計6,070日、令和元年度計7,875日が過大に計上されていた。

したがって、平成30、令和元両年度の適正な基本額を算定すると計3,061,847,167円となることから、前記の基本額3,329,065,387円との差額267,218,220円が過大となっており、これに係る交付金89,073,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
交付金事業者
(事業主体)
交付金事業
年度
事業費
左に対する交付金交付額
不当と認める事業費
不当と認める交付金相当額
          千円 千円 千円 千円
(1)
千葉県
千葉市
子ども・子育て支援交付金(放課後児童健全育成)
平成30、
令和元
3,329,065 1,110,837 267,218 89,073
(2)
松戸市
1,226,048 438,888 218,296 75,572
(3)
石川県
野々市市
379,588 129,862 40,262 13,820
(4)
兵庫県
丹波篠山市
240,560 81,951 52,790 17,597
(1)―(4)の計 5,175,262 1,761,538 578,567 196,062

(注) 平成31年4月30日以前は篠山市