ページトップ
  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(6) 児童保護費負担金(児童入所施設措置費等国庫負担金に係る分)の国庫負担基本額が過大に精算されていたもの[近畿厚生局](135)


1件 不当と認める国庫補助金 1,825,032円

児童保護費負担金(児童入所施設措置費等国庫負担金に係る分。以下「負担金」という。)は、児童相談所長が養育・保護を必要とする乳幼児及び児童を児童入所施設に措置した場合等に、これに要する費用の一部について国が負担するものである。

負担金の交付額は、「児童福祉法による児童入所施設措置費等国庫負担金について」(平成11年厚生省発児第86号)等に基づき、次のとおり算定することとなっている。

児童相談所長が養育・保護を必要とする乳幼児及び児童を児童入所施設に措置した場合等に、これに要する費用の一部について国が負担するものである。

このように、児童入所施設等のうち、都道府県等の児童相談所の一時保護所に係る費用の額は、入所定員等の別に年額で定められている保護単価に各種加算を加えるなどして算出することとなっている。

上記の一時保護所に係る費用には、その職員の処遇改善を図るための費用が含まれており、そのうち一定の部分は保護単価自体に含まれている(以下、保護単価に含まれている処遇改善を図るための費用を「保護単価中の処遇改善分」という。)。また、これに加えて、令和2年度から、各種加算の一つとして、「児童相談所一時保護所処遇改善加算実施要綱」(令和3年子発0322第2号。以下「実施要綱」という。)に基づき、「児童相談所一時保護所処遇改善加算分保護単価」(以下「処遇改善加算分単価」という。)を計上できることとなっている。そして、実施要綱によると、処遇改善加算分単価は、一時保護所に勤務する職員の勤務の特殊性に応じて支給する手当(以下「特殊業務手当」という。)等の月額(上限20,000円)から職種ごとに定められた額(例えば、保育士の場合は月額7,800円、心理療法担当職員の場合は月額9,300円)を差し引いた額の1年分を合計して算出することとなっている。このような算出方法となっているのは、特殊業務手当等の月額の上限(20,000円)は、保護単価中の処遇改善分として既に手当てされている分も含めて設定されていることから、重複分を差し引く必要があるためである。

本院が、8府県及び2市において会計実地検査を行ったところ、次のとおり1市において適正とは認められない事態が見受けられた。

 
部局等
補助事業者
(事業主体)
年度
国庫負担基本額
左に対する国庫負担金交付額
不当と認める国庫負担基本額
不当と認める国庫負担金相当額
摘要
        千円 千円 千円 千円  
(135)
近畿厚生局
大阪市
2 8,876,790 4,438,395 3,650 1,825
処遇改善加算分単価を誤って算出していたもの

大阪市は、令和2年度に、同市に所在する2か所の一時保護所に勤務する職員に対して支給した特殊業務手当等の合計額を19,440,000円であるとして、同額を実施要綱に基づく処遇改善加算分単価として設定して、費用の額に計上していた。

しかし、同市は、誤って、上記2か所の一時保護所に勤務していた保育士、心理療法担当職員等計35人について、同市の条例で定められている特殊業務手当等の月額である20,000円から実施要綱において職種ごとに定められた額を差し引くことなく、特殊業務手当等の月額の1年分を合計して処遇改善加算分単価を算出するなどしていたため、費用の額を過大に算定していた。このため、国庫負担基本額3,650,064円が過大に精算されていて、これに係る負担金相当額1,825,032円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において実施要綱等についての理解が十分でなかったこと、近畿厚生局において事業実績報告書の審査が十分でなかったことによると認められる。