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(3) 公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金が過大に交付されていたもの[5県](35)―(39)


5件 不当と認める国庫補助金 51,673,000円

公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金(以下「補助金」という。)は、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で実現させることを目的として、校内LANの新設、更新等の事業に必要となる経費に充てるために、国が地方公共団体に対して補助するものである。

公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金交付要綱(令和2年文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)等によれば、補助金の交付額は、校内LANの新設、更新等の事業に必要な経費の2分の1とすることなどとされており、補助の対象となる学校の種類は、公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校とされている。

また、交付要綱等によれば、大型提示装置(テレビ等)の整備費用、保守費用、事業実施年度の翌年度以降(以下「後年度」という。)の期間分のライセンス費用等は補助の対象とならないこととされている。

本院が、12道県、111市区町村、2一部事務組合、計125事業主体において会計実地検査を行ったところ、5県の5市において、補助対象経費の算定に当たり、補助の対象となる学校の種類に該当しない施設における整備費用を含めていたり、補助の対象とならない大型提示装置の整備費用、保守費用又は後年度の期間分のライセンス費用を含めていたりなどしていたため、補助金計51,673,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、5市において補助対象経費の範囲についての理解が十分でなかったこと、5県において5市から提出された実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

事例

秋田県秋田市は、令和元、2両年度に、市内の公立の小学校、中学校等において、次世代型学校ICT環境整備(校内LAN工事等)業務委託(以下「校内LAN整備業務」という。)等4業務を計633,726,390円で実施し、619,812,868円を補助対象経費として、補助金309,906,000円の交付を受けていた。

しかし、同市は、校内LAN整備業務において、補助の対象とならない無線アクセスポイント等の保守費用計7,937,300円やフィルタリングソフト等の後年度の期間分のライセンス費用計17,407,400円の計25,344,700円を補助対象経費に含めていた。

したがって、補助の対象とならない上記の保守費用及び後年度の期間分のライセンス費用25,344,700円を除外するなどして適正な補助対象経費を算定すると591,933,748円となり、これに対する補助金の額は295,966,000円となることから、前記の補助金交付額309,906,000円との差額13,940,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
補助事業
年度
補助対象経費
左に対する国庫補助金交付額
不当と認める補助対象経費
不当と認める国庫補助金交付額
摘要
          千円 千円 千円 千円  
(35)
秋田県
秋田市
公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備
元、2
619,812 309,906 27,879 13,940
保守費用及び後年度の期間分のライセンス費用を補助対象経費に含めていたもの
(36)
山梨県
甲府市
元、2
434,610 217,305 20,116 10,059
補助の対象となる学校の種類に該当しない施設における整備費用等を補助対象経費に含めていたもの
(37)
兵庫県
宝塚市
元、2
430,999 215,499 39,337 19,668
後年度の期間分のライセンス費用を補助対象経費に含めていたもの
(38)
奈良県
大和郡山市
元、2
184,600 92,309 12,211 6,108
大型提示装置の整備費用を補助対象経費に含めていたもの
(39)
愛媛県
八幡浜市
2、3
117,700 58,850 3,794 1,898
保守費用を補助対象経費に含めていたもの
(35)―(39)の計 1,787,723 893,869 103,339 51,673