ページトップ
  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府(内閣府本府)|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

子ども・子育て支援交付金(地域子育て支援拠点事業に係る分)を過大に交付していたもの[大分県](7)


(1件 不当と認める国庫補助金 2,871,000円)

地域子育て支援拠点事業(以下「拠点事業」という。)は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等に基づき、市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)が実施主体となり、乳幼児及びその保護者が相互の交流を行う場所(以下「地域子育て支援拠点」という。)を開設して、子育てについての相談、情報の提供、助言その他の援助を行うものである。

そして、国は市町村(特別区を含む。)に対して、子ども・子育て支援交付金(地域子育て支援拠点事業に係る分)(以下「交付金」という。)を交付して、拠点事業に要する費用の一部を補助している。

 「地域子育て支援拠点事業の実施について」(平成26年雇児発0529第18号)等によれば、拠点事業の実施に当たっては、開設時間中に拠点事業に専ら従事する者(以下「専任の者」という。)を2名以上配置することなどが実施要件とされている。

 「子ども・子育て支援交付金の交付について」(平成28年府子本第474号内閣総理大臣通知。以下「交付要綱」という。)等によれば、交付金の交付額は、次のとおり算定することとされている。

① 地域子育て支援拠点の開設日数、専任の者の配置状況(常勤職員を配置する場合や非常勤職員のみを配置する場合等)等に応じた区分により定められた基準額と対象経費の実支出額を比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して、少ない方の額を選定する。

② ①により選定された額を基本額とし、これに国の負担割合3分の1を乗ずるなどして得た額を交付金の交付額とする。

本院が、15都道府県の34市区町において会計実地検査を行ったところ、1市において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
交付金事業者
(事業主体)
交付金事業
年度
事業費
左に対する交付金交付額
不当と認める事業費
不当と認める交付金相当額
          千円 千円 千円 千円
(7)
大分県
大分市
子ども・子育て支援交付金(地域子育て支援拠点)
2 82,516 31,131 8,613 2,871

大分市は、令和2年度に、11か所の地域子育て支援拠点において開設時間中に専任の者を2名以上配置し、そのうち4か所において常勤職員を配置するなどして拠点事業を実施したとして、拠点事業に係る基本額を82,516,786円として大分県に事業実績報告書を提出して、これにより交付金31,131,000円の交付を受けていた。

しかし、同市は、交付金の交付額の算定に当たり、3か所の地域子育て支援拠点において、実際には配置された専任の者が非常勤職員のみであったのに、常勤職員を配置する場合の基準額を適用して拠点事業全体の基準額に含めていたため、基本額が過大となっていた。

したがって、適正な基本額を算定すると73,903,786円となることから、前記の基本額82,516,786円との差額8,613,000円が過大になっており、これに係る交付金2,871,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において交付要綱等の理解が十分でなかったこと、大分県において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。