九州地方整備局(以下「整備局」という。)は、令和元、2両年度に、官公庁施設の建設等に関する法律(昭和26年法律第181号)の規定に基づき、法務省からの委任を受けて、福岡市において、福岡保護観察所の庁舎(鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建て)の取壊し等の工事を工事費75,790,000円で実施している。
本件工事は、庁舎の取壊しを行うとともに、取壊しに伴って生じた石こうボード、木材、ガラス、陶器及びプラスチック(以下、これらを合わせて「石こうボード等」という。)の処分等を行うなどするものである。
整備局は、本件工事の設計を設計コンサルタントに委託して、積算数量算出書等の成果品の提出を受けており、この成果品に基づくなどして、本件工事の予定価格の算定に係る設計数量を算出している。
本院は、経済性等の観点から、予定価格の算定に係る設計数量が適切なものとなっているかなどに着眼して、本件工事を対象として、整備局において、設計図書、積算数量算出書、工事写真等の資料を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
整備局は、庁舎の床、天井及び壁の仕上材(注)及び下地(以下「仕上材等」という。)の取壊しに係る設計数量について、前記の成果品を基に5,846.0m²と算出するなどしていた。しかし、この設計数量については、実際には取り付けられていないOAフロア等に係る面積も計上されるなどしていた。
このため、上記の設計数量は、過小に算出されていたビニルタイル等に係る面積を考慮して算出した適正な設計数量3,673.1㎡に対して、2,172.9㎡過大となるなどしていた。このほか、仕上材等の取壊し面積が過大となっていたことにより石こうボード等の処分等に係る設計数量についても過大となっていた。
したがって、適正な設計数量に基づくなどして本件工事費を修正計算すると、72,335,605円となることから、本件契約額75,790,000円はこれに比べて3,454,395円割高となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、整備局において、本件工事の予定価格の算定に当たり委託した業務の成果品における設計数量の確認が十分でなかったことなどによると認められる。