2件 不当と認める国庫補助金 2,360,463円
国立大学法人情報機器整備費補助金は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で実現させることや、デジタル技術を活用した高度な教育を提供できる環境を実現させることを目的として、遠隔授業の実施に必要な経費等を国立大学法人に対して国が補助するものである。
この補助金の補助対象経費は、国立大学法人情報機器整備費補助金交付要綱(令和2年文部科学大臣決定)によれば、国立大学法人が補助事業を実施するために必要な経費のうち、大学等における遠隔授業の環境構築の加速による学修機会の確保に係る事業(以下「遠隔授業事業」という。)における遠隔授業実施のための設備整備、通信機器整備、ソフトウェア購入等及び利用支援等の体制整備に要する経費とされている。このうち遠隔授業実施のための設備整備は、サーバの整備費等を補助対象経費としている。そして、サーバ等の保守(定期点検、修理、メンテナンス等をいう。以下同じ。)に係る経費、遠隔授業の実施に必要なソフトウェアの使用料等については、遠隔授業の環境構築の加速に必要な経費として遠隔授業事業の実施年度である令和2年度の分に限り補助の対象となることとなっている。
本院が、23国立大学法人において会計実地検査を行ったところ、2国立大学法人において、補助の対象とならない3年度以降のサーバ等の保守に係る経費又はソフトウェアの使用料を補助対象経費に含めていたため、国庫補助金計2,360,463円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2国立大学法人において補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、文部科学省において2国立大学法人から提出された実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
国立大学法人東京海洋大学は、令和2年度に遠隔授業事業を実施しており、遠隔授業実施のための設備整備等として、無線LAN集中管理装置(サーバ)、学務システムデータサーバ用NAS(ストレージ)及び無線LANファイアウォールの購入等に係る経費を対象として、補助対象経費を18,000,000円(国庫補助金同額)と算定していた。
しかし、遠隔授業事業の実施年度である2年度の分の経費に限り補助の対象となることとなっているのに、同法人は、3年4月1日から最長8年1月10日までのサーバ等の保守に係る経費及びソフトウェアの使用料計1,209,274円を補助対象経費に含めていた。
したがって、上記の経費1,209,274円を除いて適正な補助対象経費を算定すると、16,790,726円(国庫補助金同額)となり、前記の補助金交付額18,000,000円との差額1,209,274円が過大に交付されていた。
以上を事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 |
補助事業者 (事業主体) |
補助事業 |
年度 |
補助対象経費 |
左に対する国庫補助金交付額 |
不当と認める補助対象経費 |
不当と認める国庫補助金 |
摘要 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(28) | 文部科学本省 |
国立大学法人東京海洋大学 |
遠隔授業事業 |
2 | 18,000 | 18,000 | 1,209 | 1,209 | 補助の対象とならない3年度以降のサーバ等の保守に係る経費及びソフトウェアの使用料を補助対象経費に含めていたもの (東京海洋大学) |
(29) | 同 | 国立大学法人東海国立大学機構 |
同 | 2 | 18,000 | 18,000 | 1,151 | 1,151 | 補助の対象とならない3年度以降のサーバ等の保守に係る経費を補助対象経費に含めていたもの (名古屋大学) |
(28)(29)の計 | 36,000 | 36,000 | 2,360 | 2,360 |