(1件 不当と認める国庫補助金 17,282,600円)
部局等 |
補助事業者等 |
間接補助事業者等 |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 |
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(211) | 水産庁 |
特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構 |
一般社団法人兵庫県漁船リース協会
(事業主体) |
水産業競争力強化漁船導入緊急支援 |
29 | 37,330 (34,565) |
17,282 | 37,330 (34,565) |
17,282 |
漁業経営安定対策事業費補助金(水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業に係る分)は、水産物の安定供給の確保及び水産業の健全な発展の実現を図ることを目的として、「水産関係民間団体事業実施要領」(平成10年10水漁第944号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、水産庁が、特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構(以下「機構」という。)に対して基金を造成させるために交付するものである。そして、基金を造成した機構は、この基金を取り崩して、中核的漁業者として位置付けられた者が競争力強化の取組を実践するために必要な漁船を円滑に導入できるよう、漁船を取得して当該者にリースにより貸付けを行う事業主体に対して(以下、事業主体が取得して貸付けを行う漁船を「貸付対象漁船」といい、貸付対象漁船を借り受ける中核的漁業者を「借受者」という。)、貸付対象漁船の取得・改修費の2分の1以内の金額を助成する水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業(以下「漁船導入事業」という。)を実施している。
「水産関係民間団体事業実施要領の運用について」(平成22年21水港第2597号水産庁長官通知)等によれば、漁船の借受けを希望する中核的漁業者は上記取組の内容等を記載した漁船導入事業の提案書を事業主体に提出することとされており、事業主体は当該提案書を添付した漁船導入事業の実施計画書等を機構に提出することとされている。そして、事業主体は、助成金の交付決定後、借受者との間で、貸付対象漁船の貸付契約を締結することとされている(図参照)。
図 漁船導入事業の手続等の概要
また、借受者は、貸付対象漁船を漁船導入事業の目的に反して使用してはならないこととされている。ただし、借受者が貸付対象漁船を漁業以外の目的で遊漁船等としても使用することは、借受者が漁業により生計を立てている漁業者であること(以下、この条件を「収入条件」という。)などの条件を満たすなどしていれば可能であり、目的外使用には該当しないこととされている。そして、漁業により生計を立てている漁業者とは、具体的には、過去1年間の収入が漁業収入のみの漁業者又は過去1年間の収入のうち漁業収入が漁業以外の仕事からの収入の合計よりも大きかった漁業者であるとされている。
そして、事業主体は、毎年度、借受者によって貸付対象漁船が漁船導入事業の目的外に使用されていないか確認し、指導等を行うことになっている。
事業主体である一般社団法人兵庫県漁船リース協会(以下「協会」という。)は、平成30年1月に本件貸付対象漁船を事業費37,330,416円(補助対象事業費34,565,200円)で取得し、同月に借受者との間でリース期間15年の貸付契約を締結して引渡しを行っていた。そして、同年4月に助成金17,282,600円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、30年から令和2年までの間、借受者は本件貸付対象漁船を遊漁船としても使用しており、借受者の収入状況を確認したところ、年間の収入に占める漁業収入の割合はそれぞれ29%、18%及び7%となっていて収入条件を満たしていないことから、当該使用は目的外使用に該当していた。そして、協会は、このように本件貸付対象漁船が借受者によって漁船導入事業の目的外に使用されていたことを確認しておらず、借受者に対する指導等を十分に行っていなかった。
したがって、本件貸付対象漁船(補助対象事業費34,565,200円、助成金交付額17,282,600円)は、導入当初から漁船導入事業の目的外に使用されており、これに係る国庫補助金相当額17,282,600円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、協会において借受者の収入状況の確認及び借受者に対する指導等が十分でなかったこと、機構において協会に対する指導が十分でなかったこと、水産庁において機構に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。