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  • (6) 補助対象事業費を過大に精算していたもの

「緑の雇用」新規就業者育成推進事業等の補助対象事業費を過大に精算していたもの[林野庁](217)


(1件 不当と認める国庫補助金 16,317,378円)

 
部局等
補助事業者等
間接補助事業者等
補助事業等
年度
事業費
国庫補助対象事業費
左に対する国庫補助金等交付額
不当と認める事業費
国庫補助対象事業費
不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(217)
林野庁
全国森林組合連合会
(事業主体)
「緑の雇用」新規就業者育成推進等3事業
平成28~令和2
215,476
(215,476)
215,476 16,317
(16,317)
16,317

この補助事業は、全国森林組合連合会(以下「全森連」という。)が、高度な知識・技術等を有する現場技能者を確保して育成するために、新規就業者等を対象に研修等を実施する「緑の雇用」現場技能者育成推進事業、「緑の雇用」新規就業者育成推進事業及び現場技能者キャリアアップ・林業労働安全対策(以下、これらを合わせて「育成事業」という。)を行ったものである。

 「緑の雇用」新規就業者育成推進事業実施要領(平成23年22林政経第225号林野庁長官通知。以下「実施要領」という。)等によれば、育成事業の補助対象事業費は、事業運営に係る技術を有する者に対して支払う技術者給、謝金、委託費等とされている。そして、このうち、技術者給については、原則として、事業従事者ごとに、給与等の年間総支給額等に基づき算出した時間単価に育成事業に従事した直接作業時間数を乗ずるなどして算定することとされている。そして、上記の年間総支給額については、①事業従事者が出向者である場合は事業主体が負担した額しか計上できないこと、②時間外手当として支給されているものは除外することなどとされている。

また、実施要領等によれば、事業主体は、育成事業の一部を都道府県の林業労働力確保支援センター等の林業関係団体等に委託することができることとされていて、林業関係団体等は、全森連と締結した委託契約書において、実施要領等に従って研修等を実施することとなっている。そして、委託先の技術者給を含む当該委託をするための経費は、実施要領等に基づき、委託費として補助対象事業費に計上されることとなっている。

全森連は、平成28年度から令和2年度までの間に長野県における育成事業の一部について、一般財団法人長野県林業労働財団(以下「長野県財団」という。)と委託契約を締結し、当該契約書、実施要領等に基づいて研修等を実施させていた。長野県財団は、事業費計215,476,772円で育成事業を実施したとして、全森連に実績報告書を提出し、全森連による額の確定を受けた上で、委託費として同額(国庫補助金同額)の交付を受けていた。そして、全森連は、上記の事業費を含む育成事業の実績報告書等を林野庁に提出し、国庫補助金の交付を受けていた。

しかし、上記の委託費における技術者給は、長野県からの出向者に係る給与のうち同県が負担していて長野県財団が負担していない額及び時間外手当を年間総支給額に含めて算出した時間単価が用いられていたり、祝日や休暇により育成事業に従事していない時間が直接作業時間数に含まれていたりなどして算定されていた。

したがって、平成28年度から令和2年度までの各年度の委託費として計上された技術者給等について、実施要領等に基づき適正に算出された時間単価及び直接作業時間数を用いるなどして適正な補助対象事業費を算定すると計199,159,394円となり、当初の補助対象事業費計215,476,772円との差額16,317,378円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額16,317,378円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、長野県財団において事業費の算定についての理解が十分でなかったことにもよるが、全森連において実績報告書の確認が十分でなかったことなどによると認められる。