(2件 不当と認める国庫補助金 19,016,918円)
部局等 |
補助事業者等 |
間接補助事業者等 |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 |
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(213) | 中国四国農政局 |
島根県 |
特定非営利活動法人里の恵み山渓会
(事業主体) |
鳥獣被害防止総合対策交付金 |
30 | 27,702 (27,702) |
10,657 | 21,827 (21,827) |
8,397 |
(214) | 九州農政局 |
鹿児島県 |
出水市
合同会社大幸
(事業主体) |
同 | 30 | 43,368 (40,160) |
20,080 | 22,936 (21,239) |
10,619 |
(213)(214)の計 | 71,070 (67,862) |
30,737 | 44,763 (43,066) |
19,016 |
これらの交付金事業は、2事業主体が、食肉処理加工施設として、柱、土台、筋交いなどの部材で骨組みを構成する木造軸組工法により木造施設(以下「木造建築物」という。)の建築等を実施したものである。
木造建築物は、建築基準法(昭和25年法律第201号)等に基づき、地震や風により生ずる全ての方向の水平力に抵抗するために、柱と柱との間に筋交いなどを設置した耐力壁を張り間方向(注)及び桁行方向(注)に配置し、設計計算上の耐力壁の長さが水平力に対して必要な長さをそれぞれ上回るなど設計計算上安全な構造のものでなければならないこととなっている。そして、耐力壁を構成する柱については、水平力により生ずる引抜力に抵抗するために、同法等に基づく告示「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1460号)等に基づき、耐力壁の種類、柱の位置等に応じて、必要な引抜耐力を有する金物等を選定して、梁(はり)、土台、基礎コンクリート等と接合することとなっている(参考図参照)。
しかし、2事業主体において、請負人が設計と相違して、梁、土台等との接合箇所の一部に引抜耐力が不足している金物を使用して施工していた事態が見受けられた。
このように、梁、土台等との接合が適切でない柱で構成された壁は設計計算上耐力壁とは認められないことから、改めて有効な設計計算上の耐力壁の長さを算出すると、張り間方向及び桁行方向のそれぞれにおいて、水平力に対して必要な耐力壁の長さを大幅に下回るなどしていて、木造建築物の所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額計19,016,918円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において、請負人が設計図書、法令等についての理解が十分でないまま施工していたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったこと、島根県並びに鹿児島県及び出水市において、2事業主体に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
特定非営利活動法人里の恵み山渓会(島根県出雲市所在)は、出雲市佐田地内において、鳥獣被害防止に資するよう有害鳥獣の肉を地域資源として有効活用を図ることなどを目的として、食肉処理加工施設(木造2階建て)の建築等を行った。
しかし、筋交いなどを取り付けた耐力壁を構成する1階及び2階の出隅の柱(注)計8本のうち計6本について、施工の際に、請負人は、誤って引抜耐力が不足している金物を使用して柱と梁、土台等とを接合していた。
このように、梁、土台等との接合が適切でない柱で構成された壁は設計計算上耐力壁とは認められないことから、改めて有効な設計計算上の耐力壁の長さを算出すると、1階部分の張り間方向で12.00m、2階部分の桁行方向で2.00mとなり、水平力に対して必要な耐力壁の長さ28.71m、4.29mをそれぞれ大幅に下回っていた。
したがって、本件施設(工事費等相当額計21,827,067円、交付金相当額計8,397,246円)は、施工が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっていた。
(参考図)
耐力壁の概念図