(1件 不当と認める国庫補助金 71,330,685円)
部局等 |
補助事業者等 |
間接補助事業者等 |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 |
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(215) | 沖縄総合事務局 |
沖縄県 |
国頭郡金武町
(事業主体) |
沖縄振興公共投資交付金 |
28~30 |
482,802 (482,802) |
362,101 | 95,107 (95,107) |
71,330 |
この交付金事業は、金武町が、金武町金武地内の資源循環施設内に、同町内の4地区の生活排水から発生する汚泥を堆肥化し、さとうきび畑において有効活用するために、汚泥の脱水機、発酵槽等の堆肥化を行うための設備、及び汚泥を減量化して、製造する堆肥量を調整するための汚泥量調整機構(以下「調整機構」という。)を設置するなどするものである。
同町は、資源循環施設の整備に当たり、平成25年度に、「さとうきび栽培指針」(平成18年3月沖縄県農林水産部編。以下「栽培指針」という。)に基づくなどしてさとうきびの計画堆肥需要量と製造を計画している計画堆肥製造量の需給関係等に係る検討を行っている。
上記の検討において、同町は、堆肥は毎月製造されるのに対して、堆肥が消費されるのは2月から3月にかけて施肥を行う春植えの時期及び7月から8月にかけて施肥を行う夏植えの時期のみであり、需要がない月には、資源循環施設内に設けられた保管倉庫(78.3m²)の保管可能量を在庫量が上回ることが想定されるため、需要量に応じて汚泥を減量化して、製造する堆肥量を調整する必要があること、また、資源循環施設の故障や不具合等の緊急時に堆肥化できない汚泥を一時的に貯留するために減量化する必要があることから、調整機構を設置することとしていた。
しかし、調整機構の設置の必要性に係る検討は、次のとおり適切でなかった。
すなわち、同町は、月ごとの堆肥の需要量を算定して、計画堆肥製造量から計画堆肥需要量を差し引くなどした各月末の具体的な在庫量の試算を行っておらず、在庫を保管する必要性についての具体的な検討も行っていなかった。
そこで、改めて、1月当たりの計画堆肥製造量に前月末の在庫量を加えたものから、栽培指針に基づく10a当たりに必要な施肥量(春植えの場合は3.0t、夏植えの場合は4.5t)に作付面積(春植えの場合は8.2ha、夏植えの場合は5.0ha)を乗じて算定される1月当たりの計画堆肥需要量を差し引くなどして各月末の在庫量を試算すると(堆肥の在庫量の計算式参照)、春植え及び夏植えの時期以外は堆肥の需要がないことから、その時期以外の時期に製造された堆肥は在庫として保管されることとなり、月末の在庫量が最大となるのは、表のとおり、1月末の77.2t(0.8t詰めのフレキシブルコンテナ97袋相当)となった。そして、この77.2tのうち、48.0t(同60袋相当)については、前記の保管倉庫に保管することが可能であり、また、これを超える29.2t(同37袋相当)については、仮に調整機構を設置しなければ、その設置場所のスペース(72.0m²)に保管することが可能な状況となっていた(参考図参照)。
(堆肥の在庫量の計算式)
表 年間を通じた堆肥の計画堆肥製造量、計画堆肥需要量及び各月末の在庫量
月 項目 |
4月 | 5月 | 6月 | 7月 (夏植え) |
8月 (夏植え) |
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 (春植え) |
3月 (春植え) |
年間計 |
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作付面積(ha) 注(1) |
0 | 0 | 0 | 2.5 | 2.5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4.1 | 4.1 | 13.2 |
(5.0) | (8.2) | ||||||||||||
①計画堆肥製造量(t) 0.505t/日 |
15.1 | 15.6 | 15.1 | 15.6 | 15.6 | 15.1 | 15.6 | 15.1 | 15.6 | 15.6 | 14.1 | 15.6 | 184.2 |
②計画堆肥需要量(t) 春植え3.0t/10a 夏植え4.5t/10a |
0 | 0 | 0 | 112.5 | 112.5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 123.7 | 123.7 | 472.5 |
月末の在庫量(t) ①+前月末の在庫量-② 注(2) |
15.1 | 30.8 | 45.9 | 0 | 0 | 15.1 | 30.8 | 45.9 | 61.6 | 77.2 | 0 | 0 |
また、同町は、調整機構等の設置以前に、汚水処理施設の一部である汚泥貯留槽を整備していて、この容量は、前記の4地区から発生する汚泥を少なくとも約27日分貯留することができるものとなっている。そして、この貯留期間は、同町が想定する資源循環施設に故障や不具合等が生じた際の復旧に要するまでの期間よりも長いため、調整機構を設置しなくても、資源循環施設の故障や不具合等に対応できる状況となっていた。
したがって、調整機構(工事費相当額計95,107,581円)は、需要量に応じて汚泥を減量化して、製造する堆肥量を調整する必要がないこと、また、資源循環施設の故障や不具合等の緊急時に堆肥化できない汚泥を減量化して対応する必要がないことから、設置する必要はなかったものであり、これに係る交付金相当額計71,330,685円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、調整機構を設置する必要性についての検討が十分でなかったこと、沖縄県において、同町に対して調整機構を設置する必要性を十分検討することについて指導が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
最大の在庫量77.2tの保管場所の概念図