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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

子ども・子育て支援交付金(延長保育事業に係る分)を過大に交付していたもの[岡山県](5)(6)


(2件 不当と認める国庫補助金 7,302,000円)

延長保育事業は、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)等に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)及び一部事務組合(以下、これらを合わせて「市町村等」という。)が実施主体となり、就労形態の多様化等に伴う延長保育の需要に対応するために、都道府県及び市町村等以外の者が設置する保育所又は認定こども園(以下、これらを合わせて「民間保育所等」という。)等において、市町村から保育認定を受けた児童について、通常の利用日及び利用時間帯以外の利用日及び利用時間帯において引き続き保育を受けた際に、当該児童の保護者が支払うべき費用の全部又は一部の助成を行うことにより、必要な保育を確保する事業である。

そして、国は市町村に対して、子ども・子育て支援交付金(延長保育事業に係る分)(以下「交付金」という。)を交付して、延長保育事業に要する費用の一部を補助している。

 「延長保育事業の実施について」(平成27年雇児発0717第10号。以下「実施要綱」という。)等によれば、延長保育事業は、1時間延長、2時間延長等の延長時間に応じた区分があり、これらのうち、1時間延長の場合は、民間保育所等が設定した開所時間を超えて1時間以上の延長保育を実施し、延長時間の区分ごとの1日当たり平均対象児童数(以下「平均対象児童数」という。)が6人以上いることが実施要件とされている。

 「子ども・子育て支援交付金の交付について」(平成28年府子本第474号内閣総理大臣通知)等によれば、交付金の交付額は、次のとおり算定することとされている。

① 1時間延長、2時間延長等の延長時間の区分等により定められた基準額と対象経費の実支出額を比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して、少ない方の額を選定する。

② ①により選定された額を基本額とし、これに国の負担割合3分の1を乗ずるなどして得た額を交付金の交付額とする。

本院が、20都道府県の89市区町において会計実地検査を行うとともに、3県の13市町から関係書類の提出を受けるなどして検査したところ、1県の2市において、交付金の交付額の算定に当たり、実際の平均対象児童数を用いる必要があるのに事前に提出した交付申請書に記入した平均対象児童数等を用いるなどしていたり、平均対象児童数を誤って算出していたりしていた。このため、交付金計7,302,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2市において基準額等の確認が十分でなかったり、実施要綱等の理解が十分でなかったりしたこと、岡山県において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

岡山県赤磐市は、令和元、2両年度に、11か所の民間保育所等において延長保育事業を実施したとして、延長保育事業に係る基本額を計33,508,300円として岡山県に事業実績報告書を提出して、これにより交付金計11,169,000円の交付を受けていた。

しかし、同市は、交付金の交付額の算定に当たり、平均対象児童数、延長時間数等の算出については、実際の平均対象児童数、延長時間数等を用いる必要があるのに、誤って、事前に提出した交付申請書に記入した平均対象児童数を用いたり、民間保育所等が利用者へ示している延長時間数を用いたりなどしていたため、基本額が過大に算定されていた。

したがって、元、2両年度の適正な基本額を算定すると計21,111,100円となることから、前記の基本額33,508,300円との差額12,397,200円が過大となっており、これに係る交付金4,133,000円が過大に交付されていた。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

 
部局等
交付金事業者
(事業主体)
交付金事業
年度
事業費
左に対する交付金交付額
不当と認める事業費
不当と認める交付金相当額
          千円 千円 千円 千円
(5)
岡山県
井原市
子ども・子育て支援交付金(延長保育)
元、2 13,367 5,372 6,757 3,169
(6)
赤磐市
33,508 11,169 12,397 4,133
(5)(6)の計 46,875 16,541 19,154 7,302