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  • 令和3年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(1) 障害児通所支援事業について、児童指導員等加配加算の額が過大に算定されていた事業者に対して、適正な額の算定を行わせた上で過大に算定されていた障害児通所給付費の返還手続を行わせるよう適宜の処置を要求するとともに、障害児通所給付費の算定に当たり、都道府県等及び事業者に対して、児童指導員等加配加算の要件について周知徹底したり、児童発達支援管理責任者の配置についての記載欄を設けた加算届の様式を示すなどした上で、その配置状況を確認するよう周知したりすることにより、障害児通所給付費の算定が適正に行われるよう是正改善の処置を求めたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)障害保健福祉費
部局等
厚生労働本省、9都県、13市区
国の負担の根拠
児童福祉法(昭和22年法律第164号)
実施主体
市77、区23、町31、計131実施主体
障害児通所支援の概要
障害児に対して、児童発達支援センター等の施設において、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の便宜を提供したり、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児に対して、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センター等の施設において、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を提供したりなどするもの
児童発達支援管理責任者が配置されていない期間に児童指導員等加配加算の単位数を算定して障害児通所給付費を過大に算定していた事業者数及び児童指導員等加配加算の額
96事業者 1億4038万余円(令和元年度~3年度)
上記に係る国の負担相当額
7019万円

【適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたものの全文】

障害児通所支援事業所における児童指導員等加配加算の算定について

(令和4年10月18日付け 厚生労働大臣宛て)

標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。

1 障害児通所給付費の概要等

(1) 障害児通所支援の概要

障害児通所支援は、児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)に基づき、障害児に対して児童発達支援(注1)、放課後等デイサービス(注2)等を行うものであり、市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、これに要する費用について障害児通所給付費を支給している。

そして、居住地等の市町村から障害児通所給付費を支給する旨の通所給付決定を受けた障害児の保護者(以下「通所給付決定保護者」という。)は、都道府県、政令指定都市、中核市又は児童相談所を設置する市等(以下「都道府県等」という。)の長(以下「都道府県知事等」という。)の指定を受けた指定障害児通所支援事業者等(以下「事業者」という。)の事業所において、障害児通所支援を受けることとなっている。

また、都道府県知事等は、法等に基づき、必要があると認めるときは事業者に対する指導等を行うことができることとなっている。そして、貴省は、「指定障害児通所支援事業者等の指導監査について」(平成26年厚生労働省通知。障発0328第4号)において、当該指導の方針として、事業者に対して、障害児通所給付費に係る費用の請求に関する事項等について周知徹底させることなどを都道府県等へ示している。

(注1)
児童発達支援  障害児に対して、児童発達支援センター等の施設において、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の便宜を提供する支援
(注2)
放課後等デイサービス  学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児に対して、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センター等の施設において、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を提供する支援

(2) 障害児通所給付費の概要

事業者が障害児通所支援を提供して請求することができる費用の額は、「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成24年厚生労働省告示第122号。以下「算定基準」という。)等に基づき、障害児通所支援の種類ごとに定められた基本報酬の単位数に各種加算等の単位数を合算し、これに単価(10円から11.52円)を乗じて算定することとなっている。

児童発達支援及び放課後等デイサービスに要する費用の額は、算定基準等に基づき、常時見守りが必要な障害児への支援や障害児の保護者に対する支援方法の指導を行うなど支援の強化を図るために、事業所に配置すべき従業者の員数に加えて、児童指導員等を一人以上配置している場合等に、児童指導員等加配加算として、配置する従業者の種別、事業所の定員等に応じた単位数(令和元、2両年度は1日につき10単位から627単位)を基本報酬の単位数に加算することとなっている。そして、事業所には児童発達支援管理責任者(以下「管理責任者」という。)を配置することとなっており、管理責任者は事業所に配置すべき従業者に含まれることから、管理責任者を配置していない期間は児童指導員等加配加算を算定できないこととなっている(以下、これを「児童指導員等加配加算の要件」という。)。

また、事業者は、児童指導員等加配加算の算定状況に変更があった場合には児童指導員等加配加算の算定に必要な児童指導員等の人数を満たしているかを確認できる届出(以下「加算届」という。)等をその都度都道府県等に提出することとなっており、貴省は、加算届の様式を都道府県等に示している。

市町村は、法に基づき、通所給付決定保護者が事業所から障害児通所支援の提供を受けたときは、事業者の請求に基づき、通所給付決定保護者ごとに障害児通所給付費を審査した上で事業者に支払うことなどとなっている。障害児通所給付費は、障害児通所支援に要した費用の額から当該通所給付決定保護者の家計の負担能力その他の事情をしんしゃくして政令で定める負担の上限額等を控除して得た額となっている。

そして、国は、障害児通所支援に要した費用について市町村が支弁した障害児通所給付費の2分の1を負担している。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

前記のとおり、障害児通所給付費の算定に当たっては、管理責任者が配置されていない期間は児童指導員等加配加算を算定することはできないこととなっている。

そこで、本院は、合規性等の観点から、障害児通所給付費の算定に当たり、管理責任者の配置状況に応じて児童指導員等加配加算が適切に算定されているかなどに着眼して検査した。

検査に当たっては、11都県及び20市区(注3)において都道府県知事等の指定を受けて平成31年4月から令和3年3月までの間に児童発達支援又は放課後等デイサービスを実施していた3,957事業所のうち児童指導員等加配加算を算定していた期間がある3,419事業所の中から、438事業者の537事業所を抽出した。このうち399事業者の488事業所については、8都県及び11市区において、当該事業所に係る平成31年4月から令和3年3月までの間の管理責任者の配置状況や児童指導員等加配加算の算定状況等について事業者から提出された加算届や請求書等の資料を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、43事業者(注4)の49事業所については、3県及び9市から当該事業所に係る上記資料の提出を受けて、その内容を確認するなどの方法により検査した。そして、児童指導員等加配加算の算定について疑義が見受けられた場合には、更に都県等に事態の詳細な報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

(注3)
11都県及び20市区  東京都、栃木、三重、滋賀、岡山、山口、高知、佐賀、長崎、大分、鹿児島各県、宇都宮、さいたま、川越、川口、越谷、和光、八王子、大津、岡山、倉敷、下関、高知、長崎、佐世保、大分、鹿児島各市、港、世田谷、荒川、江戸川各区
(注4)
43事業者のうち4事業者は、399事業者のうち4事業者と重複している。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 管理責任者が配置されていない期間に児童指導員等加配加算を算定していた事態

前記438事業者の537事業所のうち9都県及び13市区(注5)の96事業者の119事業所において、障害児通所給付費の算定に当たり、管理責任者が配置されていない期間であるにもかかわらず、児童指導員等加配加算として所定の単位数を加算していた。このため、元年度から3年度までの間に、上記の96事業者に対して131市区町が行った障害児通所給付費の支払において児童指導員等加配加算の額が計1億4038万余円過大となっていて、これに対する国の負担相当額計7019万余円(注6)は負担の必要がなかった。

(注5)
9都県及び13市区  東京都、栃木、三重、滋賀、山口、佐賀、長崎、大分、鹿児島各県、宇都宮、さいたま、川口、岡山、倉敷、下関、高知、佐世保、大分、鹿児島各市、世田谷、荒川、江戸川各区
(注6)
過大となっていた児童指導員等加配加算の額のみにより算出した額であり、管理責任者が配置されていない期間は、児童指導員等加配加算が算定できなくなることに伴い、他の加算等の額が変動し得るが、これについては考慮していない。

(2) 管理責任者が配置されていない期間に児童指導員等加配加算を算定していた理由

前記96事業者の119事業所に対して、(1)の事態となっていた理由を9都県及び13市区を通じて確認したところ、次のとおりとなっていた。

  • ① 児童指導員等加配加算の要件についての理解等が十分でなかったことから、誤って児童指導員等加配加算を算定していたためとした事業所 113事業所
  • ② 児童指導員等加配加算の要件については理解していたものの、障害児通所給付費の請求に当たり確認が十分でなかったことなどから、誤って児童指導員等加配加算を算定していたためとした事業所 6事業所

上記①のとおり、児童指導員等加配加算の要件についての理解が十分でなかった事業所が多数あることから、上記の9都県及び13市区に対して、当該都県及び市区自身が児童指導員等加配加算の要件を十分に理解し、また、事業者に十分に周知しているかなどについて確認したところ、次のことなどから、8都県及び10市区において、児童指導員等加配加算の要件についての理解が十分でなく、このため、児童指導員等加配加算を算定するに当たっての事業所における管理責任者の配置状況の確認が十分でない状況となっていた。また、児童指導員等加配加算の要件についての事業者に対する周知等も十分でない状況となっていた。

  • ① 管理責任者は算定基準等における児童指導員等加配加算の算定に必要な従業者には含まれないと考えていたため、管理責任者を配置していない期間でも児童指導員等を所定の人数に加えて配置していれば児童指導員等加配加算を算定できると誤解していたこと
  • ② 厚生労働省から示されている加算届の様式には管理責任者の配置状況についての記載欄がないため、管理責任者を配置していない期間でも児童指導員等加配加算を算定できると誤解していたこと

また、残りの1県及び3市においては、児童指導員等加配加算の要件については理解していたものの、児童指導員等加配加算を算定するに当たっての事業所における管理責任者の配置状況の確認が十分でない状況となっていた。また、事業者に対する周知等が十分でないなどの状況となっていた。

上記(1)及び(2)について、事例を示すと次のとおりである。

事例

大分市に所在する事業者Aは、放課後等デイサービスの提供を行った事業所Bにおいて、令和元年5月1日から9月15日までの間及び同年11月1日から2年9月11日までの間は管理責任者を配置していなかった。しかし、事業者Aは、管理責任者は算定基準等における児童指導員等加配加算の算定に必要な従業者には含まれないと考えていたことから、管理責任者を配置していない期間でも児童指導員等を所定の人数に加えて配置していれば児童指導員等加配加算を算定できると誤解していた。このため、障害児通所給付費の算定に当たり、児童指導員等加配加算として、当該期間に1日につき155単位又は209単位を基本報酬の単位数に加算していた。

また、同市は、事業者Aと同様に、管理責任者を配置していない期間でも児童指導員等を所定の人数に加えて配置していれば児童指導員等加配加算を算定できると誤解していたため、事業所Bに係る児童指導員等加配加算の算定誤りについて認識していなかった。

このため、上記の事態に係る元年5月から9月までの間及び同年11月から2年9月までの間の請求に対して1市が支払った障害児通所給付費の支払において児童指導員等加配加算の額が計640万余円過大となっていて、これに対する国の負担相当額320万余円は負担の必要がなかった。

(3) 児童指導員等加配加算の要件についての周知状況等

前記のとおり、児童指導員等加配加算の要件についての理解が十分でなかった都県等や事業者が多数あることから、貴省における当該要件の周知状況等を確認したところ、貴省は、算定基準等の内容について、随時、各種加算や減算の要件等を具体的に示した「障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A」(以下「Q&A」という。)等を都道府県等に送付するなどして周知していたり、加算届の様式を示したりしていた。しかし、貴省は、前記のとおり、児童指導員等を所定の人数に加えて配置していれば管理責任者を配置していない期間でも児童指導員等加配加算を算定できると誤解しているなどの都県等及び事業者があるということを十分に把握していなかった。このため、貴省において、管理責任者が児童指導員等加配加算の算定に必要な従業者であることについてQ&A等に記載していなかったり、加算届の様式に管理責任者の配置についての記載欄を設けていなかったりしていて、児童指導員等加配加算の要件について都道府県等や事業者に十分に周知していないなどの状況となっていた。

(是正及び是正改善を必要とする事態)

障害児通所給付費の算定に当たり、管理責任者が配置されていない期間に児童指導員等加配加算を算定していて、障害児通所給付費が過大に支給されている事態は適切ではなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、都県等及び事業者において児童指導員等加配加算の要件についての理解が十分でなかったことなどにもよるが、貴省において、次のことなどによると認められる。

  • ア 都道府県等に対して、児童指導員等加配加算の要件についてQ&A等に記載するなどして十分に周知していなかったり、事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知していなかったりしていること
  • イ 事業者に対して、都道府県等を通じるなどして、児童指導員等加配加算の要件について十分に周知していなかったり、加算届の提出に当たって事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知していなかったりしていること

3 本院が要求する是正の処置及び求める是正改善の処置

貴省は、障害児通所給付費の算定に当たって、常時見守りが必要な障害児への支援や障害児の保護者に対する支援方法の指導を行うなど支援の強化を図るために、今後も児童指導員等加配加算の仕組みを継続することとしている。

ついては、貴省において、障害児通所給付費の算定等が適正に行われるよう、次のとおり、是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。

  • ア 児童指導員等加配加算の額が過大に算定されていた96事業者の119事業所の障害児通所給付費について、返還手続が未済の事業所に対して、9都県及び13市区を通じるなどして、適正な額の算定を行わせた上で、過大に算定されていた障害児通所給付費の返還手続を行わせること(会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求するもの)
  • イ 都道府県等に対して、Q&A等に記載するなどの方法により児童指導員等加配加算の要件について周知徹底するとともに、管理責任者の配置についての記載欄を設けた加算届の様式を示すなどした上で、児童指導員等加配加算の算定に必要となる従業者を確認する際に事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めるもの)
  • ウ 事業者に対して、都道府県等を通じるなどして、イと同様に、児童指導員等加配加算の要件について周知徹底するとともに、児童指導員等加配加算の算定に必要となる従業者を確認する際に事業所における管理責任者の配置状況を確認するよう周知すること(同法第34条の規定により是正改善の処置を求めるもの)