(1件 不当と認める国庫補助金 20,421,857円)
部局等 |
補助事業者等 |
間接補助事業者等 |
補助事業等 |
年度 |
事業費
国庫補助対象事業費
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左に対する国庫補助金等交付額 |
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
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不当と認める国庫補助金等相当額 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(216) | 水産庁 |
茨城県 |
大津漁業協同組合
(事業主体) |
水産業共同利用施設復旧支援 |
23、24 |
55,871 (55,871) |
27,935 | 40,843 (40,843) |
20,421 |
この補助事業は、大津漁業協同組合(茨城県北茨城市所在。以下「組合」という。)が、同市の大津漁港において、平成23年3月の東日本大震災により被災した製氷貯氷施設(以下「工場」という。参考図参照)を復旧させることにより、漁業の健全な操業と水揚げの促進を図ることなどを目的として、23年度に工場の建物、貯氷設備等の復旧工事等を実施し、さらに、24年4月に工場の稼働を再開した後、貯氷庫内の氷を搬出口まで移動させるスクリューコンベアを駆動させるための装置が故障したため、24年度に当該装置の交換等を実施したものである。
「水産業共同利用施設復旧支援事業交付要綱」(平成23年23水漁第294号農林水産事務次官依命通知)等によれば、補助対象経費により取得し、又は効用の増加した財産については、補助事業の完了後においても、善良な管理者の注意をもって管理し、補助金交付の目的に従って、その効率的な運用を図らなければならないこと、補助の目的に従った使用を中止する場合には、間接補助事業者等は補助事業者等に申請して承認を受け、所定の方法で算出した金額を国庫納付することなどとされている。
しかし、25年3月に本件補助事業により工場が復旧した後、同年8月下旬に貯氷庫内で油圧式スクレーパーから油が漏れる故障が発生して工場が再び稼働できない状態となったのに、組合は、新たな製氷貯氷施設が大津漁港に整備される予定となっていたことなどから、修理が可能であった当該設備について修理を行っていなかった。そして、令和4年1月の会計実地検査時点においても、上記の修理が行われないまま、工場は引き続き稼働を停止しており、稼働の再開も見込めない状況となっていた。このように、組合は、工場について、補助の目的に従って運用しておらず、また、補助の目的に従った使用を中止する場合に必要な申請及び国庫納付も行っていなかった。
したがって、本件補助事業により復旧した工場(平成25年8月末時点における残存価格40,843,719円)は、補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額20,421,857円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、組合において、工場を善良な管理者の注意をもって管理し、補助の目的に従って運用しなければならず、補助の目的に従った使用を中止する場合には申請して承認を受けなければならないことについての認識が欠けていたこと、茨城県において、組合に対する工場の管理及び運用に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
工場の概念図